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  • 2008-10-13
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『眠れない二日間』⑤(基本ルール付き)

こんばんは。雪奈・長月です。

今夜は日曜日。
現在、涼香様の時空管理局ラジオ進行中!
それも、なのはParty前SPラジオです。
ひとまず涼香様は自身の身体をご自愛ください。

というかまず先に私自身の精神をご自愛しないといけないですかね・・・・・

過去の部分が読みたい方は『戯言工房』へ。
ある種のカオス空間なのでご注意下さい

では、コメント返しの前に重要な物を。

自由奔放なSSだとよく言われます。なので、基本ルールを制定しました。
余程の事が無い限りは自ら制定した基本ルールに従事して行います。
読者(プレイヤー)の方々。一見さん。傍観しかしない人。
ちゃんと制定した基本ルールを読んで下さいね。



 正式名称は『Abbildung erwarteten kunftigen』
 色々略して、「なのはギャルゲーテイストSS」舞台はstsから約二年後。主人公も含め、オリジナルキャラクターが多い。
 時空管理局ラジオ実況チャットの方々やリスナーを現在進行形でかなり引きずりこんでいます。
 作者でもどうなるか分からないSS。
 あなたはついていけますか?

基本ルール編

・「なのはギャルゲーテイスト」の主人公について
  幽霧霞(ユウギリ カスミ)
  年齢は十五歳。
  諜報部所属の三等陸士。
  使用デバイスは火器型デバイス「アルフィトルテ」
  かなりの女顔で、初対面だと良く女性と勘違いされる。
  その為、潜入任務時は強制的に女装させられる。

  彼は「読者(プレイヤー)様の分身です、現実同様に様々な出会いと経験を繰り返すことで彼の行く先や人格が変化します
  なのでこのSSを見ている読者様も彼がどういう風に進むか、道を示してください」



・「なのはギャルゲーテイスト」の構成について
  この話は大まかに三つに分けられます。

  まず主人公である彼が攻略キャラクターと面識を深める第一部。

  攻略キャラクターのルートを決定付ける二部。
  攻略キャラクターによっては更なる分岐がある場合があります。
  例を述べると、フェイトルートの途中で起こるイベントでアリシアの攻略ルートに分岐するという感じです。

  そして攻略キャラクターとEDを迎える三部。

  流れの中には良い方向に持って行くイベントもあれば、悪い方向に持っていく落とし穴的なイベントもあります。
  頑張って攻略して下さい。



・ルートについて
  この「なのはギャルゲーテイスト」には大まかに分けると、

  →攻略ルート
  →裏ルート
  →オルタルート

  の三つに分けられています。

 →攻略ルート
  攻略キャラは、なのはさん・フェイトさん・はやてさんなどの既存キャラ。彼の所属する諜報部部隊長である長月部隊長や彼のパートナーであるアルフィトルテなどのオリジナルキャラクター。
  それら全てを含めて約二〇〇人以上のキャラクターを攻略ルートとなっています。
  王道とも言えるなのはさんたちと仲を深めるも良し。
  意外な脇役と交流を深めるも良し。
  「なのは」世界で活躍するオリジナルキャラクターとコミュニケーションを取るのも良しです。

 →裏ルート
  このルートはちょっとしたギャグネタが存分に盛り込まれたルートとなっています。
  間違っても18禁全開のルートではないのでご了承下さい。
  ギャグネタになる設定が盛り込まれている以外は、普通の攻略ルートと変わりありません。

 →オルタルート
  このルートの詳細は深く述べる事は出来ませんが、読者が今まで頑張ってきた成果を裏切るような後味の悪いEDを迎えるルートとなります。
  興味本位でこのルートの条件を満たさない事をお勧めします。
  このルートに至るかは、読者様のやる気にかかっています。

  どのルートに突入するかは読者様のやる気次第です。
  皆様ののぞんだよきEDに至るよう、作者も祈っています。



・イベントについて
  本作「なのはギャルゲーテイスト」のイベントは大まかに分けると三つです。頭の隅っこに置いて頂ければありがたいです。

 →通常イベント
  何もしなくても勝手に起きて、勝手に進んでいくイベントです。
  イベント中の選択肢によって起こる好感度が上下したり、特定キャラの特別イベントに突入したりします。
  ようは読者様のやる気次第。
  皆様……良い選択を。

 →特別イベント(エキストライベント)
  一定の条件を満たした時に発動するイベントです。
  好感度・時刻・状態・立場によって発動するイベントや内容も変化していきます。
  特別イベントは特定キャラの好感度を上げるイベントも存在ますが、バッドEDや死亡EDに繋がりかねないイベントもあります。
  おばぁかさんな作者の思考をトレースし、予想しながら頑張って下さい。

 →リクエストイベント
  読者(プレイヤー)の方々がリクエストしてきたことを実現させるイベントです。
  内容によっては本編で採用されない場合がありますのでご了承下さい。
  しかし作者任せでいるとろくでもないことになるもので。
  リクエストはブログのコメントかweb拍手で行っております。



・EDについて
 それぞれのルートを攻略した結果によって至るEDは大まかに

  →最上級ED
  →グッドED
  →普通ED
  →バッドED
  →死亡ED

  →ハーレムED

  →オルタED

 の五つプラス二つとなっています。
 グッド・普通・バッド・死亡は予想がつかれている方が多いと思われるので、それらの説明は省略いたします。

 →最上級ED
  抽象的に言えば、その攻略キャラクターの救いとも言える幸せに至るEDです。
  このEDに至るにはその攻略キャラクターの高感度が他のキャラクターよりはるかに上なのが最重要条件です。
  最上級EDに至る前には…とある難関が存在しますが、このEDに至る事になった方々なら超えられると信じています。

 →ハーレムED
  ある意味で最上級EDより難易度が高いEDです
  簡単に言うと「ハーレムEDというかハーレムルートだと老若男女問わずの幽霧争奪戦」です
  色んなイベントが絡み合ってくるので危険なこと間違いなし。
  あえて自らこの惨劇に挑め! 皆さんは生き残れるか!
  

 →オルタED
  バッドや死亡のEDに至る前にはちょっとしたやり直しチャンスが存在しますが、このオルタEDに至るルートに突入するとそのまま一直線でオルタEDに至ります。
  今まで頑張ってきた読者様の期待を裏切るようなEDにしかなっておりません。救いなど無く、ただ後味の悪いEDです。
  興味本位で至らないようにご注意を



・選択肢
  この「なのはギャルゲーテイスト」のストーリーにおいて重要なものです。
  その選択肢が彼の行動などを決定付けます。
  多く支持される選択肢が彼の行動となり、攻略キャラクターの高感度を上下させます。



・投票
  選択肢とは別に、ストーリーの流れを決まる重要なものです。
  「好きな部隊は?」の投票の場合は、投票結果で票の多い部隊の方をその回で重点的に登場させます。
  たとえば・・・・

  戦技教導だったら、なのは・ヴィータなどの教導組。
  次元航行だったら、フェイト・ティアナ・クロノ・アインスなどの執務官組。
  陸士部隊捜査課だったら、はやて・リインフォースⅡなどの捜査課組。

  といった感じになります。投票結果で主人公の配属も決まります。
  これもネタばれですが、好感度が異様に高いキャラクターがいると、幽霧と同じ配属になる時があります。

(例)投票結果で配属先が戦技教導隊になっても、フェイトの好感度が異様に高いときは、フェイトが戦技教導隊の方に来る

  心配しなくても大丈夫です。三部に移行したときの話ですから。
  組み合わせによっては連鎖作用で、特別なEDに発展する時もあります。
  いろいろとお楽しみに。



・選択肢と投票の仕方について
  選択肢は基本的にブログのコメントかweb拍手でお願いします。時々、とあるチャットでしている時もあります。
  投票は自己紹介の部分に掲載しているので、そこからお願いします。
  作者は木曜日ぐらいから執筆を開始するので、選択肢の選択は出来るだけ早くお願いします。
  コメント返し用のコメントはいつでもOKです。



基本ルールに変更や追加がある場合は、再度掲載いたします。

では、コメント返しです。





コメント返し⑫
「クァットロ、なかなかいい仕事しましたねww 」
 ・このSSにいるクアットロさんは諜報部の部隊長並みに良い仕事をする策士です。

「メイドは人に夢を売る...まぁ間違ってないですね、 夢の国のネズミさんと同じようなものと思えば... 」
 ・某国のとある夢の国に建っている塔に住んでいるネズミさんたちは一家郎党で迷い込んで来た人を食べますけどね

作者である私に「○○ならないように○○して欲しい」や「○○に○○して欲しい」というコメントがあればありがたいです。
「はやてちゃんの出番出せ!」とか「なのはさんをもっと」でもOKです。
中にはある期限までに何かに気づくコメントが必要な場合があります。一定人数が気づかないという事でシナリオが変わる時がありますからね・・・・・・・



本編に入りま~す。
今回は前回にやり残したコミュから開始です。
作者が徐々にイカレて来ているかもしれないので、ご注意ください。





〈【喫茶「ファミグリィア」】 十七時十八分〉

 時間が来た事でどうにか外れた猫耳をテーブルに置き、幽霧は深い息を吐き出す。
「大変だったようだな」
 声をかけてきたのはトーレであった。
 ちょうど休憩時間らしく、挽いたコ-ヒー豆をコーヒーメイカーに入れている。
「幽霧も飲むか?」
「あっ。はい」
 トーレは小さな金属鍋に牛乳と砂糖を入れて火にかける。厨房にホットミルクの甘い匂いとコーヒーの芳しい匂いが広がっていく。
「……手慣れてますね」
「料理はアルバイトを掛け持ちしているチンクや陛下のボディーガードをしているディエチには勝てないが、お茶やコーヒーを淹れるのには自身がある」
 火にかけている鍋の底が砂糖で焦げないようにかき混ぜながらトーレは答える。
「変か?」
「いいえ」
 そう言って幽霧は瞼を閉じて息を深く吸い込む。コーヒーの豆や紅茶の葉の芳しい匂いと共に洋菓子の甘い香りが鼻腔をくすぐる。
「女性らしくて良いと思いますよ」
「――っ!」
 幽霧の一言にトーレは顔を真っ赤にした。いきなり顔を真っ赤にしたトーレに幽霧は首を傾げる。
「……出来たぞ」
 トーレは照れを誤魔化すかの様に作ったホットミルクとコーヒーをマグカップに注ぐ。
 それらのマグカップをテーブルに置くと、ト-レはシンクによしかかりながら自身で淹れたコーヒーを啜る。
「じゃあ……いただきます」
 幽霧はマグカップに口をつける。芳ばしさのある苦みと仄かな甘さが口いっぱいに広がっていく。
「あまくておいしいね」
 トーレの作ったホットミルクが気に入ったのか、嬉しそうにマグカップの中身を飲むアルフィトルテ。
「そうだね」
 幽霧もアルフィトルテの意見に同意しながらマグカップのコーヒーを口に含む。全体に甘く上品で柔らかな印象の味わいが口一杯に広がる。
 余りの美味しさに幽霧はトーレがこれまでの深い味わいを出す為にどれだけ練習を重ねたのかが少しだけ判ったような気がした。
「喫茶店が開けそうなくらいですね」
「そうか……ありがたくお世辞として受け取って置くさ。まだまだ未熟な訓練生たちを鍛えるのも嫌いではないからな」
 トーレは率直な幽霧の言葉をお世辞と取ったらしく、自身のコーヒーを飲みながら笑う。
 会話が途切れた事で厨房はとても静かになり、壁掛け時計の秒針が動く音とマグカップの中身をすする音しか聞こえなくなる。まるで時間の歩みが外より遅くなってしまったような感じがした。
 緩やかに時間が過ぎていく中で先に口を開いたのはトーレであった。
「訓練校の臨時教官としてコーヒーなどの嗜好品を控えるようによく言っているが、今回は特別ということで頼むな」
「ヤー」
 臨時とはいえ訓練校で戦技を襲える教官として、自身の言葉を曲げたくないトーレは空のマグカップ片手にぎこちなく苦笑しながら頼む。それに対して幽霧は教官としてのトーレが放つ空気に感化されたのか、仕事を任命された時の態度で返した。
 トーレは空になったマグカップを近くの棚に置き、スカートの裾を摘みながら鬱陶しそうにしている。
「服がどうかしましたか?」
 幽霧はそんなトーレを不思議そうに眺めながら訊ねる。
 裾や袖にフリルのついたメイド服を鬱陶しそうに見ていたトーレは幽霧の視線に気づき、苦笑しながら答える。
「こういう……普通の女性が着る服は苦手でな……」
 トーレの言葉に幽霧は首を傾げ、きょとんとしながら幽霧は言った。
「今の貴女も十分可愛いですよ」
 何気なく言った幽霧の言葉にトーレの顔が徐々に赤くなっていく。そして遂には耳まで真っ赤になってしまった。
「からかわないでくれ……恥ずかしいから」
 どうやら可愛いと言われる事が無いから恥ずかしいようだ。
 幽霧は無言で間近まで歩み寄り、じっとトーレを見る。その目は見ている人の心の奥まで見透かすようであった。
 本当に心まで読まれてしまいそうな気がしたのだろう。トーレは視線を外そうとするのだが、幽霧の深く澄んだ瞳に吸い込まれてしまう。
 ほとんど目と鼻の先にいる幽霧を突き飛ばすという手もあるのだが、動揺しているからかそこまで思い至らないようだ。その上、背後にはシンクがあるせいで逃げる事が出来ない。
 そもそもライドインパルスで逃走を図るという手段も存在したが、今のトーレの思考はそこまで至っていなかった。
 お互いの呼吸音や心音が聞こえてしまいそうな状態で幽霧はトーレに囁いた。
「長い足がすらっと細いので凄く綺麗だと思いますよ」
「男みたいな奴だぞ」
 間近で見つめてくる幽霧に対し、トーレはどうにか意識を保ながら返す。しかし微かに動揺していた。
「トーレさんは女の子らしいと思いますよ?」
 動揺しているトーレに妖艶な笑顔を浮かべる幽霧。
 仕事以外は無表情でいる事が多い為、トーレはこんな艶っぽい笑顔を見せて迫ってくる幽霧は初めてであった。
 そんな幽霧にトーレは翻弄され、顔は湯気が出てしまいそうなくらい真っ赤だ。
 妖艶な笑みを浮かべたままトーレの耳元に顔を寄せて囁く。
「王子様みたいな女性は、本当はお姫様に憧れているのですよ」
 耳元にかかる吐息と鼓膜を叩く音にトーレの顔が紅潮したままで硬直する。
 蕩けてしまいそうな幽霧の声に意識を持っていかれないように耐えながら言う。
「……コーヒーのおかわりはいるか?」
「いただきます」



 幽霧はトーレが淹れてくれた二杯目のコーヒーに息を吹きかけながら飲んでいた。
 トーレはさっきの事で何かしらの警戒をしているのか、幽霧から離れた位置にいる。
「ままぁ~。ネコミミ~♪」
 アルフィトルテは幽霧がテーブルに置いていた猫耳を頭につけてはしゃいでいた。何故か猫耳の色がこげ茶色から鮮やかな紅色に変わっていた。
 そんなもアルフィトルテの行動にも慣れたらしく、幽霧は頭を撫でながら褒めた。
「可愛いよ」
「わ~いっ♪」
 手馴れたように頭を撫でてきた幽霧にアルフィトルテは無邪気な笑顔を見せる。二人はまるで血が繋がっていなくても、それ以上の絆で繋がっている姉妹のように見えた。
 新たに淹れたコーヒーを口に含みながらトーレは二人を眺めている。しばらくしてからトーレはマグカップをシンクに置き、今もアルフィトルテの頭を撫でている幽霧に問いかけた。
「幽霧」
「……なんですか?」
 ぼんやりとトーレを見つめる幽霧。その目からは全く感情が読めない。
「開発部の鏡月主任から聞いたのだが、アルフィトルテがお前のデバイスなのは本当か?」
「……? そうですが」
 そんな質問をされるとは思ったいなかった幽霧はきょとんとする。
 トーレはそんな顔をする幽霧に構わず、更に質問を重ねた。
「お前はアルフィトルテを何だと思っているんだ? やっぱり、仕事を遂行する為に便利な道具に過ぎないのか?」
「いいえ」
 幽霧はすぐにトーレの言葉を否定した。
「アルフィトルテは確かに自分が創作した銃器型アームドデバイスもとい、インテリジェンスデバイスです。しかしトーレさんの言うような、仕事を遂行する為に便利な道具だとは思った事もありません……」
 そこで幽霧は言葉を区切り、少し間を置いてからトーレに答えた。
「自分の家族です。アルフィトルテはママと呼んできますが、自分にとっては少し年が離れた妹ですね」
「妹か……」
「どうかしたのですか?」
 妹という単語が出た途端に黙ってしまったトーレに首を傾げる幽霧。
 怪訝そうな顔で見てくる幽霧の視線に気づき、苦笑しながらトーレはその問いに答えた。
「いや、ドゥーエがいたら私もそんな感じなのかと思ってな」
「ジェイル・スカリエッティ開発員によって作られたナンバーズの一人であり、レジアス・ゲイズ中将を殺害した事によってゼスト・グランガイツ氏に破壊された方ですか?」
 諜報部で掴んでいる情報の一部を読み上げるように述べてから訊ねる幽霧。トーレは首肯でその問いに答えた。
 ドゥーエの事を思い出しているらしく、トーレの顔は切なさと悲しみが入り混じっていた。
 徐々に重くなっていく空気を読んでいないかのようにアルフィトルテはトーレに無邪気な笑顔で言った。
「じゃあ、とーれさんもママにあたまなでなでしてもらうといいよ」
「……」
 唖然とする幽霧。まさかアルフィトルテがそんな突拍子も無い事を言うとは思わなかったからだ。
「……幽霧」
「……なんでしょうか?」
 軽く間を置いてから話しかけて来たトーレに嫌な予感しかしなかった。
「試しに私の頭を撫でてみてくれないか?」
 予想はついていた幽霧なのだが、流石に現実で起こると絶句してしまうようだ。微かに口元が引きつっている。
 トーレは引きつっている幽霧に頭を下げた。
「恥を忍んで……頼む」
 何もしないで時間だけをかけているのでは埒が明かないと判断したのか、トーレの頭に腕を伸ばす。そして紫紺の髪を梳くような手つきでゆっくりと頭を撫で始めた。羞恥心を無くす為なのか微妙に目が死んでいる。
 他人に頭を撫でられている事が恥ずかしいのか、そのうち廃棄熱が出るのではないかと思えるくらい顔が赤い。
 頭を撫でられる事にくすぐったさを感じながらトーレは呟いた
「意外と照れくさいものなんだな……」
「それはずっとおねえさんでいたからだよ」
 幽霧に撫でられているトーレを諭すようにアルフィトルテは言う。
「そうか……これが、妹の気持ちというものなのか」
 トーレも納得したらしく、瞼を閉じながら頭を撫でられる感覚を味わっていた。
「もう良い。参考になった」
「……そうですか。では、そろそろ失礼します」
 何故か死んだ魚の目をしている幽霧はそう言って裏口から出て行こうとする。アルフィトルテも出て行こうとする幽霧についていく。
 トーレは幽霧の背中を見ながら声をかけた。
「ありがとう……“おにいちゃん”」
 その言葉に対して幽霧は何の返事も返さず、振り向く事も無く、そのままアルフィトルテと共に歩いて行った。
 幽霧とアルフィトルテが去った後、トーレはテーブルに置かれた猫耳をじっと見ていた。
 周囲に誰もいない事を確認するかのように何度も見まわし、誰もいない事を確認すると猫耳に手を伸ばした。
「何をしてますの? トーレお姉さま」
「!」
 ぎょっとした顔で後ろを見るトーレ。そこには楽しそうに笑うクアットロの姿があった。手にはトーレの髪と同じ色をした紫紺の猫耳が。
「いつからそこに……」
「ついさっきですわ♪」
 トーレの額から汗が滝のように流れ始める。ついさっきというのはいつの事だか分からないが、下手したら幽霧に頭を撫でられているトーレの姿を見られている可能性があった。
「猫耳に手を伸ばしているというのは、猫耳をかぶりたいと言う事ですわよね?」
 メガネを光らせ、不気味な笑みを浮かべながらにじり寄ってくるクアットロ。
 不穏な空気をまとってにじり寄ってくるのなら、危険回避の為にこちらも退くのは道理。トーレは後ろに退く。
 しかしそれは幽霧が迫ってきた時の二の舞であった。背中に壁がぶつかる。
 ほとんど逃げ場の無い状況。クアットロは猫耳を持って今も近づいてくる。
「えぃ♪」
 クアットロは楽しそうな声を上げながら紫紺の猫耳をトーレの頭の上に乗せた。紫紺の猫耳はトーレの頭に引っ付いてしまう。
 トーレが猫耳を外そうとしても外れなかった。
「無駄ですわ。一日ぐらいは外れないようにしてますから。ついでに……」
 紫紺の猫耳がついたトーレを見ながら目を細めるクアットロ。猫耳にかけたもう一つの仕掛けが発動するのを待つ。
 徐々にトーレは尻の辺りがむずがゆくなるのを感じた。
 次の瞬間、穿いている下着を押しのけて紫紺の尻尾が生える。
 唖然とするトーレにクアットロは笑顔で言った。
「ネコミミだけじゃなく、ネコ尻尾付きですわ♪」
「……」
 呆然とするトーレ。クアットロはトーレの肩を掴み、ホールへ連れて行こうとする。
「いきますわよ~。お姉さま♪」
「や~め~ろ~」
 トーレはそのままクアットロに引きずられてホールへと連れて行かれた。



〈【喫茶「白桜雪」】 十八時四分〉

「諜報部所属の幽霧霞三等陸士。ただいま戻りました」
 幽霧は裏口から入り、休憩室で休憩している教導隊の局員に挨拶する。
 局員たちは腕を痙攣させながら幽霧に挨拶を返す。見るからに疲れている局員たちに疑問を感じた幽霧は問いかけた。
「何かあったんですか?」
 局員の一人がクアヴィンヴィンを飲みながらその問いに答えた。
「どっかの馬鹿がこの店でクリスマスを騒がせた歌手が働いているというネタを流したんだよ……今はどうにか収まってきたけどね」
「あ~。なるほど……」
 予想していた事態の一つが起きた事にため息をつく幽霧。その言葉がデマで大変な事になった事を同情しているように感じられたのか、局員たちは苦笑いをしながら言う。
「俺たちは教導隊、それも戦技の教導官だぞ。三桁単位で局員を教導するのに比べたら、これくらいはまだ大丈夫だ」
 彼らはそう言うが、クアヴィンヴィンを飲用する姿は疲労で大変な事になっているように見えた。
「幽霧はいるか?」
 休憩室の扉が開き、一人の青年が入ってきた。それは高町なのはと同じく一等空尉で戦技教導官をしているアル・ヴァン・ガノンであった。
 二日間は【喫茶「白桜雪」】のウェイターだからか、上は黒いベストに白い長袖のワイシャツ。下に穿いているのは黒のスラックス。それはまるで映画や漫画に登場するバーテンダーのようないでたちであった。
「何でしょうか? アル・ヴァン・ガノン一等空尉」
「お前の知り合いらしき奴がこの店に訪ねて来たんだ。今は席で待たしている。そろそろ帰ってくる頃だと思ったから呼びに来たんだ」
「ありがとうございます」
 幽霧はアルに深く一礼する。まだ話があるらしく、幽霧が頭を上げてから続きを話し出した。
「俺たちのボスから伝言だ。数時間前の働きと呼び込みの功労としてしばらく休みだってよ。でもまだ噂の波が沈静化したわけではないから、忙しくなった時の為に制服は着とけ」
「アル・ヴァン・ガノン一等空尉。伝言ありがとうございます」
「この位、どうって事はねぇよ」
 背中を折る幽霧にアルはニヤリと笑いながら返した。
 ゆっくりと頭を起こした幽霧は目の前にいるアルの真似をするかのようにニヤリと笑う。
「個人的なお礼として、アル・ヴァン・ガノン一等空尉に一つ良い情報を」
「なんだ? フェイトの休憩時間くらいなら知ってるからな」
 意地悪っぽくニヤリと笑う幽霧に首を傾げながらアルは言った。
「緊急で決まったそうなんですけど、「光の女神てんし」でフェイト・T・ハラオウン執務官とレン・ジオレンス陸曹長がコンサートするそうです」
 幽霧の口から出た情報にアルの顔が一瞬で引き締まる。熱い想いを堪えながらアルは静かな声で問う。
「時間は? ついでにオススメはなんだ」
「開演は十八時三十分。そうですね……あちらで働いている同僚の言葉だとオススメは情熱の気まぐれピッツァと天使のパンナ・コッタだそうです。休憩時間があるのなら今すぐ行く事をオススメします」
「さんきゅっ!」
 そう言って裏口からフェイトの働く「光の女神てんし」へと走って行った。類い稀なる身体能力の持ち主であるアルが全速力で走って行ったのだろう。休憩室に颶風が起こり、女性局員のスカートがまくれ上がったり周囲に置いてある物が飛ぶ。
 幽霧は周囲に落ちている物をある程度まとめ、【喫茶「白桜雪」】の制服を入れているロッカーのある更衣室へ歩き出した。



 
 【喫茶「白桜雪」】の制服に着替え、なのはたちとシフトが合わないせいで暇そうにしていたヴィータにアルフィトルテを預けてから幽霧は待ち人のいる席へと向かった。
 指定された席には一人の少年がショートケーキを食べていた。
 ひょろりと背が高い彼がまとうのは茶色のベストと白のワイシャツをつけ、スラックスをはいていた。
 その隣にはベストと同色のロングコートがたたまれている。
 格好は一般的であったが、例外は右目を覆う眼帯であった。
 医療で使用されるような眼帯ではなく、金属と何かの革で作った海賊のような眼帯。
 少年は幽霧の存在に気づく。
「久しぶりだね。きーちゃん」
 隠されていない少年の左目。純粋な黄金を固めて出来たような金の瞳が笑む。
 無表情である事が多い幽霧の顔には珍しく驚きの色の浮かんでいる。
「いっちゃん……」
 幽霧にそう呼ばれた少年はショートケーキを食べながら笑顔を浮かべる。
「きーちゃんは相変わらず、女装が似合うね」
「色男なのは相変わらずですね。いっちゃん」
 お互いに世辞とも皮肉とも取れるような言葉を交し合う二人。端から見ると意味の分からない会話だ。
「最後に会ったのはいつでしたっけ?」
「九ヶ月前だよ。あの卒業式を忘れるきーちゃんの神経の図太さに感嘆するよ」
 いっちゃんはショートケーキを食べるのに使っているフォークを指でもてあそびながら答えた。
「思い出しました。きーちゃんがトランクスと眼帯以外、全部剥ぎ取られてましたね」
「うん。あの卒業式は寒かったよね……桜吹雪と共に本当の吹雪が吹いたからね。雪奈さんが貸してくれたコートのぬくもりは今も忘れられない」
 遠くを見るいっちゃん。戦闘時の幽霧と同様にその目は死んでいた。
 その周囲で話を聞いていた人たちは目頭を押さえながら同情の涙を流し始める。
「すみません。あの子に、ほこほこシフォンケーキ……ワンホールで」
 中には同情の余り、いっちゃんに食べ物を与えようとする人まで現れ始めた。
 いっちゃんは思い返すように呟く。
「愛にボタンをむしりとられる事は想定していたからきーちゃんに渡したのは良かったけど、まさか何から何まで持っていかれるとはね……」
「会った時は鼻水を垂らしながら涙目でフルフル震えていましたからね。女性の方々は顔を真っ赤にしながらも荒い息でいっちゃんの写真を取ってましたが」
 二人が何気なく語り合っているが、中身は相当悲惨であるのは気のせいだろうか。いや、きっと気のせいではない。
 色んな意味で涙を誘う幽霧といっちゃんの会話に一人の女性と少女が割り込む。
「楽しそうだね。幽霧くん」
「ママぁっ!」
 そこにいたのは、なのはとアルフィトルテであった。
 長時間の休憩を貰ったのか、今は【喫茶「白桜雪」】の制服ではなく私服であった。
「なのはさん」
「幽霧くん。何でアルフィトルテちゃんを置いて、楽しそうに会話しているのかな?」
 笑顔のなのはだが、身体から怒りの微粒子が放出されていた。下手な回答をしたら問答無用で怒られるだろうと幽霧は思った。
 しかしアルフィトルテがなのはを止めた。
「なのはさん。ママはわるくないよ? アルフィトルテが言ったの。ママはこんなときくらい、いきぬきをしたほうがいいよって」
「……アルフィトルテ」
 なのはを必死で説得している姿に目頭が少しだけ熱くなった。
 アルフィトルテはなのはの足にしがみ付きながら言った。
「だから……ママをおこらないで」
 その目には涙が浮かんでいた。
「――っ!」
 なのはもそこまで言われると幽霧を怒れなくなってしまう。
「えーっと……」
 いっちゃんは一種の修羅場っぽい雰囲気に困惑する。
 困惑しているその声で我に返るなのは。いっちゃんに頭を下げる。
「すみません。騒がしてしまって」
「いいえ。別に良いですよ。お暇であればお茶に付き合って下さいませんか? 何かさっきの会話で同情されちゃったようなので……」
 いっちゃんの視線の先にはケーキやパフェが余す所無く乗ったテーブルが。
「喜んで」
 いっちゃんに微笑みながら答え、幽霧の隣に座るなのは。
 アルフィトルテはいっちゃんの隣に座った。
「じゃあ、はじめまして。エースオブエースの一人として有名な高町なのはさん。幽霧霞の同級生で、友人をさせて貰っているイツキ・アインツヴァイツェと言います」
 いっちゃんもとい、イツキ・アインツヴァイツェはなのはに手を差し出す。
「あっ。はい! 高町なのはです。気軽になのはと呼んで下さい」
 イツキは幽霧と同年齢であるはずなのに何故か挙動不審になっているなのは。
 慌てながら差し出した手を握ってきたなのはにイツキは左目を細め、唇には薄い笑みが浮かんでいる。幽霧とは別の意味で不可思議な感じがした。
 テーブルに届けられたカプチーノを啜り、イツキはなのはに言った。
「ひとまず食べながら何か話しましょうか。共通の話題といったらきーちゃん……幽霧の話しかないですが」
「自分の話なんかつまらないですよ」
 隣になのはが座っていることには動揺していないが、イツキが話そうとしている話にはつまらなさそうに嘆息した。
 つまらなさそうに言う幽霧に苦笑しながらもイツキは突っ込みを入れた。
「きーちゃんはその日常に慣れ過ぎているから日常茶飯事のように感じるかもしれないけど、他の人からしたら面白い話だと思うよ」
 再びカプチーノを啜ってからなのはに訊ねた。
「きーちゃんの顔ってどう思いますか?」
「私でも綺麗な顔だと思うけど……」
 質問の意図が分からなかったが答えるなのは。
 それに対し、イツキは笑顔で毒舌を吐いた。
「一種のトラブルホイホイです。きーちゃんの周囲は色々と起きるから、見ている側としては楽しいんですよね」
「う~ん。それは分かるかも」 
 毒舌っぽいイツキの意見になのはも笑顔で同意をする。
 話に挙げられている幽霧本人は無表情で二人を見ながら、アルフィトルテの世話もしていた。
「きーちゃんのトラブルはどのくらい知ってますか?」
 幽霧の事など気にも留めずにイツキは話を進める。なのはは思い返すように呟く。
「クラス全員から白雪姫のヒロイン役を推薦されて、王子役の子が幽霧くんにキスをするマネで良いのに本当にしようとしたから、ステージの上で乱闘が起きた話はアサギさんから。アキさんからは風呂場で盗撮した幽霧くんの写真が高値で出回っていた話なら。確か、胸部と大事な部分を黒い線で隠されていたんでしたっけ?」
「まあ、なのはさんが聞いたのはポピュラーな所ですね。幽霧の肌を見ただけで鼻血を噴出し、その場でぶっ倒れた人がいましたから……林間学校や修学旅行の時は大変でした」
 いろんな意味で悲惨な幽霧の処遇にハンカチや袖で顔を拭く人も現れ始めた。
「卒業式も卒業式で凄かったんですよ。卒業生全員の要望でわざわざ女子用の制服を着た幽霧が生徒を代表して答辞を読んでましたから」
「……」
 イツキの口から出た幽霧の学生時代になのはは呆然とするしかない。
「その後も凄いんですよ。卒業式後には同級生・後輩問わずに沢山の女の子から私だけのお姉さまになって下さいと告白されてましたし」
「すっ……凄いね」
 ココまで来ると顔を引きつらせるしかないなのは。幽霧が死んだ魚の目をしている理由も少し判ったような気がした。
「さて、そろそろ行きましょうか」
 いきなり席から立ち上がるイツキ。
 テーブルに乗っている物を片付けている三人は首を傾げる。
「そろそろ仕事の時間じゃないのですか?」
「あっ。そうですね」
 幽霧が時計を確認するとそろそろ別の店へ仕事に行かないといけない時刻になっていた。








選択肢
「次はどこに行く?」
①査察部のお店 【メイド&執事喫茶「Oberste Erbe至高の遺産」】
②首都防衛部隊のお店 【中華「覇道軒」】
③次元航行部隊 【イタリアンレストラン「光の女神てんし」】
④ナイツのお店 【喫茶「砂糖の王冠クラウンオブシュガー」】
⑤陸士部隊捜査課 【甘味処「華蝶風月」】
⑥陸士部隊 【屋台群「冬天市場」】
⑦フリー(ご自由にどうぞ)
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  • 2008-10-13
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