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魔法戦記リリカルなのはギャルゲーテイストPeace of Relations. カリム・グラシアコミュ

今夜は、涼香様の時空管理局ラジオ。ラジオ、本当にお疲れ様です。

もうそろそろ二月ですが、新年明けましておめでとう御座います。
雪奈・長月です。実にお久しぶりです。更新は一ヶ月ぐらい間が空きましたね。
久しぶりな餓えにだらだらと生きたせいで、書く腕が落ちてないか心配です。
スポーツと同じく、趣味も習慣づけしなければ腕が落ちますからね。本当に気をつけないと。

今回は、カリムコミュの最初から新規更新までをまとめて掲載いたします。
涼香様に久しぶりに見ていただくので、意味が分からなくなられたらそれはそれで困りますしねw
(※)後日、新規更新分だけを掲載したものを出します。


それと……
まことに個人的なニュースですが、だらりだらりとしぶとく生きてた私ですが……
去年の年の瀬になんと、まともな就職の口を見つける事が出来ました。
『施設管理職員』という、字面を並べれば『時空管理局員』とかぶりそうな名前のお仕事です。
職場は寂れた田舎の港町……親の出身地という幼少の頃に生まれ育った地に腰を下ろす事となります。
まぁ、人生何があるか、ほんと分かりませんねw



カリム・グラシアコミュ『接待ティータイム』
.
*

 何やらずっと顔を赤らめていたヴィヴィオ嬢と表層で別れ、自分が向かった先はヴァイゼ・バアルの最上階。
 そこは一見さんお断りの会員制カフェになっており、ここで本日の約束相手と待ち合わせしている。
 会員制だからか、内装はどこか貴族たちが集まるサロンを思わせ、至る所で着飾った人たちが歓談していた。
 いくらドレスコードがないとはいえ、女性用の隊服に白衣を羽織った姿の自分は色んな意味で場違いであったかもしれない。
 服装から察するに局の関係者らしき人間も、上層部の重役。三等陸士の自分とは立場が天と地くらい差がある。
 まぁ、身なりも身分もやや貧相とはいえ『招かれてしまった』のだから仕方ない。
 入り口の店員に会員証用のカードを掲げて通り抜け、周囲の視線に見向きもしないで自分は無言のまま奥へと突き進む。
 カフェの奥。臙脂色のカーテンと乳白色のガラスで遮られたその向こう。
 空中庭園を一望できるテラスで、〝彼女〟は優雅にお茶を楽しんでいた。
 〝彼女〟からしてみれば、いつもの格好でいつものようにお茶を楽しんでいるだけであろう。
 しかし余りにも現実離れした美しさを持つ彼女が何をしてもそこに高貴さを感じさせられてしまうのだ。
 普通の人がすれば気にも留めないことにさえ、いちいち目を奪われてしまう。
 これはいくら金を使って身なりを着飾ろうとも得られないもの。言うなれば、一種の〝才能〟だ。
 自分は頭から爪先まで伸ばすよう意識しつつ、物憂げに紅茶を飲む女性の方へ颯爽と歩いていく。
 そしてその向かい側に立ち、片足を軽く一歩分引いて一礼する。
「ごきげんよう、カリム・グラシア様。その見目麗しきその顔を拝謁でき、恐悦の極みに御座います」
「……えぇ、ごきげんよう。『幽幻の白雪ミラージュスノウ』」
 自分の姿を認めた彼女――聖王教会所属の高位騎士であるカリム・グラシア女史は高貴さを漂わせながらも淑女らしい柔らかな笑みで挨拶を返した。
「出来れば、会うたびにその名前で呼ぶのは……ご勘弁頂けないでしょうか?」
「ふふふっ……どうしてかしら?」
 苦虫を潰したような顔をする自分に、グラシア女史は楽しげにくすくすと笑う。
 確かにその笑みは第三者からして見れば脳みそが蕩けるくらい美しいし可愛らしいだろう。
 しかし相手が聖王教会でも権力のある強い女性だとなれば話は別。猫にもてあそばれているかのような気持ちだった。
 無駄と分かりつつも自分はため息を漏らしながら問いに答えた。
「貴女が自分の事をそう呼ぶので、『華天幽月ミラージュスノウ』が仕事のコードネームに」
「流石、松さん。そういうことにはちゃんと食いついてくれますね」
 笑みを崩さずにそう言ってカップを持ち上げるグラシア女史。こちらにも漂って来た芳しいお茶の香りが鼻をくすぐる。
 いや、流石にこっちとしては中等部の学生が考えたような名前はちょっと……。
 独自で作った魔法につけるならともかく、提出用の報告書にその名前を書くのは一種の苦行だ。
 グラシア女史はカップをソーサーに下ろし、ゆっくりとした所作で席を立つ。
 そして両手を前で重ねて立つ自分に歩み寄ると、自分の肩に手を置いて首辺りにゆっくりと顔を寄せてきた。
 鎖骨の辺りに唇が着いてしまうくらい近づけてきた彼女は手繰り寄せた自分の髪の匂いをかぎながら言った。
「ちょっと、埃っぽい。かな……」
「地下書庫におりましたので」
 首筋に顔をうずめて来たグラシア女史に、自分は淡々とした声で返答する。
「……そんな状態で来たのですか?」
「失礼。少々、作業に手間取りましたので」
 声質は戸惑っているように聞こえるのにもかかわらず何故か顔を上げない彼女。
 時が経つにつれ、相手がこちらにへしな垂れかかって来るのを感じた。
 それにしても女史はいつまで服の匂いを嗅いでいるのだろうか。
 会うたび会うたび、こうしてくるのだから実は少し不思議であったりする。
 最初は曲がりなりにも淑女の前に立つからマナーのチェックでもされているのかと思っていたが、今も離れない辺りそうでもなさそうだ。
 こちらとしても最近、彼女のそれが大型の動物にじゃれつかれている感も否めなくなっている
「でも、かすかにお菓子を作ったような甘い匂いもしますね」
 しかしちょっとした重みと共に柔らかいものが身体に押し付けられる感覚には今でもこそばがゆさを覚えてしまう。
 そして気がついたら頬擦りまでされていた。密着しているせいで色んなものが胸板とかに押し付けられて、なんかすごい。
「……こちらへ参る前、部署でお茶受けを少々」
 仕事の内容上、女性に幻想は持っていないと自負はしている。
 だが、グラシア女史のそれはハラオウン執務官とは別の意味で男の理想を体現化しているとも言えよう。
 金色の髪や白い肌が印象的で、敬虔な聖王教会の信徒の模範らしく清楚でおしとやかだ。
 その騎士服の下に隠された柔らかな肢体を貪り、無垢な彼女の純潔をこの手で汚してしまいたいと思わない男はきっといない事だろう。
 女性であってもしかしたら、手折られる花のように己が身をゆだねたいと思うかもしれない。
 聖王教会騎士カリム・グラシア女史とはそのような魅力に溢れた人間だ。
「私には作ってくれないんですか?」
 くすくすと笑う女史の声。まるで自分を転がして遊んでいるかのような響きが混じっていた。
「それは、またの機会とさせていただきましょう」
 しかし実際にもてあそばれているような感じの自分としては、それこそ何とも言えない気持ちになる。
 夢中になって溺れるならともかく、正気のままだと自らが餌になって丸呑みにされる感覚がどうも拭えない。
 そもそも、野郎の匂いをかいで何が楽しいのだろうか。
 もしかすれば、彼女は匂いに対して特別な嗜好や並々ならぬこだわりを持っているのだろうか。
「霞さんもつれないですね」
 女史がそう言ってすぐだっただろうか。自分の首筋に、何やら生暖かくて柔らかいものがつけられる。
「……ッ」
 彼女の唇と気づいた時には既に肌を吸われ、軽い痛みを感じた後であった。
 ご丁寧に舌まで使って吸う隙間を小さくして強く吸ったのだろう。された部分が熱い。
 わずかに身を離した女史は照れる様子もなく、透き通った笑みを浮かべてくる。
「お戯れとはいえ……淫らな真似はお控えになられた方がよろしいかと」
 おそらくキスマークがついたであろう部分を指で触りながら自分は相手をたしなめる。
「ふふっ……」
 やっと少し離れてくれた女史は優しく微笑みながら自分のタイ紐を摘む。
「タイが曲がっていてよ?」
 まるで妹をたしなめる姉のような口調でほどけた両手で丁寧に巻いて結び始める。
 流石に手馴れているのか、その手は丁寧でありながらも早かった。
 臙脂色の長い布紐を綺麗なちょうちょ結びにし、満足げな顔で今度こそ自分から身を引いて距離を取るグラシア女史。
「はい、できましたよ」
「ありがとうございます」
 こちらも片足を引き、そちらに重心をかけることで軽く後ろに下がる。
 左右の手でスカートの端を軽く摘んで軽く頭を下げる。
 この時、全身がしっかりと伸ばして折り目正しくやるとグラシア女史が喜ぶのだ。
 相手いわく、まるで洋画からそのまま抜け出たような美麗さと清楚さがあるらしい。
「では、ちょっと失礼します」
 ゆっくりと顔を上げ、ブーツの爪先で軽く絨毯の床を蹴って魔法陣を展開。
 消臭とかすかについた埃を除去する魔法を発動する。
 ハーブのような爽やかな匂いのする風が吹き、真ん中に立つ自分の髪と服のすそを軽く巻き上げるがすぐに治まる。
 最後にポケットから小さい霧吹きを取り出し、空中に吹き付けてそれをくぐるようにして匂いをつけなおす。
 女史は少しだけ顔を近づけてきて、小さく鼻を動かす。
 そして彼女は太陽のような暖かい笑顔を浮かべて言った。
「やっぱり私は、霞さんがすっきりとした匂いを纏わせている方が好きですね」
 頬に赤みを差してそう言う彼女の顔はまるで、愛の告白をしてきた少女のようで。
「さて、今回はどういったご用件でしょうか?」
 自分は側にあった椅子を引き、スカートがまくれないよう注意しつつ座る。
 向かい合うように席についた彼女は答える。
「貴方と一緒にお茶をしたいと思ったから……ですかね」
 それでは理由になりませんか、とまるで純粋無垢な童女のように笑いながら小さく首を傾げるグラシア女史。
 そしてすっと手を伸ばし、こちらの頬を撫で始めるカリム。
 自分は表情一つ変えず、感情を悟られないように務めながら無気質な声で言った。
「申し訳ありませんが、私は貴女を楽しませられるような話題を持ってはいないのですが」
 あちらとしては赤面するなり、激しく動揺するなりして欲しかったのだろうか。少しだけ頬を膨らませ、既に冷めてしまったであろうお茶を口に運ぶ女史。
 落ち着いたのか、カップをソーサーに下ろし、優しい微笑みを浮かべながら言った。
「では、互いの近況を交えながら……」
 表面上は怒りをおさめたように見えるが、漂う雰囲気はどこか陽炎のように揺らめいている。
 どうやら先ほどから全く動揺しない自分が気に入らないらしい。
「ちょっとした世間話でも」
 何故なら、その笑みは穢れを知らぬ純粋無垢なそれだが――。
 放っているそれは紛れもなく、相手を萎縮させるような威圧感に満ちていたのだから。
「近況報告。ですか……」
「ええ、例えば」
 笑みを崩さずグラシア女史――聖王教会遺産管理局アーネンエルベ第四特務筆頭は言い放つ。
「時空管理局本局が誇る『砲の王』を撃墜せしめたとか」
「ただの撃墜未遂事故ですよ。ホルンブルク特殊工作旅団――『黄昏』の団長殿」
 やはりあの一件の情報はベルカ陣営の方にも伝わっていたらしい。
 ベルカ領には『先史時代や神話時代のベルカ人種が世界を支配していた事の証明』を目的とした研究機関が存在する。
 聖王教会内部特務機関『遺産管理局』。
 それが、聖王教会本部付きの『騎士』であるカリム・グラシア女史が所属する組織の名称である。
 設立目的の通り、そこではベルカ人種に関係する古代知識の歴史と研究が日夜行われている。
 この組織では古代遺失物ロストロギアの研究も行っており、その『遺産』管理や回収も組織の活動となっている。
 彼女がいる第四特務は、その遺産の不正使用による武力行為の鎮圧。ならびにミッド陣営との衝突を未然に防ぐ事を目的とした部署。
 十数年前に勃発した『ベルカ領内紛争』で、ミッド陣営の組織である時空管理局との全面抗争となる事態を食い止めた〝ある部隊〟がその起源となっており――
 その部隊こそが、この世界で語られる御伽草子でたびたび登場する英雄の眠る山岳都市『ホルンブルク』で結成された騎士団の特殊工作旅団で、
「元ですよ? 霞さん」
 その団長というのが、目の前でニコニコと笑っているグラシア女史という訳である。
 まぁ、管理局上層でも密かに《ベルカの女狐》と呼称される彼女が情報を仕入れていない訳などあるまい。
 今のは正確な情報をこちらから引っ張り出す為に、わざと誇張の入った誤情報の方を放り込んで来たと読んで良いだろう。
 そして、自分は彼女に見えないように小型の魔力スクリーンを展開。地図に表示された探査結果を確認する。
「まぁ……良いでしょう」
 追加のお茶を頼もうと手を伸ばそうとするグラシア女史。
 嗚呼、どうやら自分は自ら罠に飛び込んでしまったらしい。ただの杞憂であればどんなに良かったろうに。
「そのベル、鳴らさせて頂いてもよろしいですか?」
 彼女が呼び鈴を掴む直前で、声をかけてそれを制止する。
 自分の声で顔をきょとんとさせ、その手を止めるグラシア女史。
 そして口元を緩ませ、
「霞さんも、意外と……子供っぽいところ、あるんですね」
 再びクスクスと無邪気に笑う彼女。
 普通なら花がほころんだような可愛らしさを感じるかもしれないが、今は白々しさを覚えた。
 まさかこちらがまだ気づいていないだろうと思ったのだろうか。
「それ……合図なのでしょう?」
 だからこちらも淡々と切り込んで行くしかない訳で。
 これはちょっと、大人気ないというかやり過ぎという領域だ。
「……いったい、何を、でしょうか?」
 鈴の柄を小さく摘んで、薄く目を開けて問いかけてくるグラシア女史。
 わざわざ威圧まで掛けて来て、こちらに何も言えないようにしてきているのがよく分かった。
 間違えた事を言えば、ただでは済まない。
 そんな空気が逆に、自分の考えが正解であるという更なる確証を得た。
 ある意味、彼女らしくないと思いながらも自分はそれを口に出した。
「貴女がこの空中庭園に仕込んだ伏兵が出てくる為の」
 その一言で、張り詰めたような空気が少しだけ緩んだ。
 やはり、と心では安堵する自分にグラシア女史は優しく微笑む。
「私が、そんな無粋な真似をするとでも思われますか?」
 自分は瞬時に気を入れなおす。
 探りを入れた程度でそう簡単にその尻尾を出す訳ないか。
「このような場で顔を会わせるのです。それなりの対策はしていらっしゃるのでしょう?」
「逆に、無防備の方が……貴方に対する誠意だと思ったのですが」
 いざという時は霞さんが守って下さるのでしょう? と、どこか甘えてくるような雰囲気を漂わせつつ笑う彼女。
 流石、男を惑わすかのような振る舞いには慣れていらっしゃる。『女狐』と呼ばれるだけはある。
 こちらが要人としての振る舞いで切り込んだら、あっちは男の弱みを利用した懐柔で来るとは。
 一体、これまでにどのくらいの人をたぶらかして来たのやら。
「でも残念ながら、〝お側付き〟の方々がまだまだ役不足のようで御座いますね」
「……?」
 自分の言葉に首を傾げるグラシア女史。
 どうやら、彼女はまだ自身の敗因に気づいていないらしい。
 まぁ、それがなければ――自分の方が厄介な事になっていた可能性大だが。
 先ほどまで女史には見えないよう足元近くに出していた魔法ウィンドウを拡大してテーブルの中央に展開する。
 そこに描かれているのは一枚の地図。そして所々につけられた薄い赤のマーカー。
「熱源探知に対し、咄嗟の反応ができなかったようで」
 流石のこれには息を呑むカリム女史。
 自分は地図の上でかざした手をスライドさせ、
「ですが、それ以上に悲惨なのは……魔力散布型の方に魔力素妨害A.M.で対応した方でしょうか」
 表示を変えると極端に色が濃い部分と不自然な空白が空いた部分がある薄緑色の地図に変わる。
 自分は赤い点の一つを指で押し、聖王教会遺産管理局第四特務筆頭に冷たい声で問いかけた。
「召喚型の魔力爆雷で、答え合わせも必要でしょうか?」
 まぁいなければ良い話ですからね、と自分はわざと限界まで口元を吊り上げて部隊長の笑みを再現する。
 射撃弾の軌道操作は致命的なレベルで苦手だが、やや遠い位置でも決められたポイントに魔法を設置するのは得意だ。
 それは彼女も良く知っている事だから、まさかブラフだと侮ったりもしないだろう。
 自分も〝お側付き〟の方々がいるであろう位置に、魔力を爆発させる爆雷を置いているのは冗談ではない。
 アドリブも入っているとはいえ、発動すればそれなりの威力は出せる事だろう。多分。
 〝脅迫〟とは我ながら余り良い手段とは言えないが、流石に凶悪な〝お遊び〟に付き合わされるのも困るのだ。
「……いつから気づいてましたか?」
 叱責されるのを怖がる子供のように小さく頭を下げるグラシア女史。
 自分が嫌がると判ってるなら、わざわざやらないで欲しいのだが。
「テラスでなら、要人を射撃魔法で遠距離狙撃くらい出来そうだと思いまして」
 『陸』に籍を置くある狙撃手なら、やろうと思えば長距離から狙撃どころか反応弾型の魔法をぶち込んでくるだろう。
 そう考えて、熱源探知と魔力散布によるあぶり出しを図ったら案の定――伏兵がいたという訳だ。
「だから、気づいたのは……あくまで偶然です」
 しかし別の可能性も想定しなかったわけではない。
 彼女相手だと不意打ち食らわされた後で拘束され、どこかに拉致監禁される可能性も少なからずあるからだ。
 ただの被害妄想であれば良いのだが、時々そういう事を本気でやってきそうな雰囲気を漂わせるから困る。
「この体たらく、張っているのは第四特務の方々ではないですよね」
 流石に私用で投入してきたら、公私混合にもほどがあるが。
「古巣の新参です」
 しょんぼりしながら自身の問いに答えるグラシア女史。
 ということはホルンブルク騎士団の新入り、あるいは訓練生ということだろうか。
「……〝遠足〟の途中で道草を食うのもなんだと思うのですが」
 騎士団の重役は彼女の教導を期待して任せたはずなのに、まさかこういうことに使われるとは思わなかったに違いない。
「いえ? 問題はないですよ」
 顔を上げてニコリと笑うグラシア女史。
 嫌な予感がした。これは間違いなく面倒ごとを口に出す雰囲気だった。
「だって、貴方を仮想敵と見定めさせるのが目的でしたから」
 うわぁ……予想通り、厄介ごとを投下してきたよ。
「それは一体、どういった意味で?」
 理由は流れや状況で推測は出来たが、それでも確認の為にその真意のほどを問わねばならなかった。
「真田 霞さん」
 笑みを絶やさない彼女が真剣な顔つきで名前を呼んできた。
 自分も雰囲気に押されて思わず身構えてしまう。
「聖王教会特務機関。遺産管理局『アーネンエルベ』は、貴方の実力と実績を評価しております」
 キッとこちらを睨むような視線で、グラシア女史は丁寧な言葉で切り込んできた。
「だからこそ、お聞かせ下さい。貴方が、管理局の『砲の王』高町なのはを追い詰めたのは事実ですか?」
「判断材料もなしに誇張された情報を鵜呑みにするほど、遺産管理局の上層は愚かなのですか?」
 審問に対し質問で返すのはやや行儀が悪いというのは百も承知。しかしそういう判断は少々、アレではないだろうか。
 というか、自分を買いかぶり過ぎのような気がする。
「逆に問いますが……自分が、かの『星』を撃ち落とせるとでも?」
「ホルンブルク騎士団はこれまでに二度、貴方に辛酸を舐めさせられています」
 ぶつけた問いに彼女は口元に笑みを添えて返してきた。
「それでは、理由になりませんか?」
 まるでそれで十分だと言わんがばかりの表情だった。
 二件とも自分が直接的な原因ではないが、それを持ち出されると下手に反論できなくなってしまう。
 しかしやっていない事をやったとホラを吹くほど、傲慢ではない。ハッタリは時々、かけるが。
「……そちらの上層は高町女史が負傷したタイミングを見計らって、時空管理局本部への侵攻でもお考えで?」
 管理局の『エース』にして、『砲の王』である高町なのは一尉はミッドチルダ陣営の象徴的存在の一人。
 内部や裏の情勢が明らかにヘドロのように真っ黒な管理局がまだ一般から見放されていないのは、高町女史などの見目麗しい女性が現場の第一線で活躍しているからだろう。
 暴力で支配している面も少なからずあるが、それが蔓延しないようにイメージ戦略を日夜組んでいるであろう広報部には本当に頭が下がる。
 そんな彼女に何か起きれば、士気の低下や統率の乱れなど周囲にそれなりに影響が出るのは想像に難くない。
 現に、高町一尉を崇拝している集団の過激派が自分を撃墜しようと本局を何箇所も戦場に変えている。やられる側からしたら、溜まったものではないが。
「もし、〝そういうこと〟が実際に発生した直後に攻め込まれたら――ただでは済まないでしょうね」
 聖王教会……いや、この場合は『ベルカ陣営』と称するべきか。
 そこに所属する人間の中でベルカ領の拡大、ひいてはベルカの栄光を取り戻す事を目論む者も決して少なくない。
 遺産管理局アーネンエルベの活動目標ですらアレなのだ。
 最終的には〝べルカの優位性を証明する為〟というお題目で、ミッドチルダの陣営と戦争をかますのではないだろうか。
 名誉と栄光を取り戻す為の闘争とは、実に感動的だ。反吐が出る。
 そんな彼らが、高町女史の負傷による隙を見逃すだろうか。約十年前もあのテロ事件にかこつけて、『ベルカ領内部紛争』を引き起こしたのだ。
 きっと、容赦なく突っ込んでくることだろう。
 まぁ、今回のはある意味でガセだから本気でやったら笑いものだが。
「恥を晒すようでなんですが、高町ヴィヴィオさん……聖王クローン体の関係でちょっとゴタゴタが」
 しかしグラシア女史の口から出たのは、
「今の高町なのはさんの戦闘力。いえ、警備能力が遺産管理局の上層で疑問視されています」
 まさかそれは在り得ないだろうと切り捨てた問題であった。ガセネタでそれをするのは……余りにも阿呆過ぎる。
 しかしカリム女史がわざわざ名前ではなく『聖王クローン体』と言い直し、『養育』や『扶養』でなく『警備』と称した事でやっと腑に落ちた。
「……アーネンエルベはミッドから彼女を〝奪還〟する為には手段を選ばないという事ですか」
 瞬時に出た答えに対し、第四特務筆頭は何も言わなかった。ただ笑みを浮かべるだけ。
 彼女も立場が立場だ。ここで言葉にすれば、ベルカが時空管理局に反逆の意思を示すと同じ。
 自分も〝時空管理局の走狗〟である事には変わらない。ベルカの反意を臭わされたなら、こちらも対処せねばならない。
 第四特務という役職自体、そうならないよう抑え込むのが仕事だ。だからこの場では無言と笑みで紛らわすので正解。
 流石、武と智を持ってベルカ領の紛争を終結させた部隊の元団長であるだけある。
「それにしても……こういうネタで攻めてくるとは意外でした」
 まぁ、よくよく考えれば高町女史撃墜未遂事故はいちゃもんをつけるには丁度良いネタだろう。本当にそういう使い方をしてくるとは思わなかったが。
 でも、こんな手段に出る気持ちも分からなくは無い。
 色んな研究者や権力者バカが聖遺物ちょろまかしてクローン製造しているが、それでも〝まともな〟成功例は稀少。
 遺産管理局から見れば、彼女は『生きた古代文化遺産』のようなものだ。出来れば手元に置いて、〝色々〟とやりたかったことだろう。
 現に高町女史がヴィヴィオ嬢を引き取ろうとした時も一悶着あったのは言うまでもない。
 いくら聖王のクローン体を最初に保護したのが〝あの〟機動六課で、その部隊の幹部格である高町女史が養子縁組を希望した。
 たったそれだけで『聖王』の血を受け継ぐヴィヴィオ嬢を、管理局一と謳われる魔導師の高町なのは一等空尉が養母とはいえ――ごく普通の一般家庭で育てられる訳などない。
「そちらの上は、松永隊長にやり込められたのが相当……ご立腹のようで」
「目障りな存在に虚仮にされた上に、彼女をみすみす手放すような結果となり、今でもはらわたが煮えくり返るようでしょうね」
 自分の言葉に、グラシア女史は口に手を当てておかしげにくすくすと笑う。
 その表情はまるで面白い演劇を見たかのようで。
 何故なら最初の時点では、かの高町一等空尉が幼き聖王の末裔を引き取る為の条件は相当面倒なものだったのだから。
 ヴィヴィオ嬢が寄宿舎のあるベルカ系列の学校入学や高町女史がベルカ領へ移住するなどはまだ序の口。
 果てにはベルカ陣営への移籍という形での引き抜きを行い、時空管理局の力を削ぎに来たのである。
 ベルカの生きた至宝である聖王を手中に収めたいミッド陣営。
 聖王のクローンを確保し、芋づる式で管理局の『エース』も取り込もうと目論む聖王教会および遺産管理局アーネンエルベの上層部。
「自分が言うのもなんですが、〝あの人〟が出張るまでゴタゴタを長引かせたのが敗因かと」
「……ですよね。下手に欲を見せず、彼女の身柄譲渡の要求を突っぱねておけば……まだ良かったのでしょうね」
 苦笑いするグラシア女史。やはり〝あの件〟に関しては、彼女なりに思う事があるらしい。
 双方が己の利権の為に決して譲らず、交渉はいたずらに数を重ねるばかりで平行線の一途。
 高町親子の後見人をしているハラオウン女史は忙しいにもかかわらずその場に何度も召喚されたらしい。
 その上、参加していた交渉役は上層部の息がかかった人間。暗闘上等な双方の走狗に板挟みにされたのだから同情を禁じえない。
 十九という身空でわずらわしい権力闘争に巻き込まれるというのは、きっと相当のストレスであった事だろう。
 ヴィヴィオ嬢の身柄取引に関する会議には、穏健派としてグラシア女史も参加していたらしいが――この人の事だ。
 気丈に振舞いながらも内心おろおろする執務官殿の様を、演劇の観客よろしく楽しく眺めていた事だろう。間違いなく。
 何故ならベルカとミッドが大規模な武力抗争に発展しない範囲内での安全マージンが取れていれば、自分が動く必要はないのだから。
「ほんと、趣味の良い雌犬ですね……貴女も」
 それを考えるとほんの小声とはいえ、思わず毒づいてしまう。
「何か言いましたか?」
 唇の小さな動きを読み取ったのか、自分に微笑みかけながら訊ねてくるグラシア女史。
 軽く圧力をかけてきたが、それでも何度も口にするのは流石にあれだ。
「いいえ」
 分かっていてわざと相手もしらばっくれるならば、こちらもしらを切り通すとしよう。
 もし彼女が重度の被虐趣味持ちのリスクジャンキーだったとしたら、ただのご褒美にしかないからである。
 しかし破滅願望があるほど極まっている訳ではない。
 何故ならハラオウン女史が枕営業ハニートラップを強要された時には流石に、その腰を上げて動いたからだ。
 ただし〝助け舟を出す〟というより、〝自身の陣営もろとも爆破した〟という方が正しいが。
「でも、もう少し早く出来ませんでしたか?」
 彼女は〝ある方法〟を用いて、執務官殿の窮地をひっくり返し、ヴィヴィオ嬢の身柄引き渡しの案件にも決着をつけさせた。
「松さんは〝こちら側〟からしてみれば、目の上のたんこぶみたいなものですから」
 そう、一切のゴタゴタを快刀乱麻に解決してしまう〝ご都合主義の化け物デウスエクスマキナ〟――
 我らが部隊長、松永松馬を調停役として会議に放り込む事で。
 その結果、ミッド側にもある程度の譲歩や妥協もさせたにしろ、穏当にヴィヴィオ嬢は高町一尉の娘となったのである。
「貴女の気持ちも分からない訳ではないですが……」
 秘書官と名乗って、あの会議に赴いたが色々と酷かった。
 何とミッドとベルカの双方が条件の譲歩を行わなければヴィヴィオ嬢の身柄を諜報部〝が〟確保すると宣言したのである。
 諜報部も一応は管理局の部署。ミッド陣営ではあるのは確かだが、それでも下手な人間では手出し出来ないようになっている。
 だからその発言は、ベルカとミッドが取り合っている玩具ヴィヴィオを取り上げるということ。
 問題の種そのものがなくなれば、争う必要もない。
 解決方法として間違ってはいないが、まさかそういう手段に出るとは思っても見なかった。
 武力による恐喝外交が十八番と揶揄される時空管理局であるが、まさかあの場で仲裁の体を取って堂々と脅迫紛いな交渉を展開するとは。
 あの場で言うのだから、間違いなく本気であった事だろう。ハッタリをかます時もあるが、あの時浮かべていた満面のどぎつい笑みはまさしく有言実行のそれだった。
 ベルカ領との外交問題発生どころか、時空管理局内部で刺客を差し向けられて粛清されかねない蛮行である。
 それでも自分が今も五体満足でいられるのは、ひとえに隊長が色んな陣営に売った貸しや握っている弱みのおかげだろう。
「此方としては、生きた心地がしなかったのですが」
 もし、彼が一目置かれる存在でなければ――厄介事に巻き込まれるのは間違いなかっただろう。
 だからと言って、周囲に迷惑を掛ける上司の悪い手癖に余り感謝はしたくないが。
「でもあそこまでギリギリでなければ、旨味もあったのでは?」
 入学先はベルカ領で、学校にいる間は監視という名の警護を聖王教会が担当。
 高町女史は時空管理局教導隊所属のままで、住んでいる所はミッドチルダの閑静な住宅街。
 現状ではややベルカが有利だが、将来はヴィヴィオ嬢の選択に委ねられている点を考えればミッドにも悪い話ではない。痛み分けと呼べなくもない条件だろう。
 しかし、自分には彼女が一触即発の状態まで粘った理由がよく分からなかった。
 プライドの問題とか、状況を面白くする為とか、いくつかは思い浮かんでも何だかしっくりこないのだ。
「そうでもないですよ?」
 自分が言いたい事を察したのだろう。ニコリと笑うグラシア女史。
 確かに涼しげで無邪気な笑顔が可愛らしいが、漂わせる空気はどこか薄ら寒いものがあった。
「貶めるつもりはありませんが、〝あの方々〟は自分たちが今は亡きベルカの王たちの遺志を継ぐ者であると信じて疑わないですから」
 出てきたのは嘲笑するような響き混じりの言葉。
 吐き捨てる、とまでは行かないもののどこか嫌悪感を感じているような声音だった。
 それが自分には、ひどく印象的だった。
 高町なのは女史が時空管理局の歩く看板なら、聖王教会の良いイメージの象徴はカリム・グラシア女史がその一人として挙げられる事だろう。
 聖王教会におけるスポークスマンの一人にして、見目も麗しい美人修道女騎士。
 報道関係の筋によると、ミッド陣営でも彼女に憧れて入信する人間が後を絶たないらしい。
 実際の年齢を悟らせないくらいの若々しさに、聖王信仰がアンチエイジングに効果があるに違いないと踏んでいるのだろうか。あと豊胸効果とか。
 無論、美人シスターな彼女にゾッコンラヴな野郎共がまっしぐらなのは言うまでもない。
 陽だまりのように温かな慈愛を持ち、月のような涼やかな美しさを持つ女性。
 それが、自分だけでなく彼女を知る誰もが抱く印象。
 まさかそんな側面をグラシア女史が持っているなどと、誰が思うだろうか。
 だから思わず自分もその表情に引き込まれてしまう。
「余計な玩具を与えるのも、いささか面白くないので」
 そして【ベルカの聖女】はただ笑う。
 口元をゆっくりと引き上げ、まるで悪魔のように。
 ゾッとするくらい綺麗で恐ろしい笑みを自分に向けてきた。

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「交換戯言日誌」を見に来て下さってありがとうございます。
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