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[C160]

なるほど、幽霧の【目】にはそういう秘密があったわけか・・・
またひとつ謎が解決、そして新たな課題が出来た..と

心の中の闇はそう簡単に晴れない...それが判っただけでもまだ前進しているんだろうか...
  • 2008-10-20
  • 投稿者 : 恭也
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[C161]

追加で選択肢・・・
⑦アインス&一部有志の店 【アイス「ゼーゲンヴィント」】

アインスだとクロノあたりが出てきそうなので・・・
  • 2008-10-22
  • 投稿者 : 恭也
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[C162] こんにちは

初めて書き込みます。いつも参考にしています。また遊びにきます☆
  • 2008-10-25
  • 投稿者 : はなえ
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[C163]

なのはが吹きだすというのは斬新ですね、驚きましたww
それにしてもクロエさんとヴィアッリさんでああなるとはwww
コンボ決まった! にはちょっと燃えましたww

選択肢は③でおねがいします
  • 2008-10-25
  • 投稿者 : 羽
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[C166] はじめまして

初めて書き込みます。いつも参考にしています。また遊びにきますね。

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『眠れない二日間』⑥

こんばんは。雪奈・長月です。

今夜は日曜日。
現在、涼香様の時空管理局ラジオ進行中!
今夜は、なのはPartyお疲れ様SPラジオです。
ひとまず涼香様は自身の身体をご自愛ください。

というかまず先に私自身の精神をご自愛しないといけないですかね・・・・・

過去の部分が読みたい方は『戯言工房』へ。
ある種のカオス空間なのでご注意下さい

他に何かありましたら、『幻想寓話』へ。
匿名でも構いません。ご自由にお使い下さい。



今回はコメント返しもなし。読者(プレイヤー)様による選択肢の提示もなし。
でも匿名で励ましの言葉を頂きました。ありがとうございます。
なので今回は仕方なく、作者任せな展開となっています。

これは頭の隅っこに置いてといてくださいね。
このSSによる作者任せは、コンピュータにシミュレーションゲームをさせてその過程を見るようなものです。
恋愛シミュレーションであったら攻略したくない人を攻略することになり。
シミュレーションRPGだともどかしい戦略を見せられた上でゲームオーバーを見るようなものです。
それでも良いとか言わないで下さいね。
これは「なのは」をギャルゲーにしたらどうなるかを書いているSSなので。
作者としては、出来るだけギャルゲーに近づけたSSを書きたいので。
それでも納得できない方は、「なのは」の四期が始まるまでの場つなぎ。いわゆる時間つぶしのテーブルトーク型ロールプレイングゲームとしてお楽しみ下さい。
作者である私がゲームマスターで、ゲームのソフト。
読者である皆様がプレイヤーで、ゲームを攻略する人。
まぁ、納得できないとか抗議する方は出ると思いますが。
でも無言は勘弁です。それはただの傍観ですから。

そろそろ本編開始。
(ヴィアッリ・フィオーレさんのモデルがvia氏で、
 蔵那クロエさんのモデルはラグナ六区氏らしいです)





〈【メイド&執事喫茶「Oberste Erbe」】 十八時四十一分〉

「よろしくお願いします」
 幽霧はヴェロッサに礼をする。
「こちらこそ」
 ヴェロッサは微笑む。何かその笑顔は妙に黒い。
 意味深長な笑顔をヴェロッサに首を傾げる幽霧。
 小さく頭を傾げる幽霧の仕草に、どっきゅんとときめくヴェロッサ。
「まず、何をすればよろしいでしょうか?」
「着替えないとね……」
 ヴェロッサが微笑みながら幽霧の肩に触れようとしたその時。
 一人の女性査察官が微笑みながら幽霧に肩を触れているヴェロッサに背後から声をかける。
 それは対魔導師戦特化型魔導師。別名『デバイスクラッシャー』と呼ばれている魔導師の一人であるヴィアッリ・フィオーレ査察官であった。
「セクハラ禁止だと、さっき言いませんでしたか? ヴェロッサ・アコース査察官」
 背後でヴィアッリが笑う。何故か履いている靴の爪先をじゅうたんの敷かれたの床でトントンと叩いている。
 ヴェロッサは壊れた機械のようにギチギチと擬音を立てながら後ろの振り向く。
 そこには綺麗で凄く良い笑顔を浮かべたヴィアッリが。
 下手したら何も知らない客や同僚たちの目の前で醜態を晒す事になりかねないヴェロッサの背中に冷や汗が流れる。
 微笑みながらヴィアッリはヴェロッサに言った。
「私が更衣室連れて行きますよ」
「幽霧くんは男の子……」
 一応、幽霧の性別が男と知っているヴェロッサ。
 というより、むしろ幽霧みたいな子が男の子じゃないわけがない。
「連れて行きます」
 ヴェロッサを睨み付けながら問答無用に一蹴するヴィアッリ。
「……分かりました」
 睨み付けてくるヴィアッリに対し、本能的に逆らえないヴェロッサの背筋がひやりと寒くなる。
「行きますよ。諜報部所属の幽霧三等陸士」
 ヴェロッサの事など既に意識の外にあるのか、ヴィアッリはそのまま幽霧を更衣室へと連れて行く。
「ここが更衣室です」
「ありがとうございます」
 幽霧は礼を言ってから更衣室に入り、着ていた服を脱ぎ始める。
 更衣室に入ったヴィアッリは服を脱いだ幽霧を見て、豆鉄砲を喰らったような顔をする。
「……本当に男の子?」
 なぜなら今の幽霧は胸が膨らんでいるし、女性用の下着をはいていたからだ。
 驚くヴィアッリに幽霧は読み上げるように淡々と答えた。
「これは……開発部で作った偽物なんです。下着は女性用の服を着るときの為にはく事を強要させて……」
 頬を赤らめながら困る幽霧。その仕草がとても可愛らしい。
 本人が男だと言っているが、ヴィアッリは幽霧の性別が気になった。
「幽霧三等陸士の性別って、どっちですか?」
「男です」
「本当に?」
 即答する幽霧の身体を睨みながらにじり寄る。
「はい……」
 ヴィアッリの視線と気迫が怖かったが頷く。
 言いにくいのか、視線を外してからヴィアッリは率直な意見を漏らした。
「信じますが、信じられないというのが正直な所ですね。」
 幽霧はヴィアッリの一言にヘコんだ。下着姿で床に手と膝を着き、倒れる。
 それはある意味、すさまじい光景だ。
 すさまじい状態で幽霧はヴィアッリに尋ねる。
「……自分は男性用を着るのですか?女性用を着るのですか?」
「……男性用で良いですよ。」
 同情する気持ちしか湧き上がらないヴィアッリは幽霧に男性用の制服を渡した。
 無言で幽霧は立ち上がり、渡された制服に袖を通す。
 シャツの袖をカフスで留め、バックレスベストの前ボタンを留める。ベストを羽織り、ズボンを穿いた幽霧はネクタイを締めながらヴィアッリに訊ねる。
「どうでしょうか?」
「はい。似合っていますよ」
 むしろやばいくらいですと、ヴィアッリは小さく付け加えた。


 
「ミルフィーユを一つ」
「了解いたしました」
 幽霧は客に笑顔で一礼し、厨房にオーダーを持っていく。
 フロアの床をヒールの踵で叩く音が響く。
 ほとんどの客は幽霧に注目している。
「ねぇ。あの子……可愛くない?」
「そうだな」
 性別は男であるが女性みたいな見た目の幽霧が男性用の制服を着ているからか、それが客にとって新鮮のようだ。
 開発部が作った偽物の乳房はカッターシャツを押し上げ、強制的に穿かされた女性用下着がラインがパンツに出ている。
 客の中には手で鼻を押さえている。何故か指の間から何か赤いものが出ていた。
「幽霧くうぅぅぅん!!」
 遂に理性が切れたらしく、幽霧に襲い掛かるヴェロッサ。
 しかしその手は幽霧には届かない。
 何故ならば。
「一体……何をしていらっしゃるのでしょうか? ヴェロッサ・アコース査察官」
 ヴィアッリが笑顔で脚甲型デバイス『ネオヴァ』を起動していたからだ。
 足全体に深紅の脚甲が装備される。
 一瞬にしてヴェロッサの顔が引きつった。
 身体を蹴り上げられたヴェロッサに『ネオヴァ』のヒールが叩き込まれた。
 叩き込まれる速度が速すぎて、残像しか見えない。
 残像が増え、動くごとにヴェロッサの身体はボロボロになっていく。
「幽霧くん!」
 ヴィアッリはボロボロのヴェロッサを幽霧の方に蹴り飛ばす。
 渾身の力で幽霧はヴィアッリにヴェロッサを蹴り返す。
 空中にヴェロッサの身体が舞う。
 そこの光景をみた客の一人が叫ぶ。
「コンボが繋がったあぁぁぁ!」
「鋼…穿……」
 ヴィアッリが装備する『ネオヴァ』の足元にベルカ式の魔法陣が浮かぶ。
「鋼穿脚……鋼穿脚だけは勘弁して下さい!」
「脚!」
 ヴィアッリは渾身の力でヴェロッサに蹴りを叩き込む。
 『ネオヴァ』に刻まれた溝が空気とぶつかって空気の槍を作り出し、空気の槍がヴェロッサの腹部に刺さる。
 空気の槍が突き刺さった数秒後にはヴェロッサの腹部に『ネオヴァ』の爪先が突き刺さる。
 そしてそのままヴェロッサは吹き飛ばされた。
「そこ!扉開ける!」
 怒号にお会計にいた局員は慌てて、店の扉を開ける。
 ヴィアッリに吹き飛ばされたヴェロッサは開けられた扉に吸い込まれるように入った。
「…ジャ……ジャックスポット」
 客の一人がその凄まじい光景を見てつぶやいた。
 全員が思った。セクハラしたら確実に殺られる。
 扉を開けた局員はちらりとヴェロッサの惨状を見る。
 吹き飛ばされたというより、蹴り出されたヴェロッサは向こうにある店の壁にめり込んでいた

 向こうの店の店員と客は唖然とする。
 壁から人の頭が突き出てればそりゃあ怖いだろう。



「凄いね……幽霧くん」
 注文したミルクティーを飲みながらなのはは幽霧の仕事風景を見る。
「まあ、きーちゃんですから……こういう時のきーちゃんは何から何まで、その道のプロ顔負けなので」
 まだ熱いカプチーノに息を吹きかける事で冷ましながらイツキは慣れているかのような口調で言う。
 微妙に遠い目なのはそこでも何か一騒動あったという事だろう。
「イツキさん?」
「あっ、はい。何でしょうか……というか、なのはさんの方が年上なので普通に呼び捨てで良いですよ」
 話しかけてきたなのはにイツキは微笑みながら返す。
 なのはは少し躊躇いがちに訊ねた。
「えっと……イツキさんは幽霧くんの目について何か知っていますか?」
「知ってますよ。特に目についてはね」
 自身の目もこんな感じですからと、右目の眼帯を指で指し示しながら微笑む。
 なのはは真剣な面持ちで微笑むイツキに言った。
「教えてくれませんか?」
 その言葉にイツキの顔が豹変する。微笑がすっと消え、金の瞳が細くなる。
 空気も少しだけ冷たくなる。
「……本当に知りたいのですか?」
 妙に冷たいイツキの声になのははゆっくりと頷く。
 少しぬるくなったカプチーノを啜ってから口に出した。
「……『確かに存在しているけど、存在していない』からです」
「それって……どういう事?」
 明らかに矛盾しているイツキの言葉に首を傾げる事しか出来ないなのは。
 意味が分からなさそうにしているなのはを見つめながらイツキは話を続けた。
「もうちょっと分かりやすく言いますね。集団の中に幽霧霞の存在はあるけど、きーちゃんは自身がそこに存在していないと感じている」
 徐々にイツキを見る目が胡散臭そうになった来たなのはに苦笑するイツキ。
 テーブルに置いてある呼び鈴を鳴らして局員を呼ぶイツキ。
 何かあるのかと不思議そうにイツキを見つめるなのは。
「このメニュー表に載っているタルトタタンをワンホールお願いします」
 イツキはやって来た局員に洋菓子をオーダーする。
 予想だにしていなかったイツキになのはは拍子抜けした。
 オーダーを受けた局員がその場から離れた後、呆然とするなのはに微笑みながらイツキは言った。
「甘い物でも食べながら説明しましょうか」
 そう言ってカップを口に運ぶイツキ。どうやら甘い物を食べるまでは一言も話すつもりがないらしい。
 なのはも洋菓子が届くのを待つ事にしたらしく、ミルクティーを啜りながら幽霧とアルフィトルテが働く様を観察する。
 五分ぐらい経過してから、局員がタルトタタンをワンホールと食器を持って来た。
 イツキはなのはの前にも皿とフォークを置き、タルトタタンを切り分けながら話の続きを始める。
「限りなく澄んだ硝子細工を想像すると分かりやすいと思います」
 タルトタタンを手馴れた手つきで分割していくイツキ。
 なのはは手を顎に当てながら、イツキの言葉を考える。
「硝子は澄み過ぎていると良く見えない……幽霧くんが無意識に気配を消して生活していたから……?」
「近いですが、まだ違いますね」
 タルトタタンを八等分にしたイツキがあっさりとなのはの推測を切り捨てる。
 ほとんど即答で切り捨てられた事にむっとするなのは。
 イツキはというと、のんびりと切り分けたタルトタタンをなのはの前に置いた皿に乗せていた。
 微妙になのはの怒気を感じ取ったイツキはヒントらしき言葉を漏らす。
「存在はしているけど、意識しないとその存在は認識されない。認識されないという事は存在していないのと同じ」
 その言葉で何かを思いついたらしく、はっとするなのは。
「まさか……幽霧くんは自身がその場に存在していないと思っている?」
 なのはの言葉にイツキの顔がぴくりと動く。
 わずかに残ったカップのカプチーノを飲み干し、ゆっくりと頷いた。
「概ね正解……と言ったところです」
 そこでイツキは再び呼び鈴を鳴らして局員を呼び、新しいカプチーノを注文する。
 イツキの言葉によってとある答えに行き着くなのは。声を震わせながら呟く。
「まさか……」
「ええ。その時がどうであったかは、色々と反則なので言いませんが……」
 届けられたカプチーノを軽く啜ってからイツキはなのはが言おうとした答えの続きを引き継いだ。
「きーちゃんは集団の中にいるのに、孤独を味わっていたと言う事です。昔も……そして、今も」
 予想していた答えであっても受け入れることが出来ずにいるなのは。
 その答えを認める事は幽霧に対して行った事が無駄であったという事をなのは自身が受け入れる結果となってしまったという事だ。
 女装を仕方ないと言う幽霧の為に泣いた時も。いきなりの休日が与えられた時に幽霧と過ごした時も。病院で堕ちないでと言った時も。
 幽霧が今も死んだ魚のように無機質で濁った目をし続けている時点で、今まで行った事の全てが無駄であったという事を。
 声も出せずに呆然としているなのはに、イツキはついに幽霧が死んだ魚のような無機質な瞳をする理由を話し始める。
「そんな荒涼とした周囲との関係で寂寞した心がこれ以上病んでしまわない為にきーちゃんは自ら自身が元から存在しないと暗示をかける事で感情を消すんです」
 そこでイツキは微かに微笑みながらなのはに言った。
「要するに……きーちゃんは寂しがり屋なんです。でも、周囲が気づいてあげないからきーちゃんは自身の心をある程度まで殺すんです」
 それはイツキからしてみれば、幽霧に関わる際に気をつけるアドバイス程度の話であった。しかしのその言葉を別の意味に取るなのは。
「言い方を変えれば、周囲の全てを受けているように見えて自ら周囲を拒絶する仮面を被っているという事……?」
「ええ……僕が言いたかった事の全てはそれに尽きますね」
 思っている事が完璧には伝わっていないが、根幹ぐらいは伝わったと思ったイツキはなのはの言葉を首肯した。
 そしてタルトタタンを食べるために持ったフォークを指でもてあそびながらイツキは訊ねる。
「……で。貴女はそれを知ってどうするのですか?」
 もてあそんでいたフォークの先は最終的になのはの顔面に向けられる。
 何とも言えない威圧感に、なのはは身じろぎする事すら出来なかった。指の一本さえ動かせず、イツキから目を離す事すら出来なくなっていた。ただ細い息だけが口の奥から吐き出される。
 じっとなのはを見つめながらイツキは言った。
「見守る事も一つの優しさですが、それを見ているだけで何もしない事もある意味できーちゃん……幽霧霞を無意識に傷つける」
 そう言ってなのはの顔からフォークの切っ先を外すイツキ。
 心臓の動悸が全く収まらす、喉の奥から急速に乾いていく。まるで長距離のマラソンをし終えた時のような感覚。そして自身の持っている体力を全て使い切ったかのような疲労感があった。
「貴女はまだ中途半端です。きーちゃんの『病み』に気づきながらも、その『病み』をきーちゃん自身ではなくイツキ・アインツヴァイツェに聞いている時点でね」
 イツキはその微笑みを崩さずになのはを見つめながら容赦なく言い放った。
「踏み込むのが怖いんですか? 高町なのはさん? 今までは武力を行使してまで他者に干渉して来た貴女が」
 動揺するなのは。目の前にいる隻眼の少年にこう何度も胸の内を言い当てられるとは思わなかったからだ。
 そこでなのはは目の前で微笑んでいるイツキ・アインツヴィツェという少年に一種の恐怖を感じた。
 同時に幽霧と同じであり、完全に異なっている人間であると悟った。
 なのはの知る幽霧霞という諜報部の三等陸士は時々、人の心の奥という奥まで見透かしたような言動を取る事がある。
 しかしなのはの目の前にいるイツキ・アインツヴァイツェという少年は心の奥という置くまで見通した上に、その心の中へ土足で踏み込んで蹂躙するような言動を取る。
 震える声でなのははイツキに問う。
「イツキさん……貴方は一体、何者なの?」
「幽霧霞の友達をさして頂いている魔道言語専攻の考古学者……の見習いです」
 切り分けたタルトタタンをフォークで一口サイズに切りながら答える。
「きーちゃんの抱えている心の闇を晴らせるとしたら……雪奈さんか、雫さんか……」
 一口サイズに切ったタルトタタンを口に運びながらイツキは呟く。
「ここにいるかも知れないし、いないかも知れない誰かかもしれませんね」



〈【メイド&執事喫茶「Oberste Erbe」】 十九時三分〉

 幽霧は巨大な容器に入ったパフェを持って歩いていた。その容器はお盆に一つ乗せるのがやっとの大きさであった。
 そのパフェは『ラヴァーズパフェ』と呼ばれ、名前からして明らかに恋人専用のメニューだ。
 ナンバーズの【喫茶「ファミグリィア」】や教導隊の【喫茶「白桜雪」】と比べて、査察部の【メイド&執事喫茶「Oberste Erbe」】は重々しい空気がある為に若い恋人たちでは入りにくい。その上で恋人専用のメニューを取り入れるのは万人受けする為に血迷ったとしか思えない。
 若いカップルが入ったとしてもそれはちょっと背伸びしたいと思って入ったは良いが、この空気に耐えかねてゆっくり出来ないだろう。
 メニューよりもターゲットとする客層を考えた方が良いのではないかと幽霧はぼんやりと考える。
 むしろ流行に乗ってメイド喫茶や執事喫茶をするより、レストランとした方がまだ売り上げが伸ばせるのではないのだろうか。
 しかし今の幽霧はあくまでエキストラであり、貸し出しの要請でやって来ただけの助っ人。
 そんな低位置の立場にいる幽霧は店の経営方針に文句をいう事も上申をするつもりも毛頭もなかった。
「ラヴァーズパフェをお持ちいたしました」
「ご苦労様です。幽霧さん」
 『ラヴァーズパフェ』を持って行くように指定された先にいたのは、広報部の蔵那クロエであった。
 幽霧はクロエが目の前にいる事に驚いてしまった。
 管理局全体に回された情報だと大晦日の零時から開始し、元旦の二十四時に終了する「時空管理局四十八時間ラジオ」で放送スタジオにいるはずだ。
 ほとんど缶詰の状態でお便りを読んだり、トークをしたりしているハズのクロエが何故ここにいるのだろうか。
 驚いている幽霧の思考を感じ取ったクロエは笑顔で答える。
「息抜きの為に涼香さんたちから休憩を貰ったのですよ」
「そうだったのですか」
 納得した幽霧は淡々とした口調で返し、テーブルの上に『ラヴァーズパフェ』を置く。
「待ち人ですか?」
「やっぱりそう見える?」
 嬉しそうに微笑むクロエ。
 どうでも良さそうに幽霧は答える。
「一人で、こんな量のパフェを食べるとは思えないので」
「待ちましたか? クロエ」
 背後から聞こえた声に幽霧は振り向く。そこにいたのはヴィアッリであった。仕事の事も考えてか、【メイド&執事喫茶「Oberste Erbe」】の制服であるメイド服のままであった。
「らぐぅ~。遅いにゃぁ~」
 幽霧はゆっくりとクロエの方へ顔を戻す。
 クロエは顔を蕩けさせさせながらヴィアッリを見ていた。
「すみません。ヴェロッサ・アコースを調教するのに時間がかかりました」
「うにゅう……言ってくれれば、らぐぅが潰したのに……」
 クロエの隣に座るヴィアッリ。甘えた声を上げながらクロエはヴィアッリにし流れかかる。何故かクロエはヴィアッリの胸にのの字を書き始める。
 二人の光景を見ている内に幽霧は別の意味で背中に冷たい汗が流れ始めてきた。
 諜報部でも、管理局にあるどこかの部署で『ラグヴィアいちゃいちゃ本』なる裏本レベルのエロスを誇る合同誌が作られて販売されている情報がある。
 まさかその噂で本当で、真実は噂より性質が悪いとは幽霧も思っていなかった。身体に虫が這いずり回るような感覚と共に幽霧は鳥肌が立った。
 その間にも目の前にいる二人は目の毒としか言いようがない行動を繰り返す。
「ごめんなさい。遅れちゃって」
 クロエは頬を紅潮させながら小さな声で言った。
「ヴィアが……食べさせてくれたら…許すにゃ」
「食べさせて欲しいの?」
 悪戯っぽい笑みを浮かべながら聞き返すヴィアッリ。
 頷く事が恥ずかしいのか、ヴィアッリの胸に顔をこすり付けるクロエ。
「ちゃんと言ってくれないと分かりませんよ? クロエ」
「ぁ……んっ」
 ヴィアッリの手がクロエの着ている服の中に滑り込む。背中から回されたその手は腰だけでなく腹に至るまでゆっくりと舐めるように撫でる。
 肌に沿って動くそれにくすぐったそうにしているクロエの背中に電気のような何かが走り、もやもやとした変な気分になる。
「ふぁ……」
 甘い声で鳴くクロエ。そこにはもう、時空管理局広報部のアイドルと言われている姿は見る影もない。
 そこにいるのはヴィアッリによって弄ばれて悶えながら鳴くメスの姿であった。
「もう一度聞きますよ?」
 ヴィアッリはクロエの耳にわざと息を吹きかけるように囁く。
「クロエは私にどうして欲しいのですか?」
「ヴィアに……パフェを…食べさせて欲しいにゃ……」
 今も肌を撫でられているクロエは悶えながらも答える。
「よく出来ました」
 テーブルに鎮座している『ラヴァーズパフェ』をスプーンですくうヴィアッリ。
 まだ飛べない雛鳥のように口を開けながら、クロエはヴィアッリを食べさせてくれるのを待つ。
 口を開けるクロエの口へヴィアッリはゆっくりとクリームが乗ったスプーンを持って行き、ある距離でスプーンを止める。
「あっ……らぐっ……」
 ささやかなヴィアッリの意地悪にクロエは情けない声を出す。
 悪戯っぽい笑みを深めながらヴィアッリは言った。
「ほらっ。頑張って食べて下さい」
 その言葉にクロエは精一杯、差し出されたスプーンに舌を伸ばす。
 ヴィアッリが行ったさっきの悪戯で身体が仄かに赤く上気しているせいで妙に色っぽい。
 クロエが頑張る様を眺めながらヴィアッリは艶かしく微笑む。
「ふふっ……かわいい」
 数分ぐらいクロエが奮闘して遂にヴィアッリが差し出したスプーンを口に含む。
「おいしいですか?」
「らぐぅ~♪ 美味しいにゃぁ~」
 嬉しそうな笑顔を見せるクロエ。口元にはべったりとクリームがついている。
「ふふっ。クリームがついてますよ」
 そう言ってヴィアッリはクロエの頬を舐める。
「あぅ……くすぐったいにゃぁ」
 クロエがそう言ってもヴィアッリは止まらなかった。
 半開きの口に滑り込んだ舌が歯を割って、ヴィアッリとクロエの舌が絡み合う。
 粘質な音さえ洩らす濃厚な口付けに、二人の思考が蕩けていく。
 舌が絡まり、吸われ、甘噛みされ、何も考えられないくらい融けるように混ざり合う。
 クロエの口に残ったクリームが二人の口腔を行き来し、溶けていき、二人の唾液と混ざり合って、唾液とクリームの混合物が二人の口腔を汚す。
 二人の一瞬が何処までも引き伸ばされていくが、周囲で見ている人からするとたいした時間は経ってない。
 数分ほどしてヴィアッリの唇が離れると、クロエの唇との間に透明な糸を引いた。真ん中から自重でぷつりとちぎれたそれは、考えるまでも無く二人の唾液で、何回も飲み込んで、何回も飲み込まれたそれらが混ざり合ったもので。
 二人の唾液が混ざり合った物が口を伝って、二人の肌を汚す。二人はお互いの肌を汚した物を拭う為にお互いを舐め続ける。
 幽霧は目の前で繰り広げられている光景が幻覚であると信じたかった。色んな意味で今の光景は二人以外にとっては目の毒でしかないからだ。
「!」
 突然クロエの顔が驚いたような顔をする。
 いつのまにかヴィアッリの手が腰や腹から上っていき、クロエの胸を弄び始めた。
 身をよじらせるクロエの身体を追いかけ、胸を優しく愛撫し、その頂点を指先で摘んで転がすヴィアッリ。
「どうしたの? こんな所で遊ばれて嬉しいの?」
「らぐぅ~」
 真っ赤になった顔を両手で隠すクロエ。
 そんなのクロエの耳たぶを唇ではさみ、舌で転がし始めるヴィアッリ。
 ヴィアッリから与えられる快感にクロエの口から甘い声が奏でられる。
 奏者はヴィアッリ・フィオーレ。楽器は蔵那クロエの身体。
 その音色は高らかに【メイド&執事喫茶「Oberste Erbe」】の店内に響き渡る。
 ここまで来ると流石の幽霧も早く別の仕事に行く事で、この場から逃げたいと思った。



〈【メイド&執事喫茶「Oberste Erbe」】 十九時十一分〉

「……ろくでもない事になっていますね」
「そうですね」
 イツキとなのはの二人もまた公開陵辱に近い演奏会を見ていた。
 そうでも良さそうに眺めているイツキに反し、なのはの顔は引きつっている。
 流石にヴィアッリとクロエの行動をはしたないと思っているのもあるが、幽霧と同年齢であるイツキと共にそれを見ている事に一種の気まずさを感じていた。
 なのはの視線に気づいたのか、純粋無垢で真っ白な笑顔でイツキは答えた。
「このくらいはどうって事はありません。一応は慣れてますから」
「それって一体……」
 今度はイツキの笑顔とその口から出た言葉に口を引きつらせるなのは。
 聞きますかと、幽霧顔負けの艶っぽい笑顔でイツキはなのはに訊ねてきた。
 トマトのように顔を赤くさせ、必死でなのはは首を横に振った。
 必死で首を振るなのはにイツキは訝しげに目を細めながら言った。
「……何か勘違いしていませんか? 地方の魔術関連だと、房術も魔力を高める技術の一つとしてある事を知っているだけですよ」
 自身が予想していなかった事であった事に安心すると同時に、そんな事を考えてしまった事に恥ずかしくなって顔を赤らめるなのは。
 フォークで切り分けたタルトタタンを口に運びながら、イツキは顔を赤らめているなのはを眺める。
 なのはは眺められているのが恥ずかしいのか、更にオーダーした飲み物を飲みながら気を紛らわせ始めた。
 黒い笑顔を浮かべながらイツキはいつまでも自身が誤爆した事を恥ずかしがっているなのはにあっさりと言い放った。
「房術で魔力を高める文化の効用を確かめる先輩のアシスタントとして情事の最中を眺めながらレポートを取ったり、同じ研究機関に籍を置いている女性の先輩に襲われ掛けた事も確かにありましたけどね」
 イツキの口から出た言葉に口から含んでいた飲み物を盛大に噴き出し、次の瞬間には咳き込み始めるなのは。どうやら飲んでいた物が少し器官に入ったようだ。
 今もゲホゲホと激しく咳き込んでいるなのはを、イツキは黒い笑顔を浮かべながら楽しそうに眺めている。
 さっきから恥ずかしいところばかり見られているなのはは羞恥で顔を真っ赤にする事しか出来ない。
 しかしそのままでは、色んな意味で年上のプライドに関わる。
 巻き返しを図るためになのははイツキにとある質問をする。
「そういえばイツキくん」
「何でしょうか?」
 反撃するかのようにいきなり質問してきたなのはにイツキは首を傾げる。
「幽霧くんの抱えている心の闇を晴らせるとしたら……雪奈さんか、雫さんくらいしかいないって言ったよね?」
「はい。そうですが」
 一体それが何かと不思議そうに見るイツキ。
 軽く間を置いてからなのははその質問をかけた。
「その中に……イツキくんはいないの?」
「いません」
 あっさりと即答するイツキ。
 こうもあっさりと言われるとは思わなかったなのはは、イツキを困らせる事が出来なかった敗北感とは違う物を感じた。
 なのはの疑問に答えるようにイツキは言葉を紡いだ。
「僕がきーちゃんの事を理解する事が出来る数少ない人だとしても、きーちゃんの心にある深くて混沌とした闇を晴らすのはもっと別の人です」





選択肢
「次はどこに行く?」
①教導隊の【喫茶「白桜雪」】
②首都防衛部隊のお店 【中華「覇道軒」】
③次元航行部隊 【イタリアンレストラン「光の女神てんし」】
④ナイツのお店 【喫茶「砂糖の王冠クラウンオブシュガー」】
⑤陸士部隊捜査課 【甘味処「華蝶風月」】
⑥陸士部隊 【屋台群「冬天市場」】
⑦アインス&一部有志の店 【アイス「ゼーゲンヴィント」】
⑧フリー(ご自由にどうぞ)

これが作者任せの結果よ! (笑)

次回もお楽しみに
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またひとつ謎が解決、そして新たな課題が出来た..と

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  • 2008-10-20
  • 投稿者 : 恭也
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  • 2008-10-22
  • 投稿者 : 恭也
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[C162] こんにちは

初めて書き込みます。いつも参考にしています。また遊びにきます☆
  • 2008-10-25
  • 投稿者 : はなえ
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[C163]

なのはが吹きだすというのは斬新ですね、驚きましたww
それにしてもクロエさんとヴィアッリさんでああなるとはwww
コンボ決まった! にはちょっと燃えましたww

選択肢は③でおねがいします
  • 2008-10-25
  • 投稿者 : 羽
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[C166] はじめまして

初めて書き込みます。いつも参考にしています。また遊びにきますね。

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