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[C150]

おはようございますちびびです
涼香さん幸せ死しそうな回でしたね~
幸せに死ねるならそれがどんな死に方でもいいきがしますね
どこの海にでもにたような幽霊話あるようです
                                 
前回の幽霧とナタネの会話が物語に関係してくるということは
あるていど気づいてはいましたがメイドさん好きな私のため
書きませんでしたそれだけです
・・・負け犬の遠吠えにしか聞こえませんね

言い訳ばかりですいませんそれではまた

[C151]

相変わらずギン姉と涼香さんのらぶらぶ空間には入り込みにくい....
でもフラグゲッターな涼香さんのせいでギン姉がやきもきしてるのも相変わらずww
周りの方々は二人の反応をみて酒の肴にしてますねw
もちろんあの人も・・・かな??
  • 2008-09-08
  • 投稿者 : 恭耶
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「涼香様への残暑見舞いver.2」前編

こんばんは。雪奈・長月です。

今夜は日曜日。
現在、涼香様の時空管理局ラジオ進行中!
自身の身体をご自愛ください。

というかまず先に私自身の精神をご自愛しないといけないですね・・・・・

今年も夏が来ました!
いや、今年もちゃんと夏が来ていました。
雪奈・長月の夏の風物詩「涼香様への残暑見舞い」の季節ですね。
今年も例に漏れず長いです。

限りなく、長いです。

ひじょぉぉぉぉぉに長いです。

ちなみにまだ完成すらしてません。

涼香様に送った気がする一部省略編に追加シナリオを入れたフルバージョンなんですが・・・・・・・
重要な追加シナリオがまだ終わっていないのですよ。
だから前編と後編に分けて掲載します。
後編は来週か再来週の予定です。
ここで作者である私から質問です。

「涼香様への残暑見舞いver.2」にエロシーンは必要ですか?

ちょっとどころか、すごく気になります。
もしかしてこのver.2にエロシーンを入れるのが無粋なのかもしれないとかね。
なので・・・・・・・投票よろしく!
投票は私のプロフィールの下に投票場があります。
そこにお願いします。
私のことは気にしないで下さい。
エロシーンを書く覚悟はありますから。

 はい か いいえ

どちらかで答えればOKです。
このブログを見ている人は投票してください。
コメントホイホイとか期待してはいませんから。
でも投票してほしいです。
エロシーンを書くから何とかいうのはありませんから。
予定している内容から数行減るか、そのままかの違いですから。
とにかくお願いします

それはここのところで置いておいてコメント返し開始





コメント返し⑦
「雪奈様は全ての登場人物に腹黒の人と思われているようです・・・・・」
 ・そういう見解をする方が多いようですね・・・・・・表面ばかり見ている方が多いから、何でこの話がターニングポイントであるか気づく方が少ないのでしょうね・・・・・・・・
  きづいているけど話さないのは、この後の展開で後味が悪くするだけのでちゃんとコメントして欲しいですね。
「数の子達のメイド服・・・すっごく(・∀・)bイイ!! 」
 ・作者も意図していませんが、「眠れない二日間」はメイド祭りのようです。
「そして気になるのは幽霧とナタネとの会話…あれがどう物語に響いてくるのか…楽しみですが、違った方向に行かないことを切に願うばかりだ」
 ・流石、私のSSの読者(プレイヤー)で一番真実に近い人ですね。
  コメントも見ているところが違いますね。他の人も気づいたらうれしいな・・・・・・
「アインのメイド服は是非見てみたいなあw 」
 ・私も見たいです(即答)
「長月さんはなかなか性格の悪い方のようですね……」
 ・長月部隊長は中々本性を見せてくれないツンデレちゃんですから

では、問題の本編。
「涼香様への残暑見舞いver.2」前編に入ります





「涼香様への残暑見舞いver.2」前編

「ギンガさん。今度、海に行きませんか?」
「……はい?」
 まだ昼の熱気が残って、少し暑い夜。涼香の言葉にギンガは驚いた。
 涼香は時空管理局広報部の仕事が忙しく、デートをする機会も少ない。その涼香が海に行こうと言い出すとは思っても見なかったのだ。
「実は、夏の特別企画で海に行く事になったんです。だから……一緒に行きませんか?」
 ギンガは息が止まっているような顔をしていた。
 しかしすぐに答えを出さなかった。
 涼香の申し出に対して嬉しそうな顔をしている。しかし同時に心配そうな顔をしていた。
 きっと仕事中に涼香が倒れないかが心配なのだろう。
 何故なら涼香という人は他人の為に自身を犠牲にする様な人だから。
 沈黙でギンガが躊躇っている事に気づく涼香。更にもう一押しする。
「ちゃんとお金は私が出しますよ! その……」
 涼香は照れくさそうに後頭部を掻く。そして微かに頬を赤く染めながら告白した。
「一緒に行ってくれませんか?」
 その顔はまるで好きな娘に告白した男の子の様でなんとも初々しい。
 じっとギンガを見つめる涼香。その目には一種の好奇心と恐怖が同居していた。
 ギンガの答えは聞きたいが、拒否されるかもしれないから怖い。
 涼香の目から伝わる感情にギンガは苦しそうな顔をする。
 自身の躊躇いが大切な人を苦しめていると思ったのだろう。
 無言でギンガは涼香と向かい合い、首に腕を回して力を入れる。
 ギンガの体が少しだけ浮き、涼香がギンガの身体を支える様な感じになる。
「……ギンガ……さん……?」
 少し戸惑う涼香の耳元でギンガは囁く。
「喜んで行かせて頂きます」
 そこでギンガは腕の力を緩める。
「ありがとうございます」
 涼香はギンガに微笑む。
 ギンガはしばらく涼香に見惚れてしまったが、頬を赤くしながら笑顔を返した。



 早朝の駅前。
 ラジオの司会進行兼まとめ役の涼香は誰よりも早く、集合場所に来ていた。
 足元には巨大な旅行かばんが一つ。
 手には『夏の特別企画兼慰安旅行のしおり』が握られていた。
 機材組には既に現地まで飛んで貰ったので、涼香はラジオメンバーを待つだけでよかった。
「誰も来ませんね……」
 一人、溜め息をつく涼香。
 しおりに書かれた集合時間まであと少ししかない。
 計画を少しずらす事になりそうだと涼香は考える。
「涼香さぁ~ん!」
 向こうから女性が走ってきた。その手には大きな旅行かばんが握られている。
 女性に向かって涼香は微笑みながら挨拶をする。
「おはようございます。ギンガさん」
「おはようございます!」
 足首まである薄手の長い半袖ワンピースにカーディガンを肩に掛け、頭には鍔広の大きな麦藁帽子。
 まるで深窓の令嬢か、病弱な少女の様であった。
 そんなギンガの姿に涼香はしばらく見惚れてしまう。
「涼香さん?」
 惚けている涼香にギンガは首を傾げる。
「あっ! はい!」
 我に返った涼香は気が動転し、飛び上がってしまう。
「私……本当に来て、大丈夫だったのでしょうか?」
 ギンガの顔は心配そうだ。
「大丈夫ですよ」
 涼香は笑顔で笑いかける。
「広報部の局員は一人ずつ誰かを連れてこないと罰ゲームなので大丈夫です」
「そうですか……」
 ギンガは安心で胸を撫で下ろす。
「らぐぅ~! 遅れました~!」
 蔵那クロエは黒髪の少女の手を引きながら現れる。
 引っ張られていた少女は少し不機嫌そうな顔をしていた。
 二つに分けた長い黒髪と赤みがかった瞳が印象的だ。
「タイムリミットまで後二十分でしたね……で。誰を連れてきたのですか?」
 涼香はクロエが連れてきた少女を眺めながら尋ねる。
 クロエは少女を掲げるように持ち上げ、嬉しそうに言った。
「からすちゃんです! 最近、仲良くなりました!」
「へぇ……」
 涼香はからすを眺める。
 からすは涼香の視線を睨み返した。
 ちょっと勝気な目つきに涼香は背筋がゾクゾクした。何故か恍惚の表情を浮かべ始め、徐々に息が荒くなっていく。
「うぐっ!」
 その時、涼香は片足に鈍い痛みを感じた。
「どうしたんですか? り・ょ・う・か・さ・ん?」
 笑顔で笑うギンガ。その笑顔が無償に怖い。
 どうやら、つま先で涼香の足を踏んでいるようだ。これは地味に痛い。
「痛いです。痛いです。ごめんなさい。ギンガさん。私が悪かったです!! お願いだから、これ以上、踏まないで下さい!」
 ギンガが強く踏んでいるらしく、凄く痛そうだ。
 そろそろ涼香の目が涙で潤んできている。
 涼香の足を踏むのを止めるギンガ。そして、小さく呟く。
「お願いですから……私だけを見て下さい……」
「ギンガさん?」
 そのセリフが聞こえていなかった涼香は聞き返す。
「いえ。何でもありません」
 軽く溜め息をつき、空を見上げるギンガ。
 自身がいるのに別の人に目を向けている涼香に切なさを感じているギンガの心境とは裏腹に、空は雲ひとつない快晴だ。
「はぁ……」
 再びギンガはため息をついた。
「ジンナイさんもケインさんも遅いですね……」
 時計をチラチラと見る涼香。
 計画している時刻が刻々と近づいてきている。
「涼香さん。あれじゃないのですか?」
 ギンガの指差す方を涼香は見た。
「お前は俺に幽霧を譲って置けば良かったんだよ! 俺まで罰ゲームじゃないか」
「ここまで来たら、お前も道連れだ。というか、お前は自分の姉を連れてこれば良かったんじゃないのか」
 向こうから罵り合う二人の青年がやってくるのが見えた。
 妙に爽やかな笑顔で涼香は向こうからやってくる二人に挨拶をする。
「おはようございます。ジンナイさん。ケインさん」
 涼香の笑顔に二人の青年の顔が引きつる。
「あれ? 誰かを連れてくるように言われていたはずですが……どうしたんですか?」
 二人はわざとらしい涼香の問いに歯噛みする。
 涼香は軽く嘆息し、ジンナイとケインに通告した。
「誰も連れてこなかったので……二日間、機材班にご飯を奢るという罰ゲームですね」
 財布の中が一気に寒くなってしまいそうな罰ゲームの通達に二人は顔を引きつらせた状態のままで硬直する。
「さて、全員揃った事ですし……いきましょうか」
「はい」
「らぐぅ~!」
「……」
「「……ああ」」
 ため息をつきながらトボトボと歩く二人を連れて、涼香たちは駅の構内に入る。中は冷房が効いており、少し寒い。
「涼香さん」
 プラットホームに向かう前にギンガが涼香に尋ねる。
「ん? なんですか?」
「乗車切符……ちゃんと持ってますか?」
「大丈夫ですよ。昨日の夜も確認したんですから、ちゃんと持って……」
 かばんの中を探りながら言う涼香。そして硬直する。
 ギンガたちの脳裏に何か嫌な予感がし、額に汗が流れる。
 そして全員が考える。
 まさか、この男はこんな時にドジっ子スキルを発現してしまったのかと。
「ありました~!」
 カバンの中から八枚のチケットを取り出す涼香。
 その瞬間、全員が駅の構内で転倒した。
「六時五十五分発ヴィルトヴェッサー行き。改札を開始します」
「これ以上、ドジっ子スキルを発動する前に乗りますよ!」
 涼香の手を引き、改札口に走るギンガ。
「ちょっ! 私……そんなにドジっ子ですか!」
「ドジっ子です」
「ドジっ子だ」
「ドジっ子だな」
「……ドジっ子」
 涼香の問いに全員が一切の迷いもなく肯定した。
「そんなぁぁぁ……」
 ギンガに手を引かれながら涼香は頭を垂れた。
 チケットをどこかの溝に落とす事も危惧して、涼香の代わりにギンガが改札口で六枚のチケットを差し出す。
 改札員がチケットに判を押して差し出したと同時にチケットを受け取る。
 そして全速力でヴィルトヴァッサー行きの列車が止まっているプラットホームに走り出した。
 クロエはからすと荷物を抱えながら猛ダッシュ。
「ギンガさん。ちょっと失礼しますね」
「何です……きゃっ!」
 引っ張られながら走るのが嫌なのか、涼香はギンガをお姫様だっこしてダッシュ。
 ジンナイはケインをマネキンの様に抱えながら乗車口に突っ込む。
「行ってこ~い」
「どわぁ!」
 そしてジンナイはケインを槍のように投擲し、列車に投げ込んだ。
「ぶべっ!」
 勢い余ってケインは向かいにある列車の窓に顔をぶつける。
 しかし全員が列車に乗る事だけを考えていた為、ケインを気遣うものはいなかった。



「ヴィルトヴァッサー行き発車しまーす」
「あっ……」
 六人が指定席に座り、列車が発車しようとした時。涼香は何かを思い出したような声を出す。
 嫌な予感がしたギンガは涼香に尋ねる。
「どうしたんですか? 何か大切な忘れ物でもしたんですか!?」
 本当に重要な何かを忘れたんじゃないかと思った全員に緊張が走る。
 ため息をつきながら涼香は言った。
「朝ごはんを買い忘れました……」
 それを聞いたギンガたちは力が抜け、どっと疲れが出た。
「そんな事ですか……はい。お弁当です」
 ギンガが差し出したのは異様に大きなタッパー。
 中にはおにぎりが所狭しと詰まっていた。
「ギンガさん……」
「そっ……それ位のトラブルは……想定済みです……」
 見つめられると恥ずかしいのだろう。ギンガは顔をそらしながら答えた。
「うわぁ……あめぇ……」
 車内のカートで購入したお弁当を見ながらジンナイは呻くように言う。
「おれもそう思った。珍しくお前と意見が合ったな」
 同じくカートでサンドイッチを購入したケインもジンナイの意見に同意する。
「ケイン!」
「ジンナイ!」
 二人は弁当を置き、力強く抱き合う。
「「おれたちは仲間だ!」」
 珍しく意見が合った二人。
 固く抱き合うジンナイとケインを眺めるクロエの息は荒い。
「ジンナイ×ケイン……はぁはぁ」
「クロエ……変だし、気持ち悪い」
 侮蔑するような目でクロエを見るからす。
 しかしクロエはその視線に全く気付いていない。
「からすちゃんも良いと思うよね! ねっ! ねっ!」
「寄らないで! この変態!」
 息がかなり荒いクロエに貞操の危機を感じたからすは平手打ちをする。
「うほっ。良い平手打ち……ティンとキタァ! いいスナップ! 健康的だよ! からすちゃん!」
「きゃああああああ! ここに救いようも無い変態がいるよぉ!」
 何故か強引にからすを押し倒し、覆いかぶさろうとするクロエ。
 からすも必死に抵抗するが、曲がりなりにも武装局員であるクロエの腕から抜け出せない。
「いっぱい可愛がってあげるね……」
「あ――!」
 涼香とギンガは既に二人の世界に入っているし、ジンナイとケインは友情を確かめている。
 そして周囲の乗客たちはクロエに襲われるのは嫌らしく、見て見ぬ振りをしている。
 よってクロエを邪魔する者は乗客の中には居ない。
 数分後。
「おかあさん……わたし……よごれちゃったよ……」
 からすの服はかなりはだけ、身体の所々に蚊に刺されたような赤い跡があった。
「ん? どうしたんですか?」
 やっとからすの悲惨な状態に気づく涼香とギンガ。
 からすは涼香とギンガにすがりつく。
「ちょっ! どうしたんですか?」
 いきなり抱きつかれた涼香とギンガは動揺する。
「クロエさん……何かしたでしょ……」
「らぐぅ♪何もしてないですよ~。まぁ……ちょっとした味見を」
 楽しそうに舌を出すクロエ。
「やっぱりやったんじゃないですかぁーーー!」
 涼香はクロエの頭を掴み、乱暴に揺らす。
「あっ……涼香さん……激しいよぉ……激しくされたら……壊れちゃうよぉ……」
「ついに暑さで頭の中身が沸騰しましたか!」
 更に涼香はクロエの頭を揺らし続ける。
「らめぇ~! 涼香さん……そんなに激しくされたらイっちゃうよぉ~!!」
「勝手に異次元にでも何にでも行って下さい!」
 そんな事が起きながらも列車はヴィルトヴァッサーへと向かう。



「こちらヴィルトヴァッサ~。ヴィルトヴァッサー。お降りの方はお早めに~」
 涼香たちは荷物を持ちながら下車し、駅に降りる。
「わあぁぁぁぁぁぁ……」
 駅の外に広がる光景にカラスは感嘆の声を上げた。
 六人の目の前には地平線にまで広がる海と大きな砂浜が見えた。
「え~。私はこう考えるのですよ。スクール水着とは、神と幼女のみが着る事を許された衣服だと!」
 目の前に広がる砂浜を見たクロエがいきなり語り始めた。
「だからスクール水着に対して私たちはこう言うべきです。スク水サイコぉぉぉぉぉぉぉー!」
 完全にクロエが暑さか何かでラリっている。
「いい加減、黙れ」
 ジンナイはクロエに手刀を叩き込む。
 クロエはその一撃で意識を失い、ジンナイの腕に倒れ込む。
「そんじゃあ。ホテルの方に行くか。機材班も待っていることだしな」
「ええ。そうですね」
 涼香はクロエとジンナイの荷物を持ち、ジンナイは気絶したクロエを担いで歩き出す。



 涼香たちは拾ったタクシーでホテル『レイヴンテイル』に辿り着く。
 ジンナイの手刀が強すぎたのか、クロエが目を覚ます様子は無い。
 ホテル『レイヴンテイル』の前では缶コーヒーを啜る青年の姿があった。
 青年は近づいてきた涼香たちに声をかけた。
「おう。遅かったな」
「神楽さん。機材班の引率ご苦労様です」
 涼香に神楽と呼ばれた青年は空になった缶を籠に捨てる。
「ん~。涼香も引率ご苦労さん。大変だっただろう? 発情しかけのクロエとか」
「ははは……」
 神楽の言葉に苦笑する涼香。
 予想した通りの自体が数十分前に起きたからだ。
「まぉ。想定内だから良いけどさ……収録は一時間半後だからな。それまでに頼む」
「……了解いたしました」
 涼香たちはホテル『レイヴンテイル』に入っていく。
 『レイヴンテイル』の中は冷房設備も完備されており、入った途端に冷気が入り込んできた。
「くぁ~。涼しい……」
「そうだな……」
 ケインとジンナイは涼しさに至福のため息をつく。
 涼香はフロントを横切り、カウンターの従業員に声をかける。
「えっと……時空管理局の……」
「ナカジマ夫妻と愉快な広報部さまですね」
 笑いをこらえながら作業員は涼香に確認を取る。
 従業員の口から出た言葉に涼香は噴いた。ギンガも顔を赤らめて俯く。
 そして涼香は外にいる神楽の方を見る。
 神楽どころか、ジンナイとケインまでが腹を抱えながら笑っていた。
 ここで涼香は広報部の局員全員にはめられた事を悟った。
 かなり恥ずかしかったが、涼香は従業員から一つの鍵を受け取る。
 そして顔を真っ赤にしながらギンガの手を引き、部屋へ荷物を置きに行く。
 きっと広報部全員の狙いはそれなのだろう。
 無言で涼香はエレベーターの前まで歩いていく。
「……」
 そしてエレベーターの中でも無言であった。
「りょ……う……か……さん?」
 二人しかいないエレベーターの中で先に口を開いたのはギンガであった。きっと黙っている涼香が怒っているように見えたのだろう。
 少し間を置いてから申し訳なさそうに涼香は言った。
「……ごめんなさい」
「はい?」
 謝られる理由が全く分からないギンガは首を傾げる。
「あいつらのせいでギンガさんに恥ずかしい思いをさせて」
 ポツリと口に出す涼香。
 その言葉にギンガは首を大きく振った。
「ううん。良いですよ。気にしないで下さい。その……涼香さんの妻と言うのは嬉しかったですし」
 自身の指をつき合わせながら呟くギンガ。しかし呟きが小さい上にエレベーターが開く音でかき消されてしまった。
 渡されたカードキーに刻まれた番号の扉を開けた時、そこに広がっていたのは見晴らしの良いテラスとキングサイズのベッドであった。
「……」
 涼香は唖然とする。前に予約したときはもう少し質素であった。
 まさか広報部の局員たちが涼香に内緒で変更したのだろうか。
「いい景色ですね」
 ギンガちょこんとベッドに座り、テラスから広がる海に感嘆する。
「それはよかっ……」
 荷物を移動させようとした涼香はバランスを崩す。持っていた荷物が鈍い音を立てながら落ちる。
「きゃっ!」
 部屋の中でギンガは小さく悲鳴をあげる。
 目を開ける涼香。そこにはベッドに押し倒されたギンガが。
 腕は涼香によってベッドに押し付けられ、覆いかぶさる様な感じになっている。
 そんな状況に涼香は顔を赤らめる。
「すみま……」
 慌てて離れようととする涼香にギンガはか細く囁く。
「あの……良いで」
「準備はどうですか?」
 声とともにケインがいきなり二人の泊まる部屋に入ってきた。
 そしてその場に瞬間凍結魔法が発動したかのように、一瞬で空気が凍りついた。
 その空気を挽回するようにケインは冷や汗を流しながら言った。
「ごゆっくり~」



「ジンナイさん! 手刀を叩き込むなんてひどいにゃ~」
 約三十分前に目覚めたクロエがジンナイに文句を言っていた。
「放って置いたらお前が仕事を忘れて行方不明になりそうだしな」
 必要最低限の原稿を一人分ずつ纏めながらジンナイはクロエに言い返す。
 からすはクロエの近くは危険だと察知したのか、遠巻きからジンナイとクロエを三角座りで観察している。
「だはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「ケイン……大丈……」
 遠くからケインの叫びが聞こえてきた。
 何かの危険を感じたジンナイは声の方を振り向く。
「……夫……じゃ……ないな」
 ケインの背後にはデバイスを纏った涼香と顔を真っ赤にしたギンガの姿があった。
 涼香の目は据わっており、下手したらケインを半殺しするまで止まらないような気迫が身体から放たれている。
「……クロエ」
「了解にゃ♪ 偽からすの尻尾ブレード!」
 クロエのかぶっている帽子のアクセサリーが発光し、無骨で巨大な機関銃が握られる。
「覚悟するにゃ♪ クロスファイア……」
 『偽からすのしっぽブレード』の銃口やクロエの周囲に群青色のスフィアが出現する。
 照準は涼香とケインをしっかり狙っていた。
 群青色のスフィアが強い光を放つ。
「シュートだにゃっ!」
 クロエが『偽からすのしっぽブレード』から迫り出したグリップを握り、人差し指に掛けた銃爪を絞った。
 スフィアから複数の魔力球が打ち出される。
 〈クロスファイアシュート〉が発動されたその光景ははあたかも複数のホーミングレーザーが放たれたような光景であった。
「うごぉ!」
 クロエの発射した魔力球の十何発かは見事にケインの身体にめり込んだ。
 しかし涼香は拳で飛んできた魔力球を全て弾き飛ばした。
「殲滅完了だにゃ~♪ 頭は冷えたかにゃ?」
 重要な一仕事が終わったかのような爽やかな笑顔で空を仰ぎ見るクロエ。
「死ぬかと思ったわ!」
 ケインはクロエに大声で文句を言った。



「開始三十秒前!」
 監督兼キーパーの神楽はカメラを担当する局員の背後でカウントを入れる。
「頑張りましょうね」
 涼香はクロエたちに声を掛ける。
「了解だにゃ~」
 楽しそうな声で答えるクロエ。
 ジンナイとケインは無言で頷いた。
「涼香さんも頑張って下さいね」
 そう言ってギンガはカメラに移らない位置へからすと共に移動する。
 神楽は向こうにいる涼香たちに手で合図を送る。
 一秒ごとに指を折っていく。
「5」
「4」
「3」
「2」
「1」
 ゼロの代わりに機材班たちが放送を開始した。 
「始まりました! ミッドチルダステーション。」
「略して」
「「みどすて!!」」
 ハイテンションな司会の涼香三等空尉と司会補佐の蔵那クロエ。そしてジンナイとケインの四名によって『ミッドチルダナイトステーション』。
 略して『みどすて』の特別企画が放送される。
「は~い。全国の魔導師の皆さんこんにちは~。『みどすて』の夏の特別企画! ラジオメンバーがテレビで生放送です。いつもどおりに司会進行の涼香でふ」
 珍しく饒舌な涼香なのだが、そのまま上手く行くはずも無く最後で舌を噛んでしまった。
 ラジオメンバーも機材班も顔に笑いが出ないように堪える。 
「補佐のクロエです☆」
 右手の親指・人差し指・小指の三本を立てながらウィンクするクロエ。
 笑顔で涼香は手でジンナイとケインを指し示す。
「突っ込み役のジンナイさんとボケ役のケインさんです」
「「ちゃうわっ!」」
 涼香の説明に二人は息を合わせたかのように突っ込みを入れる。
 機材班も音を拾わない程度の小ささで苦笑する。
 二人の突込みを無視して、クロエは話し始める。
「まず、ヴィルトヴァッサーのイベント情報です……」
「本日と明日。『ミッドチルダの歌姫』と謳われるえーまひよーさんがヴィルトヴァッサーでサマーコンサートツアーを朝と夜に行います。チケットを買っていない方はお早めに~」
 涼香が言い終わると同時に機材班は映像を切り替える。
 きっとテレビにはえーまの写真と歌が流れているだろう。
 ジンナイは椅子によしかかりながら呟く。
「ひよーも頑張ってんだな……」
「あの頃が懐かしいニャ~」
 クロエも思い返すように呟く。
 その時、監督の神楽がラジオメンバーにカンペを見せる。
 書かれた文字は「画面変更まで後十五秒」だった。
 二人は顔を青くし、だらけた姿勢を直す。
「他にも明日の夜から、こまみ劇場で『魔法少女ろりこっとん The Movie』が放映されます。この放送を見たという方は劇場でそれを言うと特別グッズを抽選でプレゼント。お楽しみに!」
 涼香が言い終わるのを見計らって、クロエは大きな箱を机に置く。
 何かを思い出すようにケインは呟く。
「確か、劇場中で使用された『ライトニングブルーム』の現物プレゼントでしたっけ?」
 ケインの一言に広報部所属の局員全員が凍りついた。
 特別グッズの正体は出来るだけ伏せるように言われている。
 理由はこの放送を見たファンやマニアがこまみ劇場に集束しかねないからだ。
 しかしケインはそれを忘れてうっかり口に出してしまったから大問題なのだ。
「ちょっ! それをここで言うなっ!」
「ぐぼぉっ!」
 ジンナイによって胸部に拳を叩き込まれたケインは椅子から崩れ落ち、床で悶絶する。
 機材班たちは可哀想だとは思ったが、助ける気にはならなかった。
 そしてそのまま『みどすて』の特別企画放送は続く。
「次は『みどすて』恒例のお便りの時間です。涼香さん。どうぞっ!」
 涼香はクロエの差し出した箱の穴に手を突っ込み、はがきを引っ張り出す。
 そのはがきの文面を見た途端、涼香の顔が強張る。
 強張る涼香にジンナイは内容を読むように肘でせっつく。
「え~。民間の方です……「涼香様。初回放送からずっとファンでした。好きです。一度会ってくださりませんか」……」
 読み上げられた文面に全員が凍りついた。
 涼香への告白のお便りは昔からあるが、一向に治まる気配が無い。
 一応は広報部でもそんなお便りは放送中に読まれないように分けているが、巧妙な手口で普通の手紙と偽装されて送られる。
 それは広報部の悩みの種の一つであった。
「またもや告白されてしましたね~」
 しかし涼香は顔に出さずに進行を行っていく。
「では、次のお便りです! 今度も民間の方です。「クリスマスの時空管理局感謝祭で出てきたミラージュさんを『みどすて』に招待して下さい! 彼女たちが気になって、夜も眠れません」……だそうです」
 このお便りにも全員が硬直せざるを得なかった。
 彼女たちについては広報部の局員たちも知らなかったからだ。
 誰であるかは予想がついているが、確信は無い。
「とりあえず、ミラージュについてはそれに関する便りが多かったら、『みどすて』の出演を考えます」
 かなり苦し紛れではあったが、広報部の局員たちはこう言う事しか出来なかった。
「それでは、『みどすて』の特別企画放送を終わります!」
「では、皆さん!」
「ありがとう」
「「ございました!」」
 機材班はラジオメンバーが手を振る場面で放送を終了する。
 神楽は全員に指示を出した。
「これにて解散! 全員ご苦労! ただし機材班はミーティング後だ」
 機材班は神楽の指示に渋い顔をした。
「文句あるか?」
 殺気混じりの視線に機材班は一斉に首を振った。



 どうにか無事に生中継も終わり、解散になった。
 涼香は浜辺にパラソルを立てながらギンガを待っていた。
「……涼香さん」
「あ~。着替え終わったのですか……」
 背後にいるギンガを見るために振り向く涼香。
 そして涼香はギンガの姿は絶句した。
 ギンガは紐で結ぶタイプの黒いビキニ姿。
 雪のように白い肌と相まってビキニの黒が映え、豊満痩躯な身体の線が何とも扇情的であった。
「なんて物を着ているんですか!」
「涼香さんに見てもらいたくて……ダメですか?」
「最高です!」
 その瞬間、涼香の鼻から鼻血が流れた。
「炎天下にずっといたからのぼせたんですね」
 ギンガは涼香の鼻から出る血を拭う為に身をかがめた。
 そう為、涼香の視点からはギンガの胸の谷間が見える体勢に。
 興奮で涼香の顔に血が上り、更に出血が激しくなる。
 貧血状態になった涼香の視界が徐々に揺らいでいく。
「涼香さん!?」
 倒れようとする涼香を抱き留めるギンガ。ギンガの胸に涼香が顔を埋める体勢となる。
 この状態は貧血状態涼香には逆効果であった。
「我が人生に……一片の悔い……無し……」
「涼香さん! 涼香さん! 辞世の句なんて詠まないで下さい!」
 その瞬間、涼香の身体から力が抜ける。
 力が抜け落ちてしまった涼香を抱きながらギンガは叫ぶ。
「誰か……誰か助けて下さいっ!」



「はははっ……どうにか生還です……」
 鼻の下に血がこびりついたまま笑う涼香。
「もう……心配したんですから……」
 ギンガはそう言いながら濡れたタオルで涼香の鼻の下を拭う。
「お待たせしました~」
 背後から掛けられたクロエの声に涼香とギンガは振り向く。そして凍りついた。
 クロエとからすの着ていた物はスクール水着であった。
 小学生ぐらいのからすは似合うが、クロエが着るとただの痴女だ。
 身体のラインや形までが紺色の布地に精密に出ている。
「クロエさん……」
「? 何ですか?」
 涼香の言葉にクロエは首を傾げた。
「猥褻物陳列罪で訴えられる前に着替えて下さい」
「らぐぅ……」
 唸りながらクロエは女性用の更衣室へと歩いていく。
 その後姿を浜辺にいた男性が前かがみの状態で見送った。
 歩いていくクロエの後姿を見ながら涼香は呟く。
「あの年でスク水はヤバいですから……」
 その涼香の呟きに周囲の男性は申し合わせたかのように頷いた。
 数分後。
「待たせたにゃ~」
 振り向く涼香。そして鼻を押さえる。
 クロエの着ているのは水着だが、これは俗に言うバカ水着の領域だろう。
 隠さないといけない部分は黒いビニールで隠し、透明なビニールでつなぎ合わせられている。
 離れてそれを見ると大事な部分を黒く塗ったような感じになっている。
「らぐぅ♪ どうかにゃ~」
 鼻を押さえる涼香に抱きつくクロエ。
 水着がビニールで出来ているからか、胸の柔らかさや乳首の感触が直に伝わってくる。
 涼香は出来るだけに見ないように上を向く。
 しかし感触が気になって下をチラチラ見てしまう。
 そして意外と豊満なクロエの谷間に目が行ってしまう。
「涼香さん?」
 更に腕の力を入れるクロエ。
 密着しているせいで涼香の股にクロエの股が押し付けられる。
「あっ……涼香さんの……固くなってる……」
「ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 涼香の口から声にならない叫びが出てくる。
 徐々に身体がカタカタと震え始めた。
「もっと固くするゃ~」
 クロエは更に身体を密着させ、涼香に擦り付ける様に腰を動かし始める。
「涼香さん……」
 羨ましそうにクロエを見るギンガ。
 その顔はとても切なそうであった。

 砂浜にパラソルを立てた後にギンガは涼香に尋ねた。
「そういえば涼香さん。お腹はすきませんか?」
「はい。そうですね」
 その意思を示すかのように涼香の腹が音を鳴らす。
「じゃあ、焼きそばを買ってきますね。涼香さんは絶対にパラソルの外から出ないで下さいね」
「はいはい……」
 苦笑しながらも涼香は海の家へと走っていくギンガを見送る。
「ふぅ……」
 涼香は後ろに手をつきながら上を見上げる。
 パラソルの布地を透かして、太陽の光が涼香の目に突き刺さった。
 仕事のせいで日ごろから寝不足な涼香の目に太陽の光がしみた。
 目の前が回り始めたところで涼香は視線を下に戻し、砂浜の方を見る。
 海水浴シーズンだからか、人が異様に多かった。
 そこで涼香は海面のある一点に目が行く。
 海面で腕を振り回している女性の人影があった。
 どうやら溺れているらしい。
「天乃羽衣……神楽式!」
 涼香は自身のデバイス『天乃羽衣神楽式』を展開。海へと走り出す。
 光が涼香の首から下を覆い、光はスウェットスーツとなる。
「ホバーリングファン」
 両足に魔力で構築された円環が装備され、円環が高速回転し始める。
 そのまま涼香は海に突っ込む。
 高速回転する円環が涼香の体を浮かせるホバーの代わりとなり、涼香を溺れている女性の方へ進ませる。
 女性は既に気を失っているらしく、海に漂っていた。
 危ないと判断した涼香は更に走るスピードを高める。
 遂に漂っていられなくなったらしく、女性の身体が海に沈んでいく。
 涼香は〈ホバーリングファン〉を解除し、海に飛び込む。
 同時に〈アクセルファン〉を展開。足の裏に魔力の円環が出現し、スクリューのように回転する。
 どうにか沈んでいく女性を抱きかかえ、ゆっくりと海面へと上がった。
 女性を抱きかかえたまま涼香は浜辺へと泳ぐ。
 人一人が海で溺れていた事に気づいていない浜辺では沢山の人が楽しそうに遊んでいる。
 涼香は女性を浜辺に寝かせ、軽く頬を叩く。
「大丈夫ですか?」
 しかし反応が無い。
 意識が無いのであれば、人工呼吸しか方法は無い。
 まず片方の手で額を押さえ、もう一方の人差し指と中指で顎を上に持ち上げる。
「ごめんなさい……」
 何か罪悪感があるのか涼香は軽く謝り、片手で女性の鼻を摘みながら口に息を吹き込む。
「涼香さ……」
 買い物から帰ってきたギンガが涼香に駆け寄る。
 そして買ったやきそばをポロリと浜辺に落とした。
 ギンガに気づかない涼香は重ねた両手を女性の胸に乗せ、何度も女性の胸を圧迫する。
 五回か六回ぐらい繰り返した後に女性は息を吹き返し、海水を吐き出した。
「大丈夫ですか?」
「え……ええ……」
 涼香に頷く女性。何故かその頬は赤い。
「救急隊です! 溺れた方はどちらですか!」
 誰かが救急隊に連絡したらしく、救急隊の隊員がやって来た。
「こちらです。息を吹き返しましたが、万が一というのもあるのでお願いします」
「はい!」
 隊員は女性を担架に乗せる。
「えっと……貴方の名は……」
「名乗るほどではありません」
 そのまま女性は救急隊の隊員に担架で運ばれていった。
「涼香さん。大活躍ですね」
 背後からギンガに声をかけられる涼香。振り向いた瞬間、その顔が引きつる。
 ギンガは笑顔であったがその笑顔がとても怖かった。
「……ぎ……ギンガさん……?」
「なんでしょうか? 涼香さん」
 笑顔を浮かべているのだが、ギンガの声に微かな怒気が混じっている。
「焼きそばを買いに行っていたのでは……」
「気のせいですよ」
 ギンガは笑顔で涼香に有無を言わせない。
「お腹が空いたので焼きそばを買ってきます……」
「どうぞいってらっしゃいませ」
 とぼとぼ歩いていく涼香をギンガは笑顔で見送る。
 海の家には長い行列が出来ており、肌がじりじりと焼かれていくのを感じながら涼香は列に並ぶ。
 脱水症状や日射病になりそうな感じがし始めた時、やっと涼香はたどり着いた。
「やっほ~。元気ですか~♪」
「雪奈さん!?」
 海の家で焼きそばを売っていたのは諜報部の部隊長である雪奈・長月であった。
 何故か額にはねじり鉢巻きを締め、藍染らしき甚平を着ている。
「なぜ、ここに……」
「ん? 営業兼、特別合同演習」
 話しながらも雪奈は器用に両手のヘラで焼きそばを炒める。
 それは妙に様になっている。
「こんにちは。涼香さん」
 背後からかけられた声に涼香は振り返る。
 そこにいたのは幽霧であった。何故か、赤いビキニ姿。
 幽霧が男であると流石の涼香も知っていたが、その姿に見惚れてしまった。
 赤いビキニが真っ白な肌に映えているし、線の細さが発展途中の身体であるかのように思わせる。
 腰に巻かれたパレオが幽霧の下半身を隠しているので、完璧に女の子にしか見えない。
 本当に幽霧には悪いが、女の子にしか見えなかった。
 次の瞬間、何かが切れたような感覚と同時に鼻血が再び噴出する。
「水着の幽霧に発情? やらし~♪ ギンガさんに言っちゃお~」
 鼻血を手で押さえながらしゃがむ涼香を見ながら雪奈はケタケタ笑う。
 幽霧は冷静に濡れたタオルを涼香のうなじに乗せる。
 適切な幽霧の処理で涼香の鼻血もすぐに止まった。
「ん~。でもそんな必要はないかもしれないね」
 雪奈の視線の先にはギンガの姿があった。
 時間が異様にかかっている涼香を心配して来たのだろう。
 鼻を押さえている涼香と赤いビキニの幽霧を見たギンガは硬直している。
 一部始終を見ていた者なら幽霧が涼香の治療をしていた事は分かるだろう。
 しかしギンガはその事を知らない。
 きっとビキニ姿の幽霧に発情している涼香の図にしか見えないであろう。
「涼香さんの……」
 足を後ろへ蹴りあげるギンガ。
「ばかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ふげぇ!」
 涼香はギンガに頭を蹴られる。
 そして軽い脳震盪を起こし、視界が小刻みに揺れながら意識を失った。
 最後に見たのは雪奈の来ている甚平の背中に白く書かれた「人誅殺」の三文字であった。



 涼香が気を取り戻して最初に見たのはパラソルであった。
 どうやらシートの上で寝てしまっていたようだ。どうして寝ていたのか思い出す涼香。
 しかし溺れていた女性を助けてからの記憶がない。そして妙に頭が痛かった。
 身体を起こすと、額に乗っていたと思われる濡れたタオルが腹部に落ちる。
 涼香は頑張って思い出そうとするがやはり思いだせない。
「う~ん」
 頭を抱えながらしばらく考える涼香。
 思い出せない事を無理やり思い出してもしょうがないと思ったのか、目の前の浜辺をぼんやりと眺める。
 目の前ではスクール水着を着ているアルフィトルテとからすが大人水着を着たクロエに追いかけられていた。
「うわぁぁぁぁぁぁんっ! ママあぁぁ!」
 アルフィトルテは追いかけてくるクロエに捕まらない為に必死で走っていた。
 襲い掛かってくる恐怖にアルフィトルテの赤い目からは涙が流れている。
 からすも恐怖で顔を歪めている。
 その背後で高らかに笑いながらクロエが走っていた。
「はははははは♪ アルフィトルテちゃんもからすちゃんも待て待て~♪」
 口から涎を垂らしながら追いかけるクロエの鼻から血が勢い良く噴出し、砂浜に血が点々と落ちていく。
「……」
 涼香は口には出さなかったが、明らかにクロエは痴女じゃないかと思い始めた。
 蔵那クロエは普通の時はまともな広報部局員だ。
 凛々しい所や時折見せる子供っぽい面によってファンクラブが出来ているくらいだ。
 しかし『スクール水着』というものに目が無く、スクール水着を見たときは精神に異常があるのかと思えるほど狂い始める。
 あの変態っぽい奇妙な性癖が無ければアイドルを目指せるのではないかと、広報部やリスナーの間で囁かれている。
「はぁ……」
 涼香は一人、ため息をつく。
 そして襲われかけている二人を助けるために腰を上げる。
 しかしその心配も無駄に終わった。
 アルフィトルテとからすは走りながら目配せをする。
 走ってくるクロエに指を指しながらアルフィトルテはある魔法の呪文を詠唱した。
「其は石眼の魔女にして、美の女神。その力故に戦女神の盾となりし者。我はその威光で彼の者を石へと変えん……アイギス」
 クロエの身体にアルフィトルテの指先から撃ち出された弾が着弾する。
 その瞬間、クロエの動きが少しずつ鈍り始める。
 最終的に自身で身動きを取る事が出来なくなるクロエ。
 動きが完全に止まったクロエを見たアルフィトルテとからすの目が光る。
 からすはクロエに接近し、腰を下げながら組んだ両手を前に出す。
 アルフィトルテはからすの方に走り、足をからすの組んだ両手に乗せる。
 渾身の力で両手とアルフィトルテをからすは持ち上げる。
 からすによって飛ばされたアルフィトルテは両足の太ももでクロエの頭を挟み込む。
 クロエは予期もしなかった展開に喜ぶ。
 しかし残念ながらそれは刹那の幻想であった。
 後方に反りながらアルフィトルテは空中で回転して、大地に叩きつける。
 勢いは収まることなく、アルフィトルテとクロエは回転しながら砂浜を走る。
 そして最終的には海にまで突っ込んだ。
 アルフィトルテは口に入った海水を吐きながら海から上がる。
 クロエはどこかの映画のワンシーンよろしく、両足を海面から突き出すような姿勢になっていた。
 結果はどうであれ、二人がクロエの毒牙にかかからなかった事に涼香は安心した。
「ん?」
 そのまま浜辺を見回していた涼香はある所に目が留まった。
 男数名が女性一人を取り囲んでいる。
 どうやら男性が女性をナンパしているようだ。
 男女関係に手を出すのは野暮だと感じた涼香はその光景を傍観する。
 眺めている内に空気も悪くなっていくのを涼香は感じた。
 そろそろ男たちが女性に武力行使を行いそうな雰囲気だ。
 涼香はシートから立ち上がり、男たちのいる方へと歩いていく。
「だからさ……一緒に行こうよ……」
「……嫌です……」
 見知らぬ男性に囲まれているのが怖いのか、微かに震えながら答える。
 言う事を聞かない女性に対して頭に血が上った男の一人が拳を振り上げる。
「優しくしていればこのアマ!」
 次の瞬間に振り下ろされる拳の痛みを覚悟した女性は恐怖でまぶたを閉じる。
 全力で涼香は砂浜を蹴り、男たちと女性の中に割り入る。
 そして男の手首を掴んだ。
「なんだてめぇは?」
 睨む男に涼香は手首を掴みながら答えた。
「この人の連れです。何か用ですか?」
「うるせぇ! この軟弱な優男が」
 男は涼香の手を振り払い、拳を振り上げる。
 表情一つ変えずに涼香は男の対応を行う。
 振り下ろされた拳の軌道上に腕を置く事で肘に滑らせて受け流す。
 その滑りに合わせて右手を突き出す涼香。
 同時に足裏から何かが回る。
 膝を巡り、太腿を介して腰が回転した。
 腰の捻りに突き上げられ、掌が意思とは関係なく螺旋を描いた。
 涼香の足元にある砂浜の砂が不自然に巻き上がり、男の胸部に掌が触れた。
 男は軽く涼香に触れられただけなのに宙を飛び、大きな水しぶきを上げながら海に落ちる。
 そして十秒ぐらいが経過してから男の身体が浮かび上がる。
「あいつやべぇっ! 逃げるぞっ!」
「……ああ!」
 逃げなければ次は自分たちの番だと思ったのか逃走する男たち。
 残されたのは涼香と女性。そして海に浮かぶ男。
 女性はおどおどしながら涼香に頭を下げる。
「あっ! ありがとうございます」
「はい。どういたしまして」
 涼香は頭を下げる女性に優しく微笑む。
 その微笑みに顔を真っ赤にする女性。
 女性は自身の指をもつれさせながら恥ずかしそうに言った。
「これはその……私のお礼の気持ちです」
 涼香の顔を両手で挟み込み、女性はつま先立ちする。
 そして女性の柔らかい唇が頬に優しく触れた。
「じゃあ……これで……」
 女性は涼香に頭を下げ、顔を隠しながら走っていく。
 走っていく女性の背中を涼香は手で頬を触りながら見ていた。
 その頬は心なしか赤い。
「り・ょ・う・か・さん♪」
「ひゃうっ!」
 名前を呼ばれるのとほとんど同時。耳元に息をつきかけられる。
 未知の感覚に涼香の背筋に寒気が走り、変な声を上げた。
 背後を振り向く涼香。
 そこにはかなり爽やかな笑顔を浮かべるギンガがいた。
「良かったですね♪ 助けた女の子にほっぺチューをして貰えて♪」
 何故かギンガの手にはスコップが握られている。
 涼香は嫌な予感がした。
「ギンガさん……? 一体、何を……?」
「簡単です。涼香さんの首から下を埋めるんです」
 笑顔のギンガによって後ろに退く涼香。
 しかし砂浜に足を取られて尻餅をつく。
「大丈夫……優しくしてあげますから……」
 ギンガは笑顔を浮かべながら近づいてくる。
「あーー!」
 悲痛な涼香の声が浜辺に響いた。

「……」
 無言で目の前の光景を見ている涼香。
 青い海。白い雲。真夏の太陽。賑わう海水浴場。
 涼香の視点はいつも見ている位置より遥かに低く、大体は人の足しか見えない。
 それもそのはず。涼香はギンガによって首から下を垂直に埋められていた。
 何も知らない人から見れば、砂浜の上に生首が乗っている様にしか見えない。
 その上、涼香の頭に日差しが照りつけているので凄く暑かった。
 身動きひとつ取れない状況で涼香は考える。
 考えている事は勿論、ギンガを怒らせてしまった理由。
 涼香は思い当たる節が全く無いが、現にギンガは怒っている。
 どうしたものかと涼香は考える。
「りょ~かっ! さん♪」
 頬に冷たい物を押し付けられる涼香。
 いきなりの事に涼香は驚きで身体から変な声が出そうになる。
 そこにいたのは四つんばいのギンガ。
 涼香はギンガの扇情的なポーズにドキリとしてしまう。
 ビキニから見える胸の谷間に涼香の視線が吸い込まれた。
 そんな涼香の視線にギンガも気づく。
 片腕で胸を押さえ、視線を逸らしながら口に出した。
「涼香さんのえっち……」
 その一言で涼香の鼻の奥で何かが破れた。
 鼻から鼻血がボタボタと砂浜に落ちる。
「あっ……鼻血が……大丈夫ですか?」
 ギンガは涼香に近づく。
 涼香の顔にギンガの谷間が押し付けられるような状態になる。
「ん~! ん~!」
 完全にギンガの胸に埋まり、涼香は窒息しかける。
 酸素を得るために涼香はもがく。
「……涼香さん?」
 いきなりもがき始めた涼香にギンガは首を傾げた。
 そしてついに涼香の動きが止まった。
 ギンガの胸に滑るような液体が広がる。
「っ! 涼香さん!」
 身体を離すと、涼香の顔が血で真っ赤になっていた。
 慌ててギンガは砂を掻き分ける。



「一瞬だけ幻想郷が見えました……」
 涼香はパラソルの下でため息をつく。
 貧血で気絶した涼香はギンガによって助け出された。
 ただし砂浜に巨大な山が作られ、幽霧と雫によってその山が砂の城になった。
 そして頭部だけをずっと日差しに晒されていたせいで、涼香の首から上だけが日焼けしていた。
「炭酸飲料水ですが、飲みますか?」
 ギンガは透明な液体の入った細長いビンを見せる。
 どうやら涼香の水分不足を心配して買ってきたらしい。
「いただきます」
 涼香はギンガからビンを受け取り、透明な液体を口に含む。
 甘味と炭酸独特の刺激が口いっぱいに広がった。
 熱気で乾いた身体に冷たい物が染み渡っていくが凄く気持ち良い。
 まるで何年かぶりに液体を口にしたかのような感じがした。
 深く息を吐き出しながら涼香は呟く。
「サイダーなんて何年ぶりでしょうか……」
「あっ。一口いただきますね」
 涼香からビンを取るギンガ。そして中身を口に含んだ。
 その姿を涼香は呆然と眺めていた。
 まだ液体が残っているビンを呆然としている涼香に差し出すギンガ。
 そして頬を微かに赤らめながらギンガは呟いた。
「あっ。これ……間接キスですね……」
「……」
 恥ずかしそうに言うギンガの言葉に涼香は硬直してしまう。
「……あの……そろそろ着替えてきますね……」
 硬直した涼香を残すようにギンガは女性用の更衣室へ走っていく。
 ギンガとすれ違ったジンナイ。
 何故か硬直している涼香に話しかけた。
「おい。大丈夫か?」
「はっ!」
 いつの間にか別の世界に意識が飛んでいた涼香は我に返る。
 状況を確認するかのように周囲を見回し、最終的にはビンの口の部分に涼香の目が留まった。
 ビンの口を凝視する涼香にジンナイは首を傾げる。
「何やってんだ……?」
「さっき、ギンガさんがくれたのですが……」
「ならさっさと飲め。温くなるだろう」
 ジンナイの言葉に涼香はギンガの口がついた部分にわざと口をつけて飲み干した。



 着替えた涼香は防波堤の辺りでギンガを待っていた。
 涼香の手には数分前に買ったビンが握られている。
「ギンガさん……遅いなぁ……」
 そう呟きながらビンの中にある炭酸飲料水を飲む。
「ん? 涼香さん?」
 近くから名前を呼ばれる涼香。
 周囲を見回すと妙に見覚えのある人影が見えた。
 それは微かに赤みがかった黒の瞳と滑らかな黒髪が印象的な一人の女性。
 着ているのは黒いゴシック系の半袖シャツと群青色のロングスカート。
 首にはゆるく締められた赤いネクタイ。
 無言で女性は涼香の方に歩み寄ってくる。
「やっぱり涼香さんだ」
「えーまさん?」
 それはここ最近まで疎遠になっていたえーまの姿であった。
「最近は良く会うね。こんな観光地で会うと言う事は……恋人と旅行と言った所ですか?」
 何故かウキウキとした様子で尋ねるえーま。
 涼香はえーまの問いに顔を赤らめる。
 形の上ではそうであるが、言葉に出されると恥ずかしいようだ。
「……で、えーまさんはライヴですか?」
「うん。ここはサマーコンサートで巡回する場所の一つだからね……というか、数時間前に言った事も忘れたのですか?」
「ははは……」
 頭を掻きながら苦笑する涼香。
「相変わらずだね……そんな所は今も昔も変わらないね~」
 苦笑する涼香を見ながらニコニコと笑うえーま。
 そして涼香の持っている炭酸飲料水に目をつける。
「ちょっと貰うね」
「えっ……? ちょっ!」
 えーまは涼香の持っているビンを奪って、中身を飲み干す。
 呆然としながら涼香はその光景を見つめる。
 深く息を吐き出し、えーまは楽しそうに笑った。
「やっぱり暑い時は飲み物が美味しいですね」
「それ……私の飲みさしだったのですが……」
 のみさしをえーま渡してしまった事に対して申し訳なさそうに涼香は言った。
 自分の唾液がついた物を人に飲ませたのだ。人によっては嫌がる。
 涼香はそんな人の嫌がる事を行うのが嫌なのだろう。
 しかしえーまはさほど嫌がってはいなかった。 
「これ……涼香さんの飲みさし? わ~。涼香さんの間接キスいただき~♪」
 えーまはニヤリと悪戯っぽく笑い、赤らめる涼香を茶化す。
 そして再びビンの口に口をつける。
 一種の冗談だと分かっているとはいえ、涼香はえーまの仕草に頬が熱くなるのを感じた。
 頬を赤らめる涼香にえーまは苦笑しながら尋ねる。
「何、顔を赤らめているんですか……最近は恋人とどうですか?」
「ど……どうって……」
 涼香の顔は更に赤くなっていき、遂には顔から湯気が出てくるのではないかと思うほど赤くなってしまう。
 ものの見事に涼香は動揺している。
「一体、何を想像しているのですか? 最近はラジオ番組で忙しいから、恋人との時間をちゃんと取れているのか心配なだけですよ?」
「あ~。はいはい。大丈夫ですよ。今回もギンガさんを誘ったので」
 ニコニコと笑いながら涼香はえーまに返す。
 その言葉にえーまは目を細め、軽く睨むように言った。
「女の子はいつでも不安なんですからね。自分の好きな人が別の人にとられないかって。ちゃんと大切だという気持ちを態度で表さなきゃ駄目だよ~」
「……はい」
 説得力のあるえーまの言葉に涼香は頷かざる終えない。
 しかし仕草からして、涼香は妙に消極的だ。
 えーまはそんな涼香に苛立ちを感じたのか、凄んだ声で怒鳴る。
「分かりましたか!」
「はい!」
 背後にライオンのような幻影が浮かぶえーまに涼香は条件反射で刻々と頷く。
 刻々と頷く涼香にえーまは満足げに笑う。
「涼香さぁ~ん!」
 着替えを終えたギンガが涼香とえーまの方へ走ってくる。
 白いワンピースが微かに湿ったギンガの肌に張り付いていて、妙に色っぽい。
「大好きな恋人の登場ですね♪ 涼香さん」
「そう茶化さないで下さいよ」
 照れくさそうに涼香は苦笑する。
「あれ? 涼香さん。この人って……」
「はじめまして。えーまひよーと言います。一応は……アイドルかな?」
 えーまは爽やかな笑顔でギンガに挨拶をした。
 笑顔のえーまにギンガは萎縮してしまう。
「そんな……『ミッドチルダの歌姫』と言われている貴女に会えるとは……」
「私も涼香さんの恋人に会えるとは思いませんでしたよ……」
 驚きながら感動に打ち震えるギンガにえーまは笑顔で返した。
「そんな……」
 えーまの言葉にギンガは顔を真っ赤にする。
 そして何かを思い返すような顔でえーまは呟いた。
「……それにあの涼香さんに恋人が出来るは思わなかったよ~」
「はい……?」
 意味深長なえーまの言葉に首を傾げるギンガ。
 涼香は苦笑しながらギンガに説明した。
「私とえーまさんは昔からの知り合いなんですよ」
「うん。そうだったよね~。あの街で涼香さんたちが私をアイドルにしようとしてくれたあの時が懐かしいですよ~」
 そう言ってえーまは涼香の腕にその柔らかい胸を押し付けるように抱きつく。
 腕に胸を押しつられている涼香は目を白黒させ、ギンガの顔は一瞬にして真っ赤になる。
 二人の顔を見たえーまは満足げな顔で涼香の腕から身体を話す。
「……さて、私はそろそろ退散しないとね。『他人の恋路を邪魔するものはブレイカー喰らっちまえ』と言われますし」
 えーまは笑顔を浮かべながらトレーラーの方に歩いていく。
 涼香とギンガはきつねにつままれたような顔でえーまの背中を見ていた。
「ふぇ?」
 急に背後から抱きついてきたギンガに涼香は素っ頓狂な声を出す。
 唖然とする涼香にギンガは顔を押し付けながら囁いた。
「涼香さんは渡しませんから……えーまさん……」



 えーまと分かれた後、そのまま涼香とギンガは市街へと足を運んだ。
「凄く賑わってますね……」
「そうですね」
 二人は目の前の光景に感嘆した。
 観光地だからか、市街に所々に屋台を出されていた。
 近くで涼香とギンガの会話を聞いていた通行人が二人に説明する。
「今日から明後日までここは祭りでね、観光客を狙って屋台が出るわけさ」
「はぁ……なるほど」
 通行人の説明に納得する涼香。
「それと……お譲ちゃんは一人で歩かないように気をつけた方が良いよ」
「? 何でですか?」
 首を傾げるギンガに通行人の人は説明する。
「この街には一つの伝説があってね……祭りの日に綺麗な女性が一人歩きをしていると、『嘆きの歌姫』……海の精霊にさらわれるという伝説がね……気をつけなよ。お嬢ちゃんは美人だから」
「……気をつけます」
 ギンガは頬をほんのり赤らめながら頷く。どうやらお世辞を言うためにかこつけた冗談だとギンガは思ったようだ。
「そんじゃあな」
 通行人は豪快に笑いながら二人の前から去って行った。
「とりあえず……屋台を回ってみましょうか」
 頬を赤らめたまま小さな声でギンガは提案する。
 涼香はそんなギンガの仕草が可愛く感じたらしく、頬が緩んでいた。
 しかしそれを出来るだけ悟られないように顔を逸らしながら答えた。
「そうですね。屋台回りも悪くないですね」
 涼香たちは美味しそうな料理を求めて歩き出す。
 屋台では涼香たちが最近食べないような珍しい料理が売られていた。
 鯛焼き型お好み焼きの屋台の前で涼香たちは買ったお好み焼きを食べていた。
「はふはふ……暑い日にお好み焼きを食べるのも悪くないですね」
「そうですね」
 舌がしびれるような熱さであるが必死に食べる涼香。
 ギンガは涼香と反対にゆっくりとお好み焼きを食べる。
「う~ん。熱かったですが、それなりに美味しかったですね」
 のんびりとお好み焼きの感想を述べる涼香。
 慌てて食べたからか、頬にはソースがついていた。
「ふふ……涼香さん。ほっぺにお好み焼きのソースがついてますよ」
 そう言ってギンガは涼香の頬に顔を寄せ、舌で頬のソースを舐め取る。
 舐められた涼香どころか、屋台で鯛焼き型お好み焼きを焼いていた青年までギンガの行動に赤面した。
 その場がいろんな意味で凍りついた。
「涼香……さん。そろそろ……行きましょうか」
 自分でした事が恥ずかしくなってきたのか、ギンガは涼香の服の裾を摘みながら赤面する。
 さっきの行動と今のギンガの仕草に涼香は抱きしめたくなったが、全力全開で本能を理性で押さえつけた。
「そ……そうですね……ご馳走様でした。熱くて美味しかったです」
「はははは! 鯛焼きの熱さもニイちゃんたちの熱さには敵わないさ!」
 青年は親指を立て、豪快な笑い声を上げながら言った。
 その言葉には涼香も赤面してしまった。



「もしかして、みどすての涼香さんですか?」
 涼香が一人の少女に声を掛けられたのは六個目の屋台でわたあめを食べている時であった。
「はっ……はい。そうですが」
 いきなり話しかけられたことに驚きながらも涼香は反応する。
 少女は顔を真っ赤にしながら涼香に叫んだ。
「好きです!」
「はい!?」
 一番驚いていたのは何故か涼香ではなく、ギンガであった。
 涼香は断るために少女に近づく。
「ごめんなさ……んっ……」
 いきなり涼香は少女に唇を塞がれる。
 その光景を見たギンガは声を上げたが、されている側の涼香は突然の事に思考が停止していた。
 呆然とした顔のまま硬直する涼香から唇を離す少女。そして涼香にい言った。
「これが私の気持ちです……」
 それだけ言って、少女は顔を真っ赤にしながら走っていった。
 しばらくして涼香は我に返り、ギンガに笑いかける。
「ははは……いきなりキスされちゃいました」
 冗談っぽい言葉に対してギンガの返したものは乾いた音であった。
 乾いた痛みと同時に涼香は頬に痛みを感じた。
 その顔は何が何だか分からないような顔であった。
 ギンガも自身が何をしたのか分からないような顔をしている。
 そして振りぬいた手を落とし、顔が見えないようにうな垂れる。
「何でこうも笑っていられるのですか……」
 うな垂れながらギンガは唸る様な声を出す。地面に水滴らしきものが落ちた。
「ギンガさ……」
「うるさい! うるさいうるさい!」
 自身を頭を掴み、その綺麗な紫紺の髪をかきむしる。
 地面に綺麗な紫紺の髪が落ちていく。
 その姿はとても痛々しくて、涼香は見ていられなかった。
 涼香は頭をかきむしるギンガの手首を掴み、静かに言った。
「……ギンガさん」
 静かな涼香の言葉に我に返るギンガ。
 その顔はやつれており、目から留め止め無く涙が溢れている。
 もう一度涼香はギンガの名を呼ぶ。
「ギ……ン……ガさん……」
 顔を上げて涼香の顔を見ようとするギンガ。しかしすぐに目を離し、涼香の腕を振り払う。
 そしてギンガは涼香の前から走り出した。
 向こうから私服のジンナイとケインが歩いて来た。
「ギンガさん。どうしたのですか?」
 二人は不穏な空気を感じ、ギンガを引き止める。
「――っ! 邪魔です!」
「ギンガさ……わっぷ!」
 しかしギンガは二人を突き飛ばして走っていく。
 そしてすぐにギンガの姿は人ごみに消えた。
「ったく……お前は一体、ギンガさんに何を……それはどうでも良い! デバイスを使ってでも良いから速く行け!」
 ジンナイは怒鳴りながら涼香をけしかけた。
「はっ……はい!」
 涼香は「天乃羽衣神楽式」を展開してギンガを追う。



この後、どうなるんでしょうかね~。
私は語らないです。あえて、修羅場で止めます。
この話での問題は既は解決しており、あとは追加シナリオを追加するだけです。
まぁ、じらしたって・・・・・・・・・・
コメントや投票が増えるとは思っていませんから。
では、そういうことで・・・・・・・
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2件のコメント

[C150]

おはようございますちびびです
涼香さん幸せ死しそうな回でしたね~
幸せに死ねるならそれがどんな死に方でもいいきがしますね
どこの海にでもにたような幽霊話あるようです
                                 
前回の幽霧とナタネの会話が物語に関係してくるということは
あるていど気づいてはいましたがメイドさん好きな私のため
書きませんでしたそれだけです
・・・負け犬の遠吠えにしか聞こえませんね

言い訳ばかりですいませんそれではまた

[C151]

相変わらずギン姉と涼香さんのらぶらぶ空間には入り込みにくい....
でもフラグゲッターな涼香さんのせいでギン姉がやきもきしてるのも相変わらずww
周りの方々は二人の反応をみて酒の肴にしてますねw
もちろんあの人も・・・かな??
  • 2008-09-08
  • 投稿者 : 恭耶
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