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-件のコメント

[C140]

あまあまでゆりんゆりんですね~
こんな、喧噪の中の話は一番すきですね~

[C141]

リメイク版ですねw
これまで書いてきた新しい設定やら人物やらが暴れてますねwww
こういうのは好きですww
でも幽霧と長月部隊長のコンビがさらに凶悪になってるようなwwwww
でも長月部隊長のナタネさんへの「命令」はかなりツボにきました!
  • 2008-08-27
  • 投稿者 : 羽
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[C142]

なんというカオス空間w
それぞれの部署が大にぎわいww
そして引っ張りだこの幽霧...
ナタネとなのはの抱きつき写真はいくらですか?!
長月部隊長!
  • 2008-08-28
  • 投稿者 : 恭耶
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[C143]

やっと追い付きました・・・

いや~・・・もはやどこから突っ込んだらいいのか(笑)

ひつじ汁ってひつじさんは自分を煮込んでおられるのですか??(笑)

これからもちょくちょく見に来るんで頑張ってください~
  • 2008-08-28
  • 投稿者 : 海豚
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[C144]

諜報部は変わった方々が多いですね。流石です。
これは良い百合ですね……。
ネタミヤさんがとっても可愛いと思います。
大変そうですが、面白そうなので期待しています。
  • 2008-08-29
  • 投稿者 : 縹
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『眠れない二日間』①

こんばんは。雪奈・長月です。

今夜は日曜日。
現在、涼香様の時空管理局ラジオ進行中!
自身の身体をご自愛ください。
残暑見舞いは一部省略版が完成しましたが、フルバージョンが今だ完成せず。
フルバージョン完成はいつのことやら………
というか、一部省略編でも長いですし・・・・・甘くないですし・・・・・・・・
フルバージョンは一部省略版のそのあとが重要ですし・・・・・・・

最近、『狐火と鉄線花』様の絵に癒されます。、『くろのとくろえのぶろぐ』様もいいですねぃ。
あのディードさんの笑顔がたまらないです。あれで精神をつないでます。
今のところは「狐火と鉄線花」のディードさんがいれば癒されます。
たまらない。本気でたまらない。
口からアルカンシェルが撃てます。
「くろのとくろえのぶろぐ」さまはデバイスのデザイン絵とケイン様のSSの挿絵となっている絵が素晴らしすぎます・・・・・・・
誰か、アルフィトルテを書いてくださる絵師募集・・・・・・・
SSXを優しい方が貸して下さりました。
設定の参考にはなりますね。その感想は・・・・・・・私の精神状態のせいでやばいことしか話さなそうです。とりあえず、イクスさんとスバルさんにぶわっと。
SSXについて書く時は原作凌辱を覚悟して書かないと
そろそろ本題です。
ここで左横にある投票結果

投票数百十五票

戦技教導隊
(21票/18.3%)
陸士部隊
(18票/15.7%)
諜報部
(14票/12.2%)
次元航行部隊
(14票/12.2%)
無限書庫
(13票/11.3%)
開発部
(9票/7.8%)
ナイツ
(8票/7.0%)
首都防衛部隊
(5票/4.3%)
陸士部隊捜査課
(5票/4.3%)
自然環境保護隊
(5票/4.3%)
医務局
(2票/1.7%)
広報部
(1票/0.9%)
査察部
(0票/0%)
管理課
(0票/0%)

・・・・・なのはさん狙い? それともヴィータさん狙い? はたまたアサギさん狙い?
「君は~誰~とキスをする~ なのはさん? それともヴィータさん? はたまたアサギさん?」
これの投票結果はSSを読めば早いですが、説明開始。
この投票一つでストーリーは分岐します。
大体は選択肢ですが、「好きな部隊は?」という投票は三部投入まで継続です。
「好きな部隊は?」はその部隊の方をその回で重点的に登場させます。
たとえば・・・・
戦技教導だったら、なのは・ヴィータなどの教導組。
次元航行だったら、フェイト・ティアナ・クロノ・アインスなどの執務官組。
陸士部隊捜査課だったら、はやて・リインフォースⅡなどの捜査課組。
といった感じになります。投票結果で主人公の配属も決まります。
これもネタばれですが……好感度が異様に高いキャラクターがいると、幽霧と同じ配属になる時がある。
(例)配属先が戦技教導隊でも、フェイトの好感度が異様に高いときは・・・・・・フェイトが戦技教導隊の方に来る
心配しなくても大丈夫です。三部に移行したときの話ですから。
組み合わせによっては連鎖作用で、特別なEDに発展する時もあります。
いろいろとお楽しみに。
(ちなみに「好きな部隊は?」の投票は、日曜日のお昼あたりにリセットします)

いちいち投票結果を参考にして書かずに、全部書けばいいじゃないという方は書けばわかりますよ。
ぶっちゃけると全部書いていたら、いつ完成するかわからないです。
いくつEDがあると思っているのですか? ちなみに原作キャラもオリジナルキャラも大体は攻略可能です。
かなり前に友人と計算したら全てを完成するためには七百近くのEDを書かないといけないっぽいです。
それまでの過程を描き終える前には死にますよ。
だから皆様の投票やコメントを参考にストーリーを進めていきます。
邪見せず、せめて投票だけでもしてください。
お願いします・・・・・・・・
とりあえず、更新分を掲載いたします。





コメント返し⑤
「鼻血吹いて倒れるフェイトとかもう可愛ぇぇ!! 」
 ・私のSSのフェイトさんは純情な方ですから
「長月部隊長...、普通に盗撮するって..底知れぬお方だ..」
 ・他人の弱みを握るのもこんなコツコツとした積み重ねから
「アルフィトルテは成長するのですね、これはまた凄いですww」
 ・前からアルフィトルテは成長しますよ? (詳しくは「怪・合同演習」参照)
「羨ましそうな琴羽ちゃんが可愛かったです」
 ・こんなコメントも珍しいですね。いい点を突いて下さって嬉しいですね

では、本編を始めます。





「眠れない二日間」


〈数日前〉

 大晦日が近いある日の午後。
 なのはとヴィヴィオは管理局本局の廊下を歩いていた。
 何故か廊下には、きぐるみやメイド服などの管理局に所属する局員の着る隊服とは違う衣装がハンガーラックが並んでいる。それはある場所へ近づくたびに増えてきた。
 遂には暖簾や看板に文字を書き込んだりする人の姿もちらほら見られるようになった。
 周囲にはペンキや「クアヴィンヴィン」とラベルが貼られた栄養剤の瓶が並んでいる。
 作業する人たちの目は既に死んでいた。病んだような様な目で黙々と機械のように作業を行う人たちの姿はある意味で異様であった。
 そんな人たちの脇を通りながらなのはとヴィヴィオが辿り着いたのは諜報部の部署。
 なのはは諜報部の扉を押し開く。
「こんにちは、なのはさん。ヴィヴィオちゃん」
 甚平をミシンで縫っていた雪奈が顔を上げる。その笑顔は異様に爽やかだ。
 中では雪奈を含む諜報部の数名が服を縫っていた。
 縫っている何名の目は殆ど、死んだ魚の様な目をしている。しかし、手だけは精密かつ丁寧に動いている。
「えっと、幽霧くんは?」
 雪奈は糸を歯で切りながら指で示した。指した先は特別更衣室と書かれた紙が張ってある場所。
 ヴィヴィオは喜び勇んで特別更衣室と書かれた扉を開く。
「ユウギリさ……」
 しかしそこにいたのは茶髪の長い髪をした女性の姿であった。
 着替え中であったらしく、脱いだらしき服で裸の上半身を隠している。
 下半身はまだジーンズを穿いているから分からなかったが、露出している上半身の肌は蛍光灯の光を浴び、綺麗にくぼんだ鎖骨のラインが彫像を思わせる白くきめ細かな肌であった。
 目の前に広がる光景になのはとヴィヴィオは放心するしかない。
「……」
 女性はきょとんとした顔で扉を開いた二人を見ている。
 そのまま時間だけがゆっくりと過ぎていく。
「……あの」
 最初に口を開いたのは茶髪の女性であった。
「失礼しました!」
 我に返った二人は慌てて扉を閉める。その顔は何故か赤かった。
 雪奈は慌てて扉を閉めたなのはとヴィヴィオをちらりと見ながら、悪戯っぽくニヤリと笑った。
 その笑いが癪に障ったのか、二人は雪奈に叫ぶ。
「長月諜報部隊長!」
「雪奈さん!!」
 内側から扉が開き、中からメイド服を着たさっきの女性が現れる。
 濃紺のワンピースの上にフリルのついたエプロンを付け、頭にはフリルのカチューシャがきちんとつけられていた。
 スカートの下からフリルのついた白いぺチコートがちらりと見えた。
「これでよろしいでしょうか? 長月部隊長」
 しかしその口から出た声はなのはとヴィヴィオも聞いた事がある声であった。
 雪奈は悪戯っぽい笑顔で女性の名前を呼んだ。
「うん。良く似合っているよ……幽霧」
「ありがとうございます」
 茶髪の女性は雪奈に頭を下げた。
「幽霧くん!?」
「ユウギリさん!?」
 なのはとヴィヴィオは目の前にいる女性が幽霧であった事に驚いた。
 会ったのは少し前であるが、ここまで髪は長くなかったはずだ。
「あっ。変でしたか? 長月部隊長特製の毛生え薬で伸ばされたのですが」
 幽霧は微かに頬を赤らめながら尋ねる
「変じゃないけど……むしろ……」
「可愛いですよ! ユウギリさん!」
 ここまで来ると自棄になったのか、ヴィヴィオは喜ぶように言う。
「可愛いと言われるのは何ですが、お褒めの言葉として受け取っておきます」
 営業用の微笑みを浮かべる幽霧。その微笑みになのはとヴィヴィオは頬を紅潮させた。
「そういえば、幽霧くん。リボンが曲がっているよ」
 恥ずかしさを紛らわせる為か曲がっているリボンをするりと解き、結びなおして整えるなのは。
 幽霧は無表情を努めようとしているが、その頬は赤い。
 何故か幽霧やメイド服からは良い匂いがした。
 徐々に恥ずかしくなったのか、なのはの顔が赤くなっていく。
「ヴィヴィオちゃん。アルフィトルテ。あれが本当の百合と言う物だよ」
 雪奈は縫ったメイド服をアルフィトルテに渡し、二人に囁いた。
「へぇ……そうなんだぁ」
 まるで納得していたように頷くヴィヴィオ。
 アルフィトルテはリボンを結ぶなのはを羨ましそうに見ていた。
 冗談交じりな会話を余所に、なのははついでに襟も正してリボンの形を整えた。
「で~きた♪」
「……ありがとうございます」
 しばらく襟元につけられた赤いリボンの結び目を触り始める幽霧。その仕草が小動物の様で可愛らしかった。
「とりあえず、ご馳走様でした」
 ここで雪奈がわざとらしく大きな声でポツリと呟いた。
「ごちそうさま~♪」
「うん。これは甘かったですねぃ」
 ヴィヴィオと他の局員たちも口々に同じような事を言った。
 意味が分かっていない二人は首を傾げる。
 雪奈はその蒼い目を細めながら笑った。その顔はまるで悪戯を思い浮かんだ時の邪悪な笑顔であったが。
「なぁに。大した事は無いよ。新婚家庭の典型的な一情景と百合風の一情景を、同時にリアルタイムで見られるとは思ってなかっただけだから」
 そう言って、全員がとても綺麗な微笑みを浮かべた。
 どうやら見ている側からすると二人が朝に夫のネクタイを結ぶ新妻のように見えたらしい。
 幽霧はメイド服であったが、まさにさっきの二人はそんな情景だった。
 なのはは急に赤くなると何か慌てたように飛び出していった。
 開いたままの扉を見ながら雪奈は呟く。
「ははは……面白いね。全く……」
 雪奈は黒さがにじみ出る様な感じの笑みを浮かべていた。
 その笑顔には周囲の局員たちも苦笑し、赤面して逃げ出したなのはに同情を禁じられなかった。
 どす黒い雪奈のせいで凍りついたところに、いきなりなのはが血相変えて戻ってきた。そして勢い良く扉を閉めた。
 その顔は更に真っ赤になっていた。
 なのはの奇妙な行動に首を傾げたその時、扉の向こうから声が聞こえた。
「フェイトさんに何されても良いぃ! 私を手ごめにしてぇ!」
 ついに誰かが作業中に気が触れたらしく、叫びだした。
「ネタミヤ。遂に私じゃあ満足出来んくなったか?」
「あっ……神威お姉さま……こんな所で、恥ずかしいです……」
 何故か扉の向こうからくぐもった悩ましげな声と荒い吐息が聞こえてきた。
 徐々に荒い声と粘質な液体をかき回す音が徐々に大きくなっていった。
 なのはとヴィヴィオは顔を赤面しながら俯く。
 ミシンを動かしながら雪奈は冷ややかに命令を下す。
「幽霧」
「はい」
 その声には感情が籠っておらず、まるで機械のように幽霧に反応する。
 瞳からは感情が消えていた。ただ冷徹な、機械のような目だった。
「アイギスで外の連中を黙らしてきて」
「ヤー」
 部署の扉へと音も立てずに歩いていき、瞬時に開く幽霧。そして手のひらに灰色の魔法陣を展開して詠唱を開始した。
「其は石眼の魔女にして、美の女神。その力故に戦女神の盾となりし者。我はその威光で彼の者を石へと変えん……」
「ちょっ……幽霧! んな所でそんな魔法を使うな!」
 部署の外で作業をしている局員たちも幽霧が《アイギス》を使用している事に気付き、叫び声を上げる。
 流石に幽霧が石化魔法で鎮圧しようとしているのはまずいと思ったらしく、なのはとヴィヴィオは冷や汗を流し始める。
 しかしそんな関係の無い諜報部局員たちの悲痛な叫び声と二人の重いは聞き入れられるはずもなかった。
「……アイギス」
 何かが弾ける様な音と同時に《アイギス》は発動した。
 石化の効果を孕んだ灰色の魔弾は作業とは別の事をしている何名かの局員に突き刺さり、その身体を硬直させた。
 そのまま幽霧は《アイギス》が放たれた廊下の状態を確認せずにゆっくりと扉を閉めた。
 雪奈は裏地にレースを縫い付ける作業を行いながら口を動かした。
「御苦労」
 静かに幽霧は雪奈に黙礼する。
 周囲で服を縫う局員たちは外で作業していた局員たちに同情した。
「ユウギリさん……石化魔法は……」
 問答無用で《アイギス》を使用した幽霧をヴィヴィオは心配そうに見る。
 しかし雪奈は黒い笑顔を浮かべながらヴィヴィオを諭した。
「大丈夫大丈夫。この位はしないとここにいる変態どもの頭は冷えないから……というか……」
 確かに雪奈は笑顔であった。
 しかし顔が笑みを浮かべているだけで目が笑っていなかった。
「むしろいきり立ってはぁはぁする方は他の所にもいるっぽいので」
 ヴィヴィオも並々ならぬ雪奈の気配に口をつぐむしかない。
 そして一種の殺伐とした空気を打破する為に世間話をし始めた。
「そ……そういえば、幽霧って凄いですよね」
「ん~? そうかな?」
 次のメイド服制作に取り掛かりながら雪奈は首を傾げる。
「……店を出す部署の多くから、幽霧の貸し出しのオファーが来るんですよ」
 首を傾げる雪奈に別の局員が突っ込みを入れた。しかし指は勝手に動いている上に、目はすでに死んでいた。
「そりゃあ。そうですよ。長月部隊長」
 手早くかつ丁寧に服を縫い上げていく狂木二等陸士が言う。趣味は服を作る事という狂木の顔は、至福そのものであった。
「男性用の服を着せて良し! 女性用の服を着せて良し! その上、ちゃんと働いてくれる。 集客に持ってこいじゃないですか。」
 狂木は熱っぽく語るが、既に服を何着も縫い終えている。
「という事だから、頑張ってね。」
 雪奈は縫う手を止め、幽霧の肩を叩く。
 幽霧はため息をつく。
「はい……」
「そういえば、高町親子は何かご用ですか?」
 何かを期待してか、楽しそうに目を光らせる雪奈。再び背中から黒いオーラがにじみ出ている。
「えっ……いや……幽霧くんを借りたいなぁって……」
「ん~? 良いんじゃない?」
 あっさりと了承を出すような雪奈の言動になのはは驚くしかない。
 幽霧の方を見るなのはだが、本人はどうでも良さそうな顔をしていた。
 そこで無駄な糸を自身のデバイスで切断していた鉈が何かを思い出したかのように机の下から一つだけ穴のあいた箱を取り出す。
「そういえば、そろそろ締め切りの時間ですね」
「うん。ちょうど締め切りの時間だね」
 雪奈は近くにあったメモ帳の一枚に文字を書き込んで箱に突っ込んだ。
 箱の中をかき回しながら雪奈は、なのはとヴィヴィオに説明する。
「大体の所から幽霧の貸し出しのオファーがあるからね~。抽選しないとね~」
「やっぱり、一店だけなのですか?」
 なのはの問いに雪奈はくすりと笑った。
「いや。中心に働いてもらう店を決まるだけだよ~。流石にフラフラ動いていると幽霧も迷いそうだし」
 そう言いながら雪奈は一枚の紙片を取り出す。
 紙片に書かれていた文字は「【喫茶「白桜雪」】」という店名であった。
 その店名に声を上げるなのは。
「あっ……戦技教導隊のお店だ……」
「偶然にも願いが叶って良かったですね」
 雪奈は笑顔で祝福する。何故かその顔は意味深長な笑顔だったが。
「まあ、ナタネ・ヴィリエ・オーギュスト特務員と組めるのは幽霧しかいないしね……」
「ナタネちゃん?」
 雪奈の言葉から出た名前になのはは首を傾げる。
 確かになのはの知り合いにも同じ名前の人がいるようだ。
 再び特別更衣室と書かれた紙が張ってある扉が開く。
「長月部隊長。これでよろしいのでしょうか?」
 中から出て来たのは灰色っぽい白の髪に白い肌の少女。着ているのは幽霧の着ている服にデザインが似ているが、色は全て真っ白であった。
 真っ白なワンピースの上にフリルのついたエプロンを付け、頭にはフリルのカチューシャがきちんとつけられていた。
 そしてスカートの下からフリルのついた白いぺチコートがちらりと見えた。
 細かい縁取りや装飾がなされたそのメイド服はまるでウェディングドレスのようであった。
「ナタネ……ちゃん……?」
 扉から出てきた少女になのはは両手で口を押さえながら驚きの声を上げた。
 なのはにナタネと呼ばれた少女も驚いたような仕草を見せる。
 その光景眺めながら雪奈は笑顔を深めた。
「ナタネちゃ~ん!」
 いきなりナタネに飛びかかるなのは。
 しかしナタネはなのはの体重を支えきれずに後ろへ倒れてしまう。
 ヴィヴィオは自身の母親の豹変に唖然とする事しかできない。
「ナタネちゃん……身体。治ったんだね……良かったよぅ」
「な……ナノハ……」
 再会の喜びが隠せないらしく、我を忘れたかのようにナタネを頬擦りするなのは。
 頬ずりされているナタネは状況が上手く把握出来ていないらしく、驚いたような顔をしている。
「あらあら……」
 ナタネに押し倒しながら頬ずりをするなのはを見ながら雪奈は楽しそうに苦笑する。
 困惑するヴィヴィオに幽霧は説明する。
「どうやら……なのはさんとナタネさんは昔からの知り合いだったようです。なかなか会えなかったので、なのはさんは嬉しくてしょうがないのでしょう」
「そうだね。なのはママ……すごく嬉しそう」
 押し倒したナタネに抱きつきながら頬擦りをするなのはを見ながらヴィヴィオは呟く。
 雪奈はニヤリと笑いながらナタネに念話を接続した。
[ナタネ]
[……なんでしょうか?]
 かなり動揺しているらしく、ナタネに念話を接続するのに多少の間があった。
[頬ずりしているなのはさんの背中に腕を回してギュっとしなさい]
[……それは命令ですか?]
 まさかそんな事を念話で言われるとは思ってもみなかったらしく、驚いたような感情が伝わってきた。
 それでも雪奈はナタネに通達した。
[命令だよ。なのはさんの為にね]
[……分かりました]
 ナタネはぎこちないがゆっくりとなのはの背中に腕を回す。
 そしてぎゅっと抱きしめた。
「えっ……」
 まさかナタネがそんな事するとは思わなかったなのはは驚いたような声を出す。
 そしてなのはの顔が徐々に赤くなっていき、遂には顔から湯気が出て来るのではないかと思えるほど真っ赤になった。
 なのはを抱きすくめるナタネの頬も微かに朱が差していた。
 周囲の人たちもナタネの行動に噴いた。
 大体の予想がついている幽霧は雪奈の方を見る。
 雪奈は楽しそうに笑っていた。



〈大晦日まで後、十分前〉
 蔵那クロエは嫌な予感を感じながらラジオのスタジオへと歩いていた。
 今夜は大晦日の零時からラジオを開始するらしい。なので、クロエはスタジオへと急ぐ。
「おはようございます」
 クロエはスタジオに入る。
 ほとんどの人が目をキラキラさせている。まるで悪戯を計画し、実行する前の子供の様だった。
 その熱気は異様であった。
 スタジオ内や収録室には『クアヴィンヴィンex』と書かれたビンの入ったカートがダース単位で積まれていた。
 これはまずいのではないかとクロエは思った。
「よろしくお願いします。涼香さん」
「はい。頑張りましょう。クロエさん」
 涼香は笑顔で挨拶を返す。
 テーブルに置かれたタイムテーブルの紙を見て、クロエは絶句した。正確には、そのタイムテーブルの紙に書かれた企画名を見て絶句した。
 企画の名は、「時空管理局四十八時間ラジオ」。大晦日の零時から開始し、元旦の二十四時に終了。存分に死ねる。
 クロエの記憶では、管理局が活動するのは大晦日の十二時であったはずだ。
 どうやらクロエの嫌な予感は的中したらしい。
 絶句しているのはクロエだけで、他の人たちは楽しそうな顔をしている。
 ということは、クロエ以外は全員が知っていたという事だ。
「頑張りましょうね。クロエさん。」
 涼香はクロエの肩を叩く。
 クロエの肩が震える。そして、叫んだ。
「企画者……誰だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
「まぁ。頑張りましょう」
 そう言って涼香は大量のビンが入ったカートを置いた。
 ビール瓶らしきビンにその液体が詰められ、ラベルには『睡眠爆砕☆大喝采』と書かれていた。その隅っこには、『長月諜報部部隊長調合』と書かれていた。
「……」
 悪戯の為なら努力を尽くすという噂で有名な長月部隊長の名前が入っている時点で何か不吉な感じがした。
 無言のクロエに涼香は『睡眠爆砕☆大喝采』を差し出す。
「眠ければ……飲みますか?」
 クロエは飲んだら何かが終わりそうな気がした。
「……勘弁して下さい」
「いや。飲んでいかないとやっていけないぜ」
 ジンナイは蓋を開けたビンを差し出す。何故かビンから凄く甘い匂いがした。
 ある種の危険性から退くクロエ。
「クロエ……逃げたらだめだぞ」
 あとから来たケインがクロエを羽交い絞めにする。どうやら四十八時間ラジオがしたくないから逃げようとしていると思っているらしい。
 そのままジンナイはクロエの口に「睡眠爆砕☆大喝采」のビンを突っ込んだ。
「ん――!」
 口の中に甘くてドロリとした液体が流し込まれる。押し込まれたクロエはそれを嚥下するしかない。
 徐々に身体が熱を持ち始め、身体の細胞一つ一つが新たに作り直されていくような感じがクロエの中をはいずり回った。



〈大晦日の朝 首都防衛部隊ver〉
 首都防衛部隊所属の寒天は【中華「覇道軒」】の店先で煙草を吸っていた。
 足元には煙草の吸い殻が山盛りになっていた。
 そんな寒天に女性らしき人影が話しかけた。
「おはようございます。寒天一等陸尉」
 話しかけてきた高い声に寒天は反応する。
「久しぶりだな。幽霧……って」
 そこにいたのはある一時期だけ、寒天の部下であった幽霧と幽霧のパートナーであるアルフィトルテの姿であった。
 寒天は幽霧を見た瞬間、くわえていた煙草をポロッと落とす。そして尋ねる。
「幽霧……お前まさか……ついに性転換を……」
 呆然する寒天の目の前にいる幽霧の胸が大きく膨らんでいた。
 寒天の言葉で幽霧は自分の身体を見る。そして、笑いながら寒天に言う。
「これは、雫主任の作った偽物ですよ」
「ちっ。紛らわしい」
 ジッポライターで煙草に火をつける寒天。
 寒天の使っているジッポライターを見て、今度は幽霧が驚く。
「そのジッポライター……まだ使っていたんですね」
「まぁな。このライターには俺の女神様が彫ってあるんだからな」
 寒天はライターの蓋を勢い良く閉じる。金属と金属がぶつかり合う音が響く。
「そういえば、まだ行かなくて良いのか?」
「今日は少し遅めに集合なので」
 機械のように淡々と幽霧は述べた。
「……そうか。なら、また後で会おう」
 【中華「覇道軒」】の引き戸を開ける寒天。
 しかし幽霧はそれを呼びとめた。
「寒天さん。煙草の山を忘れてますよ?」
 幽霧の指摘に寒天は苦虫を潰したような顔をした。



〈大晦日の朝 レン・ジオレンスver〉
 レン・ジオレンスはいつもの様に、仕事場に出勤した。違うのは仕事場が時空航行部隊の部署ではなく、【イタリアンレストラン「光の女神てんし」】というお店である事くらい。
「おはようございます。」
 【光の女神】の扉を開けるレン。中から出来たての建物特有の木の匂いがした。
 その中でギャルソン姿のフェイトが店内の点検をしていた。
 レンはその後ろ姿に見惚れてしまった。
 その背中は凛としているが、同時に寂しさを感じさせるようなそんな後ろ姿。
「おはようございます。レンさん」
 フェイトはレンに気付き、笑顔で挨拶を返す。
 窓から差す朝日でより綺麗に見えるフェイトの笑顔にレンは見惚れてしまった。ギャルソン姿も妙に見合っているので、更に綺麗に見えた。
「レンさん……どうしましたか?」
 フェイトは首を傾げる。その仕草も可愛い。
 身体は大人っぽいのに、時折見せるフェイトの子供っぽい仕草にレンは鼻から血が出そうになった。
 レンはどうにか我に返り、フェイトのギャルソン姿を称賛した。
「ギャルソンの姿……似合ってますよ」
「そう? ありがとう。実は、諜報部の長月部隊長に縫って貰ったんですよ」
 レンは諜報部の長月部隊長に感謝の敬礼を心の中で行った。
 店内にはフェイト以外は誰もいなかった。どうやらレンが一番乗りであったようだ。
 フェイトは壁に背中を預けながらレンに尋ねた。
「……レンさん」
「なんですか?」
「彼女とは仲直り出来ましたか?」
 レンはフェイトの問いに硬直した。
 まさか自分自身が恋人と勘違いで擦れ違いが起きている事を指摘されるとは思わなかったからだ。
 硬直するレンにフェイトは消えてしまいそうな小さな声で囁いた。
「まだ喧嘩中なら、早く仲直りして下さいね」
「……はい」
 レンはフェイトの囁きに頷く事しか出来なかった。
 点検が終わったらしく、フェイトはレンに言う。
「レンさんもそろそろ着替えて来て下さい。私は竈に火を入れてきます。」
 そう言って、キッチンへと入っていくフェイト。
 まだもう少し見て居たかったような気がした。
 でも、それと同時に今から元旦終了まで頑張れそうな気がした。



〈大晦日の朝 はやてver〉
「おはよう。皆さん。」
 【甘味処「華蝶風月」】で八神はやてが部下の局員全員を集め、挨拶を始めた。
 今日のはやては、藍色の着物に白いエプロンという和風給仕風の出で立ちであった。
 はやては言う。
「ついに来たで。大晦日の朝や。私も頑張るから、みんな。怪我とか倒れたりせえへんで、頑張ってな。 なお。売り上げの上位三位まで、賞金が送られる。一位は、準備費を全額支給と別に百万の賞金や。一位になったあかつきには、全員で焼き肉を食べに行こうな。私からは以上や」
「うおぉぉぉぉ!!」
「きゃあぁぁぁ!!」
 男性局員も女性局員も一気団結する。



〈大晦日の朝 なのはver〉
 【喫茶「白桜雪」】で二人の女性が開店前に話をしていた。
 茶色の長い髪をサイドポニーにした一人は勿論、なのはであった。
 もう一人は赤い髪を背中まで伸ばした女性であった。彼女はなのはと昔からの知り合いで、名前はヴィアフ・ストラグル。
 二人とも、白いワイシャツに濃紺エプロンドレスを重ね着し、レースの付いたカチューシャとエプロンをつけるという姿をしていた。
 そのデザインまるでメイド服とウェイトレスの姿を掛け合わせて作ったような感じであった。
 スカートの下からフリルのついた白いぺチコートがちらりと見えた。
 肩や裾の部分は膨らまされ、割と動き安いデザインとなっている。
「頑張りましょうね。ヴィアフさん」
 なのははとても楽しそうに笑顔で笑う。
 ヴィアフは少し長めのスカートを掴みながら文句を言った。
「このスカート長いねェ……大体、アタシはスカート自体苦手なんだけど。くっそ、誰だよ、こんな長いの希望した奴はッ」
「まあまあ。抑えて下さい。ほら、もうすぐ開店ですよ。笑顔。笑顔」
 なのはがそう言うが、ヴィアフは機嫌が悪いらしくムッとしている。
「でも、可愛いと思いますよ。この衣装もヴィアフさんも」
「――っ!」
 なのはの言葉にヴィアフの顔が赤くなる。まるで、ヴィアフの髪と同じくらい。
「……そろそろ時間だ。ドジるんじゃないよ。」
「はい。」
 照れ隠しなのか、顔をそらすヴィアフ。そんなヴィアフになのはは笑顔で笑った。
「そういえば……幽霧ってどんな奴なんだ?」
 何かを思い出したかのように尋ねるヴィアフ。
 少し考えながらなのはは答えた。
「……死んだ魚の様な目をする子かな?」
「何か分かりづらい例えだな……それ……」
 なのはの説明では分かりづらいようだ。
 意味の分からない例えにツッコミを入れたヴィアフに微笑みながらなのはは言った。
「でも、幽霧くんはいい子だよ」



〈大晦日の朝 査察部ver〉
 査察部が企画した【メイド&執事喫茶「Oberste Erbe」】では、査察部の部隊長が査察部の局員を集め、演説じみた挨拶を始める。
「遂にこの日が来た。男女問わず、頑張ってくれ。
 お祭り関係には厄介な諜報部が出店しないが、他にも厄介な部署はある。決して、気を抜かないように。私はキッチンで裏方として頑張りたいと思う。接客をする局員は売り上げを稼げるように頑張ってくれ。以上だ」
 部隊長の言葉が終わると同時に査察官たちはそれぞれの担当する持ち場へ移動する。
「ヴィアさん。」
 解散直後、ヴェロッサがフリルの多いメイド服を着たヴィアッリに話し掛ける。
 ヴィアッリはかなり嫌な顔をする。
「なんでしょうか?ヴェロッサ=アコース査察官」
 その目は汚物を見る様な目であった。
「つれないな。ヴィアさん。同じ査察部の局員でしょう?」
 ヴェロッサはヴィアッリの腰に腕を回す。手はヴィアッリの腹部にあてる。
「五月蠅いです。ガチホモのネギ頭」
「ぐぼぉ」
 ヴィアッリはヴェロッサの水月に目掛けて、肘を叩き込む。
 水月に肘を叩き込まれた事によって、ヴェロッサの肺から空気が押し出される。
「さようなら。ガチホモ」
 ヴェロッサを置いて歩き去ろうとするヴィアッリ。
 しかし、ヴェロッサも頑張る。
「それでも、僕は君も好きだあぁ」
 言い切ると同時に某怪盗顔負けのダイブを行う。
 ヴィアッリは華麗に迎撃する。空中で高速の域でヴェロッサの身体に蹴りを入れまくり、ヴェロッサの身体を浮かす。
 そして、華麗に回し蹴り。その時、ヴィアッリのスカートの中から黒い下着がチラリと見えた。
「黒……」
「このド変態が!」
 ヴィアッリの蹴りは綺麗にヴェロッサの顔に突き刺さる。
「しばらく床でも舐めてろ」
 床に這いつくばるヴェロッサは痙攣しながらも呻く。
「それでも君はうつく……げほっ!」
 問答無用で這いつくばるヴェロッサの背中に踵落としを叩き込む。
「尻の穴にネギを突っ込むぞ。ガチホモ野郎」
 そう言って、ヴェロッサの尻に蹴りを入れる。ヴィアッリの履いた靴のつま先がヴェロッサの肛門に突き刺さる。
「あっお~う!」
 ヴェロッサはヴィアッリの蹴りに恍惚とした顔をする。
 そんなヴェロッサに嫌悪感を感じながらヴィアッリは歩いていった。



〈大晦日の朝 環境保護隊ver〉
「弥刀さん………」
「ん?どうしたのですか。エリオ君。」
 弥刀はエリオを見る。
 エリオは弥刀に尋ねた。
「なんで僕……メイド服を着ているのでしょうか………?」
「さぁ~?」
 弥刀も首を傾げる。
 タント・弥刀・ヒツジの三名は洗いたてだが、普通にいつもの制服を着ている。
 しかしエリオだけが何故かメイド服であった。
 白いシャツに赤みがかかった黒のミニスカート。シャツの上にはエリオの髪の色に似た紅いエプロンドレス。
 脱ごうにも腰にはキツくコルセットがされており、脱ぐことも出来ない。
「まあ。ミラたちが頼んだからね……」
 シチューを混ぜているタントは苦笑いをしているが、口元は緩んでいる。
「諦めが肝心だぉ。」
 ヒツジはヒツジ汁を作りながら言う。
「そんなぁ。」
 エリオは半分、泣きそうになる。
 正直、泣きそうになりながらスカートを握り締めるエリオに釘付けになる男性局員三名。
「エリオくうぅぅぅん!」
 向こうから着替えたキャロたちが歩いてくる。
「遅かったね。」
 タントは白いシャツに茶色のカーディガンを羽織り、下は茶色のタイトスカートという出で立ちのミラに言う。
 ミラは頭を掻きながら言う。
「いやね。胸部がキツいってルーテシアが言ったから直して貰っていたら、遅くなった。うん。胸が育つのは羨ましいよ……うん。」
 最初は明るかったが、胸が話題に入ると乾いた笑顔と化した。
「まあ。きっと、ミラの胸も………」
「育つ訳ないでしょ!この馬鹿タント!」
 タントはミラを慰める気で言ったのだが、逆効果でしっかりと握られた拳で左頬を殴られる。その上、裏拳なので更に痛いようだ。
 弥刀とヒツジはタントに同情した。
 そんな事を後目に、キャロとルーテシアはエリオに話し掛ける。
「えへへ。エリオくん。私と同じだね。」
「エリオ……可愛い……」
「うん……そうだね……ありがとう……」
 まだ仕事を行っていないが、エリオの目は戦闘時の幽霧と同じように死んでいた。
 タントを殴り飛ばしたミラがエリオたちの方に寄ってくる。まだ、すこし鬱憤が収まっていなさそうな顔だ。
「あら。エリオ。可愛くなったじゃない。うん。私の見立て通り♪」
 エリオを見て、満足げに微笑むミラ。
 不満そうにエリオはミラに言う。
「やっぱり、僕はこれをずっと着ていなければならないのでしょうか?」
「うん」
 断言するミラ。
 ミラの断言にエリオはヘコむ。
 そんなエリオを見て、ミラは言う。
「エリオ。幽霧くんは君より凄まじい格好をしていても平然としているよ」
 一枚の写真を見せるミラ。
 その写真を見るエリオ。そして、鼻血を噴出した。
「エリオくん!?」
 キャロはエリオの鼻からとめどめなく流れる鼻血を止める為に丸めたティッシュをエリオの鼻に詰めた。
 しかし、血は止まらない。ティッシュは徐々に赤くなり、ついには赤いティッシュから滴り落ちる。
 ミラはその光景を見て呟いた。
「あっちゃあ。刺激が強すぎたか」
 ミラが見せた写真。それは【中華「覇道軒」】の女性用ユニフォームを着た幽霧の写真だった。

 環境保護隊で最年少の局員である結城優衣はタントに同情している弥刀に服を見て貰う為に走る。
「弥刀さ……きゃあっ!」
 走った所為でスカートが引っかかって、転びそうになる。
 弥刀は優衣の悲鳴に反応して瞬時に優衣に駆け寄り、優衣を受け止めた。
「大丈夫?」
「はい……」
 優衣は頬を赤らめながら頷く。弥刀に優衣は尋ねる。
「えっと……どうでしょうか?」
「ん?可愛いと思いますよ。優衣さん」
 笑顔でそう答える弥刀。萌夜という恋人がいるのに、他の女性に笑顔を向けるのはマズいのではないだろうか。
 しかし、その一言で優衣の顔は真っ赤に染まる。
 エリオの鼻血について心配しながら、弥刀と優衣を見ていたミラは呟く。
「萌夜さんの予想的中。さて、萌夜さんに連絡しないとね……」
 ミラはそう言って、電話をかける。
 相手は勿論、弥刀の恋人である久世萌夜。



〈大晦日の朝 ナイツver〉
 【喫茶「クラウンオブシュガー」】
 店内で「ナイツ」の部隊長。リオ・アーシェラは「ナイツ」の全隊員に呼びかける。
「遂にこの日が来ました。己が磨いた物を存分に発揮するように」
「はいっ!」
 局員が足並みを揃え、リオに敬礼する。
 そしてリオは次の指示を下した。
「では、解散致します。まずブレイブとパラウィスはデバイスを携帯し、このままの衣装で警邏をお願いします。それ以外はホールとキッチンに回って下さい」
「了解!」
 解散していく中、一人の青年がリオに笑いかけた。
「相変わらず、お前はメイド服が似合うな」
「ヴェイン」
 リオにそう呼ばれた青年はニヤリと笑った。
「まあ、お前の身体は少し特殊だからな。仕方ないと言ったら、仕方ない」
「貴方も貴方で似合っているかと? ヴェイン」
「そうか?」
 ヴェインは自身の着ている執事の服を眺めながら呟く。
 一種の放浪癖があり、アルバイトが趣味のヴェインだからか執事の服も妙に似合っていた。
 まるで着ている執事服自体がヴェインの第二の皮膚であるようであった。
「メイド服を見ると白とツェチェリカを思い出すよな……」
「あの二人はよくメイド服を着ていましたからね」
 リオもヴェインの呟きに同意している。
 その顔はまるで懐かしい昔を思い返しているようでもあった。
 見た目が二十歳に達していない少女に見える為、その顔は妙に違和感があった。
「ツェチェリカの奴……よくメイド服で局内を歩き回るから、廊下が血で染まったよな……」
「確かに……二人はメイド服が妙に似合ってましたから」
 思い返すリオとヴェインの顔は妙に寂しげであった。
「ヴェイン隊長。そろそろ行きますよ!」
 メイド服を着た小柄な女性がヴェインに話しかける。
 それはヴェイン率いるパラフィス分隊の副隊長である柊芽衣であった。
「おう」
「警邏中に逃げないで下さいね」
 芽衣はヴェインに釘を刺す。
「そんな事、判ってるさ。そんじゃあ、行って来る。リオ」
「いってらっしゃいませ」



〈大晦日の朝 諜報部ver〉
 大晦日の早朝にも関わらず、諜報部は熱気で満たされていた。
 雪奈は開発部と諜報部の局員を一人残らず集め、挨拶を始める。
「開発部。そして、諜報部……おはよう」
「おはようございます」
 全員が雪奈に挨拶する。
 雪奈は挨拶を続ける。
「ついに、大晦日の朝が来ました。皆さん。頑張りましょう」
「はい!」
 足並み揃え、雪奈に言う。
「……う~ん。やっぱり私らしくないし、生ぬるいなぁ……」
 雪奈は深呼吸する。そして、叫ぶ。
「ついにこの日が来ました! 大晦日! 三十六時間、フルに働け! 寝たきゃ床で寝ろ! 栄養はキチンと取れ! 軍医の診療室で正月を迎えたくなかったら倒れるな! 軍医の診療室に行った奴の給料は打ち上げで使ってやるからなっ! 以上!」
「Yes Sir!」
 雪奈の掛け声に全員が足並みを揃え、凄く自然に敬礼を行う。
「解散!」

「おっす。幽霧♪ それにアルフィトルテちゃん♪」
 幽霧とアルフィトルテがスケジュール表を見ていると、諜報部の拷問班である紅月神威が幽霧の肩を叩く。
「あっ。紅月神威二等陸士。」
「スケジュール表見とるん?うわっ。ハードスケジュールやね。空白部分が無いやん……」
 神威は幽霧のスケジュール表を見ながら言う。
「まあ。貸し出しのオファーも多いみたいですから」
「私は、【甘味処「華蝶風月」】の方で仕事や……嗚呼。はやてさんの生脚。嗚呼。はやてさんの可愛いお尻……」
 諜報部の拷問班ではなく、両刀遣いのセクハラ局員と化している神威。手つきがかなりマズい。神威が女性なのが唯一の救いか。
「神威お姉さま。私じゃあ、ダメなんですか?」
「ダメやないで~」
 すり寄って来たネタミヤの口を唇でふさぐ神威。
 そして朝から濃厚なディープキスをし始めた。
 幽霧はどうでも良いらしく、死んだ魚のように無機質な瞳で背後の二人を無視しながらスケジュール表を読む。
 背後から悩ましそうな洗い吐息と粘質な液体が混ざり合うような音が聞こえた。
「ぷはぁ……また今度可愛がったるわ。今度は腰が砕ける位な」
「ありがとうございまふぅ……」
 悩ましげな吐息が聞こえなくなる。
 どうやらネタミヤも担当の店に移動したのだろう。
「幽霧とアルフィトルテちゃんも大好きやけどな」
 そう言って、後ろから幽霧とアルフィトルテに抱きつく。腕はちゃっかり、二人の胸部に触れている。
「そういやあ。幽霧」
 神威は二人の胸部を揉みしごきながら尋ねる。
「幽霧って、女の子やったっけ?」
 幽霧は神威の問いに答える。
「開発部の雫主任が作った偽物です。でも、触感が本物の女性の胸に似ているとか」
「まだまだ、本物のおっぱいには程遠い。本物のおっぱいちゅのはな……おっと。もうこんな時間や。幽霧も頑張って来いや」
 時間は既に、集合時間の間際だった。神威は慌てて、担当の場所へと走る。
「じゃあ。行こうか。アルフィトルテ」
「うん。」
 幽霧とアルフィトルテも移動を開始する。



〈広報部 開始からあと十分〉
「え~。広報部所属の蔵那クロエが十一時五十分をお知らせします。」
 放送スタジオでは、クロエがラジオの放送をしていた。
 涼香は広報部全員の為に稲荷寿司を作っていた。既に幾つかの机には稲荷寿司が大量に乗った皿が置かれている。
「開店時間まで後10分です。先走って、開店しないようにご注意下さい。
 え~。今、お便りが届きました。送り主は、自然保護隊の局員。PN.ヒツジさんからのお便りです。
 おはようございます。ヒツジです。今日は遂に大晦日ですね。オイラの所属する環境保護隊はアツアツのスープとシチューを売るよ。出来れば、オイラの作るヒツジ汁を食べに来て欲しいですだお。では、蔵那さん。頑張ってね。
 暖かいメッセージありがとうございます。私もしばらくは頑張れそうです。」
 クロエはヒツジのお便りを読み終える。そしてマイクが拾えないくらい小さな声で呟く。
「ヒツジ汁が食べたい………」
 蔵那がそう呟いたのはちょうど、十二時。
 時空管理局の局員の長い三十六時間が始まった。

「蔵那さん。」
「はい?」
 三角斤に割烹着の涼香がクロエに呼びかける。クロエは涼香の方を見る。
「あ~ん。」
 クロエの口に作った稲荷寿司を入れる涼香。甘く煮られた薄あげの味が口一杯に広がる。
 中にはちらし寿司が入っていた。
 涼香はクロエに言う。
「私たちも頑張りましょうね。」
「……………はい」

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5件のコメント

[C140]

あまあまでゆりんゆりんですね~
こんな、喧噪の中の話は一番すきですね~

[C141]

リメイク版ですねw
これまで書いてきた新しい設定やら人物やらが暴れてますねwww
こういうのは好きですww
でも幽霧と長月部隊長のコンビがさらに凶悪になってるようなwwwww
でも長月部隊長のナタネさんへの「命令」はかなりツボにきました!
  • 2008-08-27
  • 投稿者 : 羽
  • URL
  • 編集

[C142]

なんというカオス空間w
それぞれの部署が大にぎわいww
そして引っ張りだこの幽霧...
ナタネとなのはの抱きつき写真はいくらですか?!
長月部隊長!
  • 2008-08-28
  • 投稿者 : 恭耶
  • URL
  • 編集

[C143]

やっと追い付きました・・・

いや~・・・もはやどこから突っ込んだらいいのか(笑)

ひつじ汁ってひつじさんは自分を煮込んでおられるのですか??(笑)

これからもちょくちょく見に来るんで頑張ってください~
  • 2008-08-28
  • 投稿者 : 海豚
  • URL
  • 編集

[C144]

諜報部は変わった方々が多いですね。流石です。
これは良い百合ですね……。
ネタミヤさんがとっても可愛いと思います。
大変そうですが、面白そうなので期待しています。
  • 2008-08-29
  • 投稿者 : 縹
  • URL
  • 編集

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「交換戯言日誌」を見に来て下さってありがとうございます。
終焉の引き金を引くのは貴方。
物語の続きを作るのもまた……
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