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[C103] 感想

ミニコンサートを行った幽霧、お疲れ様ですw
歌った曲の元ネタを知っている人間から見ればああいった解釈もできるんだなぁと思いました。
  • 2008-06-23
  • 投稿者 : 恭也
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[C104] なるほど

小話のように綺麗に纏まってると思いますb
こういう幽霧もいいですね

ってかもしかして一本とられたのだろうか(笑<Lyrics

[C105]

幽霧さんは女装した際には意外といろんなところにいるんですね。
化粧をしっぱなしな幽霧がこの後どうなるか期待です♪
  • 2008-06-23
  • 投稿者 : 羽
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『買い物。幽霧霞の休日』②

こんばんは。雪奈・長月です。

現在、涼香様の時空管理局ラジオ進行中!
涼香様。身体を壊さない程度に、捕捉作業を頑張ってください。
ちゃんと自身の身体をご自愛くださいね。

さて。最近は色々とあって筆が進む今日この頃です。
理由は学校の本屋で立ち読みした本のある一言でした
「ケータイ小説は女性の情熱によって書かれているから、あんなにも早くて面白い」
色々とあって、へこんでいた私は思いました。
ケータイ小説の小説の作者に負けている……と。
その瞬間、あほらしくなりました。
ケータイ小説に負けてたまるか! といった感じに現在に至ります。
今回はオリキャラ多し。なぜかクオリティ高し。
これで大丈夫なのでしょうか!
だってアンリミテッドクレイモアにひっかかるひとが多いんですもの
まあ。そんな戯言は置いておいて、そろそろはじます。
では! どうぞ!





 周囲の人ごみから聞こえる歌や大声が響く街の中。
 幽霧とアルフィトルテは涼香と共に歩いていた。
 病院を無事に一週間で退院した後も諜報の仕事ではなく、広報部の警護を言い渡されていた。
 ある意味で一時的に一線を退く様な感じになったが、そのおかげで涼香などの広報部局員と親交も深める事がなった。
 こうして幽霧は、今日は休日が重なった涼香と買い物に行く事になる。
「そういえば、ここってストリートミュージシャンが多いのですね」
「ここはアイドルの戦場とも言える街。ファーヴェルプーペェですからね」
 幽霧の疑問に涼香は答える。その顔は妙に懐かしそうであった。
「ココに思い出があるのですか?」
 感慨深そうな顔をする涼香に幽霧は尋ねる。
 涼香は周囲を見る。
 どこもかしこも奇抜な衣装を着た人たちが歌ったり、踊ったりしている。
 それは昔も今も変わっていない。
「昔、ある女性を有名にする為に仲間と一緒にココで活動していましたからね。あの頃は楽しかったです……」
「その結果はどうだったのですか?」
 ちょっとした興味で涼香に尋ねる。
「さぁ? どうでしょうか」
 しかし涼香は笑顔ではぐらかした。
 鼻歌を歌い始めた事から、幽霧は何かしらの結果を出したのだろうと推測した。
 突然、涼香が足を止める。
 涼香が足を止めたそこには一人の少女がライヴをしていた。
「きょっくら~じにしてやんよ~」
 少女の歌う曲は時空管理局広報部で放送されるラジオ番組の一つ、『時空管理局ラジオ』のエンディングテーマ曲『局ラジにしてやんよ』。
 胸にからすと書かれた紺色のスクール水着を着用して、軽快なリズムと共に片手でどす黒い木刀を振る様はシュールを通り越して怖い。
 しかし涼香は別のものを見ていた。それはしゃがみながらスクール水着の少女を眺めている女性。
 白色のシャツの上にファーの付いた茶色のコートを羽織り、下は厚地のジーンズ。
 古風なキャスケット帽の後ろから出ている滑らかな黒髪が印象的だ。
 女性も視線に気づいたのか、立ち上がって涼香の方を見る。
「えーまさん」
「久しぶりですね。涼香さん」
 微かに赤みがかった黒の瞳が笑む。
「はい。久しぶりですね……最後に会ったのは、えーまさんが大成した五年前でしたっけ?」
 少し照れ臭そうに髪を掻く涼香。
「ええ。そうですね。ジンナイとケインは元気? ラグナちゃんはどうしてる?」
「二人は相変わらずですよ。クロエさんは私の部下として、時空管理局の広報部で働いてます」
 えーまの問いに涼香は淡々と答える。
「そっか……みんな元気にしてるんだ……良かった」
 安堵の表所を浮かべるえーま。その顔はまるで今まで背負っていた何かから開放されたような感じであった。
 そして涼香の隣にいた幽霧を見て、えーまは驚いた様な顔をする。
 初対面のえーまに驚かれる理由の分からない幽霧は小さく首を傾げる。
 涼香はその視線に気づき、えーまに幽霧を紹介する。
「隣にいるのは最近、知り合いになった……」
「もしかして君が幽霧霞さん?」
「はい? そうですが」
 涼香が紹介する前に幽霧の名を言い当てるえーま。
 どこかで会ったのだろうかと、自身の記憶をさかのぼる幽霧。
 しかし目の前にいる女性と会った覚えなど、全く無い。
 首を傾げる幽霧にえーまは微笑みながら答えた。
「一時期、芸能界で有名だったんですよ。一日部隊長となった謎の美少女として」
「はぁ……」
 幽霧の中で何かが符合した。
 目の前にいる女性は何かしらの形で一日部隊長をした時の自分を見たから、自身が誰だか分かったのだろう。
 しかしそれは幽霧にとって、余り嬉しくない話だ。
「あの時、一日部隊長をしていた美少女は何者か。その話題で芸能界の上から下まで話が持ちきりだったのですよ。まさか、涼香さんの知り合いだとは思わなかったけど」
 そこで涼香が口を挟む。
「でも、幽霧さんは……男ですよ」
「えっ?」
 涼香の口からでた驚愕の事実にえーまは驚く。
 幽霧は無表情で一言だけ発した。
「慣れてますから」
 さっきまで幽霧が女の子だと思っていたえーまは言葉に詰まってしまう。
 言葉を詰まらせるえーまに苦笑しながら、幽霧に紹介をする。
「えっと……こちらはえーまひよー。一応は私の知り合いですが……ミッドチルダの歌姫と言った方が分かりやすいですね」
「この方がミッドチルダの歌姫ですか」
 幽霧はすこしだけ驚く。
 殺伐とした諜報部の部署を空気だけでも明るくしようと、同僚が持ってきたCDに入っていたのが確かえーまひよーの曲だった。
 そして餅と萌夜が持ってきたラジオでもえーまひよーの曲を聞いた。
 幽霧はこの目でミッドチルダの歌姫と謳われるえーまひよー見る事になるとは思わなかった。
 自身の性別が予想と外れて、言葉を詰まらせるとも思わなかったが。
 えーまの中でどうにか整理がついたらしく、驚きで震えながらも一言だけ呟く。
「君は詳細不明の美少女として芸能界全体を揺るがしてくれたけど……まさか、あの如月弥生以上の逸材であるとは思わなかったよ……」
「そうですか……」
 如月弥生の名を引き合いに出されるとは思っていなかった幽霧は少しだけ感嘆する。
 その時、幽霧の隣で空を見上げていた涼香の腹が鳴る。
「……そういえば……昨日から何も食べていませんでした……」
 涼香の空腹を代弁するかの様に再び腹が鳴った。
「お勧めの店があるのですが、そこで食べませんか?」
「じゃあ。そこに行きましょうか」
 涼香はえーまの提案に賛成する。
「じゃあ。行きましょうか」
 えーまは二人を連れて歩き出す。
 しばらく歩いてから、三人はある店にたどり着く。
 看板には居酒屋「苺壱枝」と書かれていた。昼から酒でも飲むつもりなのだろうか。
「ココなら安心ですね」
 涼香もこの店を知っているらしく、えーまと共に中へ入る。
 とりあえず、幽霧は二人についていく。
 中は割りと広く、隠れ家的雰囲気があった。何故か中心に大きなお立ち台らしきものが置いてあるが。
「いらっしゃいませ。おひさし……きゃあぁあ!!」
 カウンターの奥から二十代全般の女性が現れた。そして何も無い所で盛大に転倒した。
 幽霧は突然の事態に呆然とする。
 しかし涼香とえーまや客にとっては見慣れているらしく、転倒した女性に苦笑した。
「相変わらずですね。天音さん」
「ううっ……お久しぶりですね。えーまさん。涼香さん」
 女性はむくりと起き上がり、服についたゴミをはたく。
「三人ですが、席は空いてますか?」
「ええ、勿論です。こちらにどうぞ」
 天音に案内され、三人は空いているカウンター席に座った。
 席に座った三人に天音は注文をとる。
「何にしますか?」
「さば味噌定食」
 えーまはメニュー表を読まないで注文をした。
「私は焼鳥定食にしますね」
 軽くメニュー表を一瞥してすぐに注文をする涼香。
 残された幽霧はメニュー表を見回し、ひつまぶし定食を注文。
「分かりました。少し待っていて下さいね」
 そう言って天音はカウンターの奥に消える。
「良いお店ですね」
 居酒屋「苺壱枝」の内装を見回しながら幽霧は呟く。
 微かに薄暗く、仕切りも多い。
 その隠れ家的な印象が何をしても良いと思わせる様な開放感がある。
 やっぱり、中心に大きなお立ち台が置いてある理由が分からないが。
「この店は芸能人の為のお店ですからね」
 いつの間にかカウンターの奥から戻っていた天音が水の入ったグラスを並べた。
「えっと……」
「天音です! 月城天音」
「幽霧霞です」
 名前が分からない幽霧と天音は自己紹介をし合う。
「確かにこの店は有名人の息抜きの場と言えなくも無いですね」
 水で喉を潤しながらえーまは口を挟む。
「プライバシーが守られていますからね。店内で起きた事は殺人以外を口外してはないらないし、記録してはいけない」
 涼香の言葉に幽霧は驚くと同時に納得してしまった。
 店内で起きた事を口外してはならないのなら有名人のカップルがデートしていても問題ないし、作家が店内で作品を作っていてもおかしくない。
 涼香たちの言うとおり、居酒屋「苺壱枝」は「有名人の為のお店」だろう。
 そこで幽霧はある疑問に行き着く。
「もし、そのルールが破られたらどうなるのですか?」
 幽霧の口から出た疑問に店内がざわめく。
「私が聞いた噂だと、社会的に干されるそうです」
 そこで涼香が幽霧に教える。
「ルールを破った悪徳ジャーナリストがオカマバーに売られたという噂もありますね」
「集団私刑という噂も聞いたぞ」
 えーまや周囲に居た人たちも口を挟む。
 天音に幽霧は尋ねる。
「結局のところ、どうなのですか?」
 無言で天音は笑う。かなり意味深であったが、聞いてはいけない雰囲気であった。
「そろそろお出し出来る頃ですね」
 天音はカウンターの奥をちらりと見る。そして再び奥に消えた。
「まあ。気にしてはいけないという事ですね」
 グラスの水を飲みながら涼香は呟く。
 しばらくして、天音がメニューを持って現れる。
「はい。どうぞ~」
 カウンターにさば味噌定食と焼き鳥定食が置かれる。
 幽霧の頼んだひつまぶし定食はその五分後ぐらいに来た。
 割り箸を割り、幽霧は熱々のひつまぶしを口に運ぶ。
 たれがしっかりとご飯とうなぎに染み込んでいて美味しい。
 料亭の味という感じがした。幽霧は料亭でご飯など食べた事はないが。
 きっとカウンターの奥にいる人は修行を積んだ板前さんなのだろう。
「ままぁ。アルフィトルテも食べる~」
 アルフィトルテは幽霧の隣で食べたそうに口を開ける。
 幽霧は微笑みながらアルフィトルテにひつまぶしを食べさせた。
「美味しい?」
「うん!」
 嬉しそうにアルフィトルテは頷く。
「そういえば、幽霧さん」
 涼香は焼鳥を箸で串から外しながら幽霧に尋ねる。
「なんでしょうか?」
「鏑木弥三郎空軍大将は、フェイト・T・ハラオウンさん。シグナムさん。蔵那クロエさんの三名を自身の部隊に引き抜こうとしているけど、本当なんですか?」
 突然な涼香の問いに幽霧の手が止まった。
「幽霧さん?」
 黙る幽霧に涼香は首を傾げる。
 アルフィトルテにひつまぶしを食べさせる手を動かしながら幽霧は話す。
「蔵那クロエ一等空士については存知ませんが、その噂は本当の様です」
「ほう」
 あっさりと話す幽霧に涼香は驚く。
「自分以外の諜報部員ですが……鏑木弥三郎空軍大将から「ああああ、二人の腹の上で死にたいわー」とか、「さぞや寝心地は極上なのだろうなぁ。ふよふよの4つのお胸で……」とか、「フェイトさんとシグナムさんはオイラの嫁。これは真理です」などの言質が取れたそうです」
「マジですか……」
 諜報部所属の局員である幽霧霞の告白に涼香は唖然とするしかない。
 驚く涼香の方を向き、幽霧は口を歪ませる。
 涼香にはそれが微笑んでいるように見えた。
「ここで起きた事は口外禁止ですよね? じゃあ。この話も内緒ですね」
 幽霧はひつまぶしを食べ始める。
 一本取られた涼香は苦虫を潰したような顔をする。
 えーまは苦虫を潰したような顔をする涼香にくすくすと笑う。
 その時店内が少し暗くなり、曲が流れる。
 旋律は中国を思わせるような感じであった。
「部屋の隅まで、がらくたゆんゆん! デジタルしゅ~ず~。アナログもにもに!」
 その時、背後から大きな歌声が聞こえた。
 幽霧は後ろを振り向く。中心にあるお立ち台で女の子が歌っていた。
 女の子が着ている服は俗に言うチャイナドレス。裾が短く、スリットが入っているからか、白い素足が見え隠れしている。
「……」
 何とも言えない謎の光景に硬直する幽霧。
 硬直した幽霧で一体、何を勘違いしたのか天音は面白そうに笑う。
「幼女が好きなんですか?」
「はい?」
 天音の質問の意図が分からない幽霧は首を傾げる。
 予想が外れたらしく、天音は勢い良く幽霧に頭を下げた。
「すみません! からすちゃんをじっと見ていたので、てっきり幼女スキーと呼ばれる方かと思いました~」
「そうですか。で……あのお立ち台は一体、何なのですか?」
 どうやら幽霧はからすちゃんと呼ばれる女の子より、巨大なお立ち台の方を見ていたらしい。
「あそこで一発芸をしたり、歌を歌ったりするんですよ。えーまさんも下積み時代はよく、あそこで歌ってましたよね」
「涼香さんだって、酔っ払った時にあそこで私の持ち歌を歌っていたじゃないですか」
 思い返しながら説明する涼香にえーまは突っ込みを入れる。
「からすちゃんと言うんですけど、あの子はよく自分を売り込む為に色んな所で歌っているんですよ」
「そうなんですか」
 天音の言葉で、さっきもあの女の子を見た理由が分かった。
 しかしさっきはスクール水着だった。実はコスプレイヤーなのだろうか。
「幽霧さんもあのお立ち台で歌ってみてはどうでしょうか?」
 涼香の言葉に天音の目が光る。
「体型や身長は私と似ているから、似合うと思いますよ!」
「自分……男なんですが」
 幽霧は楽しそうに言う天音の提案に溜め息をつく。
 しかし天音は笑顔で幽霧を腕を掴む。
 そして幽霧に天音は言い放った。
「この際、男の子でも女の子でも関係ないですよ」
 天音に引きずられて行く幽霧は涼香とえーまに助けを求めるが、二人は笑顔を浮かべながら見送る。
 涼香に至っては爽やかな笑顔を浮かべながら親指を立てている。
「ア―――!!」
 断末魔を上げながら、幽霧は天音と共にカウンターの奥へ消えた。
 カウンターの奥は厨房へと続いており、厨房へ入る出入口の隣には大きな扉があった。
 天音は扉を開け、幽霧をそこに引き入れる。
 中には鏡と沢山の衣装が置いてあった。
 鏡の前にある椅子に幽霧を座らせ、化粧道具を探し始める。
 幽霧は鏡の前で軽く嘆息した。
「逃げないのですか?」
「……逃げても無駄でしょう。ここまで来たらやらないといけないのでしょう?」
 化粧道具を探しながら尋ねる天音の問いに幽霧は答える。
 その言い方は余りにも淡々としており、既に諦めているような感じだ。
「慣れているような感じですね」
「まあ。慣れてますから」
 他人事の様に淡々と答える幽霧。やはり経験があるのと無いとではイロイロと違うようだ。
 天音は鏡の前に座る幽霧の背後に立ち、化粧道具を構える。
「覚悟があるのはありがたいです! 常連メイクさん直伝メイクアップ! いきますよぉ~」
 まず幽霧の肌に軽く白粉をつける。
 数分後。
 幽霧の顔にメイクを施していた天音は唖然としていた。
「……………」
 見慣れている幽霧は余り驚く事は無かったが、天音が行ったメイクの腕には感嘆した
 そこで、幽霧の顔を眺めながら天音が呟いた。
「ああ、君がこんな素敵で可愛い子になるとは思いませんでした………」
 化粧で幽霧の顔が変な顔になったわけではない。むしろ、逆。綺麗になってしまったのだ。
 鏡に映っているのは、自分だと幽霧も分かっている。しかし別人に見えた事は間違いなかった
 幽霧は男なのだが、明らかに女性にしか見えなかった。
「これならいつお嫁に出しても恥ずかしくないですね」
「すみません。自分……男なんですが」
 淡々と言う幽霧だが、わずかに疲れの色が見えた。
「冗談ですよ」
 幽霧を見ながら天音は微笑む。
「さて、衣装を着るので脱いで下さい」
「はい」
 天音の前で幽霧はカッターシャツのボタンを外し始めた。
 幽霧の着ていたカッターシャツとTシャツが床に落ちる。安物の蛍光灯の光を浴び、綺麗にくぼんだ鎖骨のラインが、彫像を思わせる白くきめ細かな肌が露わになる。
 何故か天音はゴクリと唾を飲んだ。
「肌……綺麗なんですね」
「そうですか?」
 首を傾げる幽霧に天音は一着のドレスを渡す。
 それはマーメイドスタイルのドレス。
 純白の生地を基調に右肩から縦にブルーラインが引かれている。首の部分を含めた要所にひだが幾重にもあしらわれており、本来は舞踏会などの礼装。人魚の名を示す通り身体に密着するように設計され、いやでもボディラインが浮き彫りになる。
 なぜ、こんな服がここにあるのだろうか。
 幽霧の疑問に答える様に天音は説明する。
「ココは有名人が一般人の様に楽しむお店です。なら、三流のアイドルでもこの店だけなら綺麗になりたいでしょう? だからです」
 そう言って、天音は幽霧に胸パッドを渡す。
 幽霧は胸部に胸パッドを付け、マーメイドスタイルのドレスを着用する。
 ドレスのデザインで胸パッドが見えないので、まるで幽霧の胸が本当に膨らんでいるように見えた。
「……どうでしょうか?」
「流石です。慣れていると言うのは伊達じゃありませんね。同じ女の子として、貴女に憧れますね♪」
「だから……自分は男です」
 一種の賛美も入った天音の冗談に幽霧は苦笑する。
 最後に幽霧の唇に口紅を塗り、髪に髪飾りをつけた。
「さあ、行きましょうか? 至高の歌姫オーヴァストゥディーヴァ?」
「はい」
 天音はいたずらっぽくウィンクをし、その手を差し出した。
 差し伸べられた天音の手に幽霧は手を乗せる。



「幽霧さん……遅いですね」
「そうですね」
 涼香とえーまは幽霧を待っていた。既に注文したメニューは食べ終わっていた。
 注文したひつまぶし定食はどうなったのかというと、アルフィトルテが綺麗に食べてしまった。
 幽霧がカウンターの奥に連れて行かれてから既に三十分以上が経過している。
 何かあったのだろうか。
 二人がそう思った矢先に店内の電気が一斉に消された。
 座敷や道に置かれたオレンジ色の灯りだけが幻想的に店内を照らす。
《寄せ合った柔らかな肩をただ抱いて》
 店内に旋律が流れる。
 それは哀しくて寂しくも、どこか優しくて懐かしい旋律。
《愛しさに心震わせるこんな夜も》
 そこでお立ち台の上にある照明だけが点灯する。
「……幽……霧……さん?」
 お立ち台に立っているのは幽霧であるはずなのに、涼香とえーまは驚く。
 何故ならそこに立つ女性は幽霧と似ても似つかないからだ。
 茶色の髪に濡れた様な黒い瞳に、うっすらと唇に引かれた夜色の口紅。
 その身に纏うのはマーメイドスタイルのドレス。胸から腰に出来たくびれやほっそりとした華奢なボディラインが浮き彫りになっている。
《どう言えば伝わるのだろう。言葉にできないからただ抱きしめて目を閉じる……もっとそばにいたくて》
 建物の中なのに一陣の風が前触れもなく通り過ぎる。
 これはそよ風の響きだろうか。
 否。それは夜を思わせる闇の中で流れるささやかな歌だった。
《花の色。季節の巡りをあなたと過ごし変わってゆく。強い真紅の色に変えてく。迷わない強さに》
 幽霧。いや、歌姫によって奏でられるのは冷たく澄みきったひそやかな旋律。
 歌姫によって謳われるのは、絶対的な自信と前に進む「意志」ある目を持った「心」の強者を求める者の物語。

《傷つけた弱さの数だけうつむかず、天を見上げてく》
 最初はただ傷つけることしか出来ない。
 求めるは絶対的な自信と前に進む「意志」ある目を持った「心」の強者。

 硝子の鈴を想わせる様な澄みきった声音が店内に流れる。
 居酒屋「苺壱枝」の店内にいた客の数名がお立ち台の方を見た。
 その顔は驚きに満ちていた。

《風の中咲くよ 真紅の花》
 その想いだけが風に溶けていき、真紅の花となる。

「すごい……」
 お立ち台の上から紡ぎ出される歌姫の歌声に涼香とえーまは感嘆する。
 涼香は広報部として様々な歌を聴いた玄人。
 えーまは『ミッドチルダの歌姫』と謳われるアイドル。
 そんな二人が素人である幽霧の歌に聴き惚れていた。

《巡り会い触れて感じ取る大切さ》
 他人の想いと触れ合い、自身になかった物を得ていく。

《譲れない願いはいつでも変わらなくて》
 しかし月日が巡り、周囲が変わって行こうとも願いは変わらない。
 絶対的な自信と前に進む「意志」ある目を持った「心」の強者。

 その旋律はか細くて弱弱しさを感じたが、明確に人の心を打つ何かがあった。
 特別な技法など無く、殊更に美声というわけでもない。
 しかしその声から織り成す音の連なりはひどく純粋で、心の模様を音に変えた様な飾り気の無い美しさがあった。
 まさしく、魂の歌声。
 ただあるがまま、自然に歌い上げるその響きは多くの歌い手が最初に望み、得られぬままに忘れ果てていく一つの極致。

《孤独に揺れる痛みごと包んでくれた愛を並び歩んでゆく日々を全部この手で護る》
 私の抱える孤独と寂しさも包んでくれたあなた。
 あなたと過ごすだけは絶対に守って見せる。

《愛しさですべてがつながるこの手が掴む強さの理由いみ
 あなたへの愛しさによって、私は「強さ」の意味を知りました。

 遂には店内にいる人全員が、己の吐息の音さえ押し殺して聞き入った。
 不粋な自分の呼吸音が切ない程に純粋な歌をかき乱さないように。
 それと一緒に調理の音や食事の音も消える。
 余計な物音が歌の持つ透明さに濁りを与えては仕舞わぬ様に。 

《闇を駆けぬけ、星の夜天よぞらを突き抜けて変えてく》
 全てを突き抜け、私は全てを変えていく。

《言葉にはできない願いは胸の奥に抱きしめてゆこう風の中揺れて……真紅の花》
 しかし言葉には出来ない願いと想いだけは胸にしまっておこう。
 その願いと想いは風に揺られ、真紅の花となる。

 夜を思わせる闇に極光を思わせる旋律が流れる。
 その旋律は空気の様に聴く者を包み込む。

《空の色 季節の巡りをともに過ごして変わってゆく。強い真紅の花を育てて挫けない強さに》
 掲げた意思に鉄壁の自信を、進む意志は不屈に通ず、前に歩みて後を振り返らない。
 この心は折れず萎れず朽ちることのない真紅の花となし、私は純然とただ前へ進む。

 歌姫から紡ぎ出される曲も終わりに向かっていく。
 その時点で、聴くという動作をしていない人はいなかった。
 全員が瞼を閉じ、身動きもとらないでその曲に聞き入る。
 まるでわずかな音色すら取りこぼすまいとするように。

《傷つけた弱さの数だけ。誰よりも空に向かってく》
 しかし他人を傷つける事しか出来なかった昔の「弱さ」を私は忘れない。

《風の中きっと 真紅の花》
 そして私は風の中に決意の紅い花となった願いと想いを感じるだろう。

 こうして、歌姫の歌は終わる。
 歌姫は己の胸に手を当ててゆっくりと深呼吸。
 夜色の唇から漏れる吐息が夜を思わせる闇の中に溶けて消えた。
 ここでやっと聴いていた人たちも深く息を吐いた。
 徐々に歌姫を照らしていた照明が消える。
 そして再び闇に包まれたが、すぐに店内の電灯がつく。
 しかしそこには歌姫の姿は無かった。
 一体、歌姫はどこに消えたのかと周囲の客がざわめき始めた。
「涼香さん」
 周囲がざわめき始めた時、涼香は背後から声をかけられる。
 涼香は少し驚きながら後ろを振り向く。
 そこには幽霧の姿があった。
 衣装を脱いできただけらしく、顔は化粧をしたままであった。
 更に胸パッドがつけっ放しであったので、シャツに妙な膨らみがある。
「どうでしたか?」
「疲れました」
 楽しそうな涼香の問いに幽霧はげっそりとした様子で答える。
「上手かったですよ。全員が聴き入ってました」
 えーまは微かに興奮した様子で言う。
 しかし幽霧にはどうでも良い事らしく、カウンターに突っ伏す。
「はい。どうぞ」
 突っ伏した幽霧の前に苺ババロアが入ったグラスが差し出される。
 顔を起こすと、天音が楽しそうな笑顔を浮かべていた。
「これは私の奢りです。良い歌声でした。厨房の人まで腕を止めて聴き入ってました」
「そうですか」
 ここまで賛美されても幽霧にはどうでも良い事らしい。
 天音の奢りである苺ババロアを口に運ぶ。
 苺ババロアの冷たさと甘さが疲れた幽霧の身体に染み入る。
「そういえば、あの曲はなんだったのですか?」
「私もあの曲は聞いた事がありませんね」
 えーまと涼香の問いに幽霧は苺ババロアを食べながら答える。
「長月部隊長が「昔いた知り合いが良く歌っていた曲だよ」と言って、よく聞いていた曲です」
「へぇ……」
 涼香は感嘆しながら時計を見る。
「そろそろ出ましょうか。買う物もありますし」
「はい。ちょっと騒がしい内にそうした方が良いと思いますよ。見つかったら、どこかのプロダクションにスカウトさますよ」
 天音は楽しそうに答える。
 その瞬間、涼香の顔が真っ青になった。
 涼香も何かしらの経験があるらしい。
「苺ババロア……ご馳走様でした」
 幽霧はひつまぶし定食の代金を置き、席を立つ。
 二人もカウンターに代金を置き、席を立って出口へと歩き出した。
 

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雪奈

Author:雪奈
「交換戯言日誌」を見に来て下さってありがとうございます。
終焉の引き金を引くのは貴方。
物語の続きを作るのもまた……
読んでいる貴方なのです。






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