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[C79] 感想

前回の続き物でついに登場しましたかw
恭耶自身聖鎧布は扱えないでしょうから聞いても無駄だったかもしれませんね。 ただ自身の強化として参考になったかと思われますね。 タダでさえ護衛の仕事は危ないモノが多いので(汗)


やはりアイスネタはスバルとヴィータですよねw
どっかでまたヴィータらの話も見てみたいですねw

最後の素肌に紅い魔方陣っていうのがいい伏線になりそうな予感ですw
  • 2008-05-20
  • 投稿者 : 恭也
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[C80]

アキの忠告も忘れて、暴走気味のスバル
まさか聖鎧布まで使わせるとは・・・・無茶させやがりますねw
恭耶さんが聖鎧布をコトを聞いていたけど、普通の人には無理でしょうね・・・・

最後の伏線・・・・何となく、予感はしてたんですけどね・・・・w

これからも頑張って下さい、よろしくお願いします
  • 2008-05-20
  • 投稿者 : 如月
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012.「病院。林檎と一時の休息」⑤

こんにちは。雪奈・長月です。
今回も某所のPCを利用して更新します。そのため、文章は短めに。でも、内容は面白く。
では、お楽しみ下さい





 幽霧はラジオから流れてくる音を聞きながら、ぼんやりと外を見ていた。
 その近くでアサギは抜いた「雷皇麒」を磨き、ケーキ屋が乗っている雑誌を読んでいる。
 アルフィトルテは幽霧の膝の上に頭を乗せながら眠っている。
 弥刀と萌夜は呼び出しをくらってしまったので、もういない。
 ちなみにレンは治療中だ。自業自得とはいえ、恋人の操るモーニングスターによって重傷となってしまった事は同情するしかない。
 ゆるやかに時間だけが過ぎていく。
 その空気を破るように病室のスライドドアが開く。そして幽霧に突っ込んできた。
「ゆ~ぎりっ!」
 いきなり抱きしめられた幽霧は怪訝な顔をする。
「スバル・ナカジマ一等陸士……」
 入ってきたスバルは幽霧の身体を触りまくる。
「仕事は大丈夫なんですか? スバル・ナカジマ一等陸士」
「大丈夫だよ。ちゃんと半休は取ってきたし、緊急時以外は大丈夫だよ~。それにしても良かったよ。幽霧が無事で」
「ええ。まあ……」
 最近は人の抱き締められる事が多いと幽霧はしみじみ思った。
 何故か身体を触るスバルの手つきがはやての手つきに似ていたが。
「元気そうだから、模擬戦しよっか」
 笑顔で言うスバルに雑誌を読んでいたアキはギョッとする。
 経験上、リハビリも無茶を重ねると治せるものも治せない事をアキはよく知っていたからだ。
 アサギは「雷皇麒」を磨く手を止めてニヤリと笑う。
「分かりました」
 あっさりとした幽霧の答えにスバルは嬉しそうな顔をする。
「俺たちはちょっと知り合いと会ってくる」
 そう言ってアキはうずうずとしているアサギを引っ張っていく。
 アサギは慌てて「雷皇麒」を納める。
「ちょっ! アキ……」
「夕方にカリムさんと今後の為に面会するのを忘れたのか」
「まだ時間があるじゃないか~」
 幽霧と模擬戦をしたくてしょうがないアサギにアキは溜め息をつく。
「カリムさんにケーキを買わないといけないじゃないか」
 アサギはアキの話を全く聞かず、駄々をこねている。
 病室を去る前にアキはスバルに忠告した。
「無茶するなよ。スバルさんも幽霧は病み上がりという事を忘れないでくださいよ」
「分かってますって」
「そんじゃあな。行くぞ、アサギ」
 アキも全く気にせず、ズルズルとアサギを引き摺っていく。
 幽霧は無言で二人を見送る。
「そんじゃあ、いこっか」
 スバルは幽霧に笑顔で言う。
「はい」
 幽霧は頷いた。
「アルフィトルテ。起きて」
「うにゅぅ……」
 寝ぼけているらしく、アルフィトルテは寝返りを打っている。
 眠いならしょうがないだろうと思い、幽霧はスバルに言う。
「行きましょうか」
 スバルは幽霧を抱きかかえ、車椅子に乗せる。そして訓練所へ移動する。
 訓練室は余り使う人がいないのか、人が全くいなかった。
「じゃあ、やろっか」
「はい」
 スバルは部屋の奥まで走り、幽霧と対峙する。
 車椅子のフレームを押すことで身体を押し出し、幽霧は床を踏みしめる。
「いくよ」
 拳を握るスバル。
 顔が一瞬にして、真剣な目つきとなる。
「……お手柔らかに」
 スバルは地を踏み込みながら蹴ることで幽霧に接近。
 握られたスバルの右拳が幽霧の顎を狙う。どうやら一発で幽霧を沈めようとしているようだ。
 しかし幽霧はスバルの拳が顔に触れる前に膝を曲げることで身体を落とし、スバルの拳を避ける。
 そのまま地を踏みしめ、掌底で顎を下から突き上げようとするが、スバルに腕を掴まれてしまった。
「病み上がりにしてはいい動きだね」
「ありがとうございます」
 幽霧は淡々とした口調で言う。
「でも……」
 スバルは幽霧の着ているパジャマの裾を掴み、身体を半回転させて一本背負い。
 幽霧の身体が宙を舞い、地面に叩きつけられる。
 受身を取れないまま、幽霧は地面に叩きつけられる。
「でもまだキレが足りないね」
 仰向けで天井を見上げる幽霧にスバルは笑いかける。
「……すみません」
 背中に鈍い痛みを感じながら幽霧はスバルに謝る。
「良いよ。幽霧はまだ病み上がりなんだから。これは提案なんだけど……聖鎧布を使ってみない?」
「聖鎧布……ですか?」
「うん」
 スバルの提案に幽霧は困ってしまった。
 聖鎧布は幽霧が編み出した肉弾戦専用の魔法。
 ベルカ式の防御魔法であるパンツァーガイストの様に身体を結界で包み込み、ブースト系の魔法で一時的な肉体強化を行う一種の複合魔法。
 確かに未完成でも、他人を無慈悲に蹂躙するが如くの戦闘力はある。
 しかしその代償は計り知れない。
 まだ完治していないのに聖鎧布を使用するのは危険ではないかと幽霧は考える。
 幽霧は目をつぶりながら深い息を吐く。
 開かれた幽霧の瞳は死んだ魚の様に濁った瞳に変わり、極寒地獄のような冷たい殺気が放たれる。
 瞳が変わるとほぼ同時、幽霧の足元に魔法陣が浮かび上がる。
 その魔法陣はミッドチルダ式でもベルカ式でも無い独特な形状をしていた。
 まるで讃美歌を謳う様に幽霧は冷たい声で呪文を紡いだ。
「其は鎧にして布。其は全て難から御子を守る者。それが故に御子の守護者………」
 展開されると同時に幽霧の全身に奇妙な紋様が浮かび上がり、瞬時にその紋様は消え失せる。
 見た目に全く変化が無いところから、幽霧の発動した魔法が失敗したかのように思えた。
 しかし幽霧の身体から放たれる魔力と肌をやすりで削られるような緊迫感は尋常ではない。
 スバルは頬をゆるませて笑う。何故なら、幽霧の魔法が発動していることを肌で感じたからだ。
 その隙を幽霧が逃すわけが無い。幽霧が一瞬にして間合いを詰め、スバルの懐に入る。
 幽霧は右の肘を後ろに下げる事で額に照準を合わせる。
 右手は親指に中指を引っ掛ける形となっている。幽霧は中指に力と魔力を注ぎ込む。
 スバルは額に冷や汗が流れる。
 指に魔力を纏わせたデコピンがスバルの額を捕らえる。幽霧の指から放たれたデコピンは常人ではありえない轟音と威力をたたき出す。
 喰らったスバルは額で何かが爆発したかのような衝撃に襲われた。
 スバルは上反りになるが、その類まれなる筋力で身体を起こす。
 距離を取る為にスバルはバックステップで下がるが、幽霧はそんなスバルを逃がさない。
 幽霧は聖鎧布を纏わせた連撃をスバルに叩き込みながらただ真っ直ぐに突き進む。
 その拳撃は刹那を超え、認識を超え、知覚を凌駕した認識領域で幽霧の拳が繰り出される。
 聖鎧布を纏った拳と大気が爆砕する。その拳撃の一発が既に砲撃魔法の一発分に匹敵している。
 爆砕した大気が暴風を生み、質量を伴った残像が顕現する。繰り出す拳は無限数。穿たれ、抉られ、放たれた拳撃がスバルに叩き込まれる。
 しかしスバルも幽霧の拳撃を何発も受け流す。
 その時、ガラスが割れるような音共に幽霧の聖鎧布が解除される。
 スバルはその隙を逃がさなかった。身体を落とし、渾身の力で幽霧に足払い。
 足を刈られた幽霧はバランスを失い、重力に従って転倒する。
 聖鎧布を発動していた時と比べたら、拍子抜けするくらいであった。
「私の勝ちだね」
「……参りました」
 幽霧は少しよろけながらも立ち上がる。
「今回は大丈夫だったみたいだね」
「……少し疲れました」
 笑いかけるスバルに幽霧は荒い息を吐く。
 幽霧は身体中から汗を流し、お世辞にも大丈夫だとは見えなかった。
 精神面では慣れているのかもしれないが、病み上がりに近い身体ではまだ慣れていなかったのかもしれない。
「汗もかいたことだし、お風呂にでもいこっか」
「……はい」
 幽霧は今も尚、荒い息を吐きながらスバルの提案に賛成する。
「車椅子に乗る?」
「これ以上、身体がなまったら困るので返しに行きます」
 幽霧は車椅子を押しながら歩く。そのおぼつかない足取りは、すぐに倒れてしまいそうな危うさがあった。
「そっか」
 スバルは苦笑しながら幽霧の後についていく。もし途中で幽霧が倒れても介助できるようにする為だ。



 廊下で車椅子を押す幽霧にスバルが尋ねる。
「大丈夫? 手伝おうか?」
「いえ……大丈夫です」
 廊下を歩く幽霧の足はおぼつかない。
 明らかに大丈夫ではない幽霧を助けられない事にスバルは歯がゆさを感じた。
 スバル自身は疲弊している幽霧を助けてあげたいが、当の本人はそれを拒否している。
 緊急時でもないのに、無理やり助ける事は要らぬお節介というものだ。
 助けたいけど、助けられない。そんなジレンマに悩まされながらスバルは幽霧についていく。
 しばらく歩いていると、スバルの前方を歩いていた幽霧の体が揺らぐ。そしてそのまま倒れこみ、床に身体が打ちつけられる。
「幽霧!?」
 慌てて幽霧に駆け寄り、抱き起こすスバル。
 顔は生気がないかのように白く、額には大粒の汗が浮かんでいる。
 スバルは緊急事態だと判断し、幽霧を担ぐ。そして車椅子を放置して走りだした。
 廊下を走るスバルから放たれる気迫に圧された医者や患者が慌てて道をあける。
 公共施設の中で走る事はマナーに反している事はスバルも分かっていた。しかしこれは人の生死に関わるかも知れない緊急事態。
 幽霧を助ける事だけでスバルは頭が一杯だった。
 医務官のいる階までたどり着くと、スバルは診察してくれそうな医務官を探す。
 どの医務官も外来患者や入院患者の診察で忙しそうであった。
 時間が経つにつれ、幽霧の呼吸が弱くなっていく。
 スバルの顔にも焦りが見え始めた。周囲を見回したその時、シャマル医務官という見覚えのある名前の札が横に掛けられたスライドドアを見つけた。
 なりふりを構ってはいられないと思い、スバルはそのスライドドアを壊すような勢いで開けた。
 部屋の中にいたシャマルと銀髪の医務官。そして一人の患者は状況が上手く掴めないらしく、呆然としながらスバルを見た。
「どうしたんですか?」
 状況が掴めない事態にシャマルは困惑しながらもスバルに尋ねる。
「幽霧が……」
 シャマルはスバルに担がれた幽霧を見る。
 スバルの背中で幽霧はぐったりとしていた。息も絶え絶えであった。
「まず慎重にこのベッドに降ろして下さい」
 状況を判断したシャマルは冷静に指示を出す。そしてクラールヴィントを起動し、幽霧の額に手を置く。
 シャマルの指にはめられた指輪が微かに発光する。
 幽霧の額に手を置きながらシャマルは診断を下した。
「原因は過労と栄養失調ですが、魔力の消費がひどいです」
 魔力の消費がひどいという言葉でスバルは原因が分かった。
 きっと病み上がりの身体で聖鎧布を発動したからだ。
 治りきっていない幽霧の身体は聖鎧布の負荷に耐えきれないで倒れたのだろう。
 スバルは申し訳なさを感じた。
「ちょっと点滴を打っておけば大丈夫でしょう。スフィーダさん、すみませんが点滴の準備をして頂けませんか?」
「……分かりました」
 シャマルの頼みにスフィーダは了解し、部屋の奥へと消える。
「さて。魔力の欠乏は点滴では治せないので、私がしないといけませんね」
 幽霧の胸部にクラールヴィントをはめた手を当てるシャマル。そして魔法の呪文が紡ぎ出された。
「静かなる風よ、癒しの恵みを運んで」
 金の円環にはめ込まれた蒼と翠の石が発光する。
 シャマルは短い詠唱を紡ぎ、魔法の名を紡ぐことで魔法を完成させた。
「………静かなる癒し」
 クラールヴィントをはめたシャマルの手を起点にして、幽霧の身体に回復魔法が広がっていく。
 徐々に幽霧の頬に赤みが差してくる。
「これで大丈夫。後は、点滴を打つだけね」
「ありがとうございます!」
 スバルはシャマルに頭を下げた。



「ん……」
 ゆっくりと瞼を開ける幽霧。目の前には見覚えのある天井が広がっていた。
 状況を判断する為に幽霧は身体を起こし、周囲を見回す。そこは幽霧の見覚えが無い部屋であった。
 腕に微かな痛みを感じ、幽霧は自身の腕を見る。腕には針が刺さり、上には空になったボトルが吊られている。
 どうやらベッドに寝かせられながら、点滴を打たれていたらしい。
 しかし幽霧は自身が見知らぬ部屋にいる理由も、点滴を打たれていた理由も分からなかった。
 足を動かそうとした時、幽霧は足に妙な重みを感じた。視線を動かすとスバルが幽霧の足に頭を乗せながら眠っていた。
 もしかしたらスバルがココまで運んでくれたのかもしれない。
 幽霧は小さく笑い、スバルの頭に手を伸ばす。そしてスバルの頭を撫でる。
 スバルの髪は少し癖があったが、綺麗な髪だと幽霧は思った。
 その髪の色はスバルの魔力光と同じ鮮やかな青色だ。
「…んっ……」
 眠っているスバルは身じろぎをする。その顔はかなり緩んでいた。
 スバルの緩んだ顔に幽霧は苦笑する。
「時々、入院するのも良いんじゃないですか?」
 茶化すような声に幽霧は久しぶりに驚く。
 そこにはシャマルが悪戯っぽく楽しそうに笑っていた。
 周囲が騒がしくなってきたからか、スバルは身体を起こす。
 寝ぼけまなこでスバルは周囲を見る。
 悪戯っぽい笑みを浮かべるシャマルを見、無表情な顔をする幽霧を見る。
 徐々にスバルの顔が真っ赤になっていく。
 やっぱりスバルも女性だから、寝顔を見られるのは恥ずかしいのだろう。
 シャマルは悪戯っぽく笑いながら、幽霧の腕に刺さっている点滴針を抜く。
「もう良いですよ」
 幽霧の腕に出来た注射痕にガーゼとテープを貼る。
「ありがとうございます」
 そう言って幽霧がベッドから降りようとする。その時、幽霧の身体が揺らぐ。
「あぶないっ!」
 スバルは慌てて幽霧を抱きとめる。
 幽霧を抱きとめながらスバルは尋ねた。
「大丈夫?」
「……大丈夫です」
 シャマルの目には抱き合っているようにしか見えないらしく、ニヤニヤと笑いながら二人を見ている。
 ニヤニヤと笑うシャマルに気づいた二人は弾かれたかのように離れた。
「まるで恋人同士みたいですね」
「違います。スバルさんが可愛そうですよ」
 楽しそうなシャマルに幽霧は返す。
 シャマルは幽霧の言葉が謙遜や冗談に聞こえたらしく、更に笑みを深める。
「はい。はい。分かりましたから、早く106号室に戻って下さいね」
「それでは失礼します」
 幽霧はシャマルの言葉をあっさりと聞き流す。
 スバルと共に近くのスライドドアから廊下に出た瞬間、幽霧は片膝を突く。
「幽霧!?」
 スバルは慌てて幽霧に駆け寄る。。
「まだ……本調子じゃないようです」
「分かったから……。ほら、私の背中に乗って」
 そういって、スバルは幽霧に背中を差し出す。
 幽霧は申し訳なさを感じながらもスバルの背中に乗る。
「そんじゃあ。いこっか」
 スバルは幽霧を乗せて歩き出す。
「えっと……重くないですか……?」
 心配そうな幽霧の声にスバルは笑みをこぼし、安心させるように答える。
「私は軽いと思うよ。むしろ、どうしたらそうなるか聞きたいかな」
 不思議そうな幽霧を見るスバル。
 どう答えれば良いか分からない幽霧は返答に困る。その時、幽霧のお腹が鳴る。
 恥ずかしそうに顔を赤らめる幽霧にスバルは苦笑する。
「部屋に戻る前にご飯でも食べよっか」
「……はい」
 スバルは106号室から食堂へ行き先を変える。
 まだお昼時だからか、窓から差す日差しは暖かい。
 微かに揺れるスバルの背中は温かく、心地よいからか幽霧は睡魔に誘われていた。
「ねえ。幽霧」
 スバルの声で幽霧は眠気から覚める。
「強くなるって、どういう事なんだろうね」
「……強くなるですか?」
「うん」
 揺れるスバルの背中で幽霧は考える。
「どんな形であれ、人を支えられる事ではないでしょうか?」
「支える?」
 不思議そうなスバルに幽霧は答えた。
「例え、人を倒せるような戦闘力を持っていたとしても……大切な人を一人でも支えることが出来なければ、何をしても意味は無いと思います」
「そっか……」
 幽霧の言葉に少なからず納得したらしく、スバルの口元には微かに笑みが浮かぶ。
 しばらく歩くと、スバルは食堂にたどり着く。
「もう良いですよ。ナカジマ一等陸士」
 スバルの背中から降りる幽霧。
「幽霧。本当に大丈夫?」
 いきなり倒れた事もあり、スバルは心配する。
「大丈夫です」
 そう言って幽霧はスバルを置いて歩き出す。
 スバルは慌てて幽霧を追う。
 幽霧が立ち止まった場所ではアイスが売っていた。
「ナカジマ一等陸士は何にしますか?」
 手作りアイスが入ったケースを眺めながら幽霧は尋ねる。
「……えっ?」
「おごりますよ」
 幽霧の言葉にスバルの顔が明るくなる。
「じゃあ。このにんじんアイスと! ゴーヤアイスと……このメロンアイスも!」
「はいはい……。じゃあ、自分は林檎シャーベットでも」
 スバルの三つを合わせて、幽霧は計四つのアイスを購入した。
「えへへ……」
 頬を緩ませながらスバルは近くの椅子に座る。
「じゃあ……どうぞ」
「いただきま~す♪」
 幽霧は嬉しそうにアイスを食べるスバルを眺めながら、自身も購入した林檎シャーベットを口に運ぶ。
 シャーベットの冷たさと林檎の甘さが口一杯に広がる。
「美味しい~♪」
 目をキラキラさせながらスバルは夢中でアイスを食す。
「そうですね」
 ゆっくりとシャーベットを口に運びながら幽霧も同意する。
「ここにピーマンアイスって売ってないのかな……」
「……何故、ピーマンなのですか?」
 ピーマンのアイスを作るのは難しいだろうと思いながらも幽霧は尋ねる。
 苦笑しながら、スバルは幽霧の問いに答える。
「ヴィヴィオはピーマンが苦手なんだよ。ちなみにキャロが苦手なのは、にんじん」
「……基本的に小さい子は味が強い野菜全般が苦手だと思いますよ。それに……ピーマンのアイスクリームは無茶がありますよ」
「なるほど~。私も想像できないや」
 幽霧の突っ込みにスバルは豪快に笑う。
 その時、一人の女性が二人に声を掛ける。
「相席よろしいかしら?」
「あっ。恭耶さん」
 女性に見覚えがあるらしく、スバルは声を上げた。
「お知り合いですか?」
 幽霧はスバルに尋ねる。
 スバルが答える前に女性が自己紹介をする。
「はじめまして。時空管理局第21特殊編隊所属の恭耶陸曹長です」
「護衛専門で有名な恭耶陸曹長でしたか」
 自己紹介と共に差し出した恭耶の手を握る幽霧。
「有名なのですか?」
 幽霧の手を握りながら恭耶は首をかしげる。
「ええ。隠れファンが多く、バレンタインデーは恭耶陸曹長のチョコを巡って血で血を洗うような事が秘密裏で起きている事でも有名ですが」
 淡々と言う幽霧に恭耶の口元が引きつる。
 しかしその顔はすぐに笑顔に戻った。
 幽霧は恭耶に席を勧めた。
「どうぞ」
「あっ! 失礼します」
 恭耶はすこしおどおどしながら勧められた席に座る。
 ぼんやりと恭耶を眺めながら幽霧は尋ねた。
「何か御用ですか?」
 無表情な顔を含め、幽霧からは全く表情が読めない。しかし放たれる気配は尋常ではない。
 まるで全ての地獄を見通した上で全ての事象を拒絶する様な冷たい気配。
 それが露骨に放たれていると言う事は、幽霧が恭耶を疑っている。
 諜報部は様々の部署から嫌われている。近づいてきたとしても、何か狙いがあるとしか思えない。
 スバルやはやてなどは何の打算が無い笑顔を向けてくるが、それはすごく珍しい事だ。
 恭耶は疑念を抱いている幽霧に対して、単刀直入に言った。
「私に貴女の使う魔法の一つ。聖鎧布について教えて欲しい」
「聖鎧布ですか?」
 幽霧の身体から放たれていた気配が少しだけ柔らかくなる。
「和泉アサギ戦技教導官からちらりと話を聞いたので……教えられる限りで良いのでお願いします」
 真摯な目で恭耶は幽霧を見つめる。
 幽霧はまだ未完成の魔法を他人に教えて良いのか迷っていた。
 未完成の魔法で目の前にいる人が自分の様な状態に陥らないとも限らない。
 迷う幽霧にスバルは言った。
「私も教えて欲しいな」
 流石に自身の様な無茶をしないと思ったのだろう。幽霧は溜め息をつく。
 そして説明書を読み上げるように幽霧は二人に説明を始めた。
「聖鎧布は原始レベルで防御魔法と強化魔法を組み込む事によって、擬似的に自身の身体を魔法とします。要するに、五体の武器化です」
 恭耶は納得しているようだが、スバルには難しいらしく首を傾げている。
 しかし幽霧は説明を続けた。
「更に詳しく説明すると、完全なる強化の為に自己ブーストによる肉体の限界突破と魔力付与による能力強化の両方を行います」
 スバルにとっては詳しい説明の方が分かりやすかったらしく、納得したような顔をしていた。
 しかし幽霧のまだ終わっていなかった。自身を実験体にして行った中で起きた失敗や結果を織り交ぜて注意する。
「ただし、デバイスではなく人体に魔力を通すので、魔力制御が得意ではない人が使用するのは危険です。失敗すると魔力爆発によって、身体の一部が破裂する危険性があります」
 実体験が含まれた幽霧の注意には二人の顔が引きつっていた。
「……こんな感じでよろしいのでしょうか?」
 幽霧の問いに二人は静かに頷いた。
「ありがとうございます。参考になりました」
 そう言って恭耶は席を立った。
「……それは良かったです」
 相変わらず、幽霧の声は単調で感情の起伏が無かった。
 恭耶は幽霧とスバルに背を向け、歩いていってしまった。
「さて。私たちも戻ろうか」
 アイスを食べ終えたスバルは幽霧に言う。
 幽霧は溶けて液体と化した林檎シャーベットを飲み干し、スバルにうなずいた。
 立ち上がった途端、幽霧の身体がよろめく。
「本当に大丈夫?」
「……大丈夫です」
 幽霧はよろよろと歩く。余程の事が無い限り、他人の手を借りようとしないらしい。
 そんな幽霧にスバルは苦笑するが、無理矢理にでも助ける事はしなかった。
 ただ幽霧が途中で倒れないように見守るだけであった。
 106号室に着く頃には幽霧の額から大粒の汗が流れていた。
 アルフィトルテは出て行ったときと変わらず、ベッドの上で眠っている。
「じゃあ。そろそろ行くね。今日は楽しかったよ」
 スバルは106号室の窓を開けて飛び降りる。
 まさか窓から飛び降りるとは思っていなかった幽霧は驚く。
 飛び降りると同時にスバルはマッハキャリバーを起動し、オートでウィングロードを展開。
 魔力で出来た青色の道が空中に生まれる。
 幽霧が窓から乗り出した頃には、バリアジャケットを纏ったスバルがウィングロードに乗って移動していた。
 楽しそうにスバルは手を振り、幽霧も小さく手を振り返した。
 スバルの姿が見えなくなった事を確認すると、幽霧は着ていたパジャマを脱ぐ。
 その白い肌には微かに紅い線が入っていた。よく見るとそれは一種の魔法陣であった。
 幽霧は全く気をとめず、タオルで汗を拭った。
 そして新しい下着とパジャマを着用し、眠りに着いた。






ちょっとしたお知らせです。
私、雪奈・長月は「リリカルなのはサーチエンジン」に登録してきました。
サーチエンジンに登録するのは、初めての経験です。
どうぞこれからも、「交換戯言日誌」をごひいきに。
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雪奈

Author:雪奈
「交換戯言日誌」を見に来て下さってありがとうございます。
終焉の引き金を引くのは貴方。
物語の続きを作るのもまた……
読んでいる貴方なのです。






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