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『クラナガン自然公園攻防戦』 ⑱

久し振りに書くので、最後まで行きませんでした。ごめんなさいっ!

『クラナガン自然公園攻防戦』⑱

「冬秋さんっ!」
 天使の攻撃を喰らって吹っ飛んできた冬秋を後ろから抱きしめるようにして身体全体で受け止め、『ブリッツキャリバー』を稼動させて踏み止まるギンガ。勢いを殺す際に踏ん張った為に抉れた地面の土が大きく宙に舞い上げられる。彼女の身体が止まった時には既に十メートル近く退けさせられ、地面には深い傷跡が出来上がっていた。
「すまんなぁ。ねえちゃん」
 攻撃を受けた胸が痛むのか、顔を歪めて苦笑いをしながらギンガに礼を言う冬秋。よほど強烈な一撃を喰らったのか、鳩尾の辺りが真っ赤に腫れ上がっている。
 それでもまだ戦う意思を失っていないのか、ギンガに抱きつかれた状態のまま前に出ようとする彼。砲弾の如き勢いで飛んできた冬秋をキャッチした彼女に彼を抱き留める力など既に残っておらず、するりと振りほどいてしまう。
 自らの原動力とも言える黒い靄を敵から吸い上げた天使は意識を失わず、今もなお向かってくる半裸の少年に向かって物理加速魔法を上乗せして更に勢いづけた黒い球体を散弾銃のように飛ばす。
 ギンガと冬秋が身体に取り込んでいた黒い靄と共にそれぞれの持つ資質すら吸い上げてほぼ完全に近い天使の放った黒い魔弾は下手な砲撃魔法よりも威力があり、その内部には広域空間攻撃魔法デアボリックエミッションと同等のものが孕んでいた。
 巧妙に皮一枚で回避してもその余波で確実にその部分を抉り取り、防御魔法などを駆使して受け止めたとしても内部にある効果が相手を襲う。回避するのが一番の手ではあるが、そうした場合は彼の背後にいる者たちを襲うのは間違いない。
 しかし先ほどの異常な力を持たずとも冬秋の常識外れ具合はいまだに健在であった。
 散弾銃よろしく飛んでくる黒球が爆発しないように〈月城流極技『事象流行』〉でやんわりと掴みながらも片手で一つずつ手早く持っては投げ返し、なんと冬秋は自らに向かってくるそれらを誘爆させて行くのだ。
 衝撃を殺した魔弾を持ちながら受け流す時もしっかりと軌道操作をしているのか、背後にいるギンガや野次馬と化したライヴの観客たちに被害が及ばないようにしている。それでも余波までは殺せなかったらしく受け止めた手の平や受け流した時に滑らせた腕が火傷を負ったかのように少し赤くなっていた。
 炸裂した魔力衝撃も対策して密かに〈事象流行〉以外の月城流の技も使用しているのか、発動した魔力攻撃が周囲に広まる前にその魔力も身体の中に飲み込んでいく。さっきのような何かが強引にゆがめられ、何か背中がぞっとするようなものはないが、それでも右腕がたんぱく質とかではない黒い何かに姿を変えている。
 魔力弾を豪雨の如く射出し、硬化した黒い靄を纏った衝撃波を飛ばす天使へと突き進みながら漆黒の拳を固く握る冬秋。その拳の先に黒い球体が形成され、魔弾の爆発によって周囲にまき散らかされた魔力を吸い込んでいく。
 そしてその場で足元の地面を踏み鳴らすように踏み込みつつ回転し、下から突き上げるようにして斜めから飛んでくる天使の魔弾に黒い球体の浮かぶ右拳を叩き付ける。黒球に凝縮されて封じ込められていた魔力が天使の撃った魔力弾の爆発すら喰らい、漆黒の太い一条となって空を翔る。
 天使は防御魔法を展開し、自らの身体を貫こうとする光線を防ごうとする。しかし数十発分の魔力を一発にまとめられたものを防ぐのは大変なのか、今も多重に展開し続ける事で厚さと枚数を増やしているはずの魔力壁が食い破られていく。
 地上の冬秋はその場に立ち止まり、黒いものを開いた右手に集中させて小さな球体を構築する。しかしその中に宿っているものはさっきの比でなく、凝縮した上に更に圧縮させてあるこの球体をさっきのように放てば威力は洒落にならないだろう。
「月城流極技『狂嵐暴火キョウランボウカ』」
 冬秋はそれを胸の前に持って行き、その球体を押し潰すようにして両手を打ち合わせた。まるで何かが爆発したような音と共に冬秋を中心にして魔力を乗せた衝撃波が全方位に打ち出される。彼の足元の地面は半球体状に抉られ、広域に広がった衝撃波を喰らった天使の黒い魔弾はその魔力や衝撃に反応して空中で一斉に爆発する。
 〈月城流極技『狂嵐暴火』〉の強制干渉による爆発で巻き起こされた粉塵を切り裂いて、紫色の光を放つ魔法の道が天使の方へと伸びる。
「はあぁぁぁぁぁぁっ!」
 咆哮を上げながら走るギンガが装着している『リボルバーナックル』は漆黒に染まり、左手を包む形態から左肩までを包む西洋鎧の様な形状に変わっていた。突き出した右手には黒紫色の魔力球があり、周囲の魔力や黒い靄を吸い上げていっている。僅かに肘を引いた左拳の先にも発動用らしき小型の魔力球が展開され、射程範囲に入れると同時に発動出来る段階にまで達していた。
「ディバイン……」
 黒い光条を凌いだ所にギンガは左の球体を右手に展開した巨大な魔力球に叩き付けるようにして天使に向かって容赦なく零距離から〈ディバインバスター〉を叩き込む。
「バスタアァァァッ!」
 ギンガの直射式砲撃魔法は脆くなった天使の防壁を難なく破り、紫色の閃光が彼女の胸部を貫通する。しかしそれは天使の身体が靄と化しているせいであって、相手にとって痛手になる程の効果が上がっていると言うわけではない。
 口の端を上げて嫌らしげな笑みを浮かべる天使。先ほどの攻撃で空いた胸部には本来納まっているはずの心臓代わりにリンカーコアがあり、それが露出しているにも関わらず彼女はそれを気にする様子は無い。それどころか、その状態のまま天使は攻撃が効かなかった事に驚いているギンガを迎撃しようと魔力を前方に集束し始めた。
 砲撃魔法を撃とうとしている事にギンガが気づいた頃にはいつでも打てる状態にまで移行していた。ギンガの顔は引きつり、天使の笑みは深くなる。
 咄嗟にギンガの張った防御魔法はまるで濡れた髪を指で貫くように難なく破られてしまう。しかし回避行動を取っていたおかげで胸部を狙った天使の砲撃魔法を避ける事が出来ていた。それでも右の二の腕に虹色の光線を喰らい、焼けるような痛みがギンガの脳に伝達される。
 追撃する為か腰を捻り、肩まで入れて右肩を過ぎる辺りまで左手を持っていく天使。大量の魔力を集中させているのか、その手が虹色の炎のようなものに包まれている。
 先程、ギンガ自身が誘拐犯に使った〈居抜〉を使う気だと判断した彼女は後ろに大きく跳ぶと同時に自身が展開した〈ウィングロード〉に左拳を叩きつける事で退避用の道を新たに作り上げる。〈ブリッツキャリバー〉も使用者の意思を汲んでか、ホイールを逆回転させて後ろに後退。
 天使は炎のように揺れる虹色のそれを纏った左手を大きく斜めに振った。降り抜かれると同時に纏っていたそれが極薄で長い一本の刃へと姿を変え、彼女の作り上げた道を切り刻んで進路も退路も塞いでしまう。何も出来ずにただ落下するしかない状況に貶められたにもかかわらずギンガは冷静で、まるで飛び石の上を跳んでいるかのように落下する〈ウィングローソ〉の破片を蹴って降りてくる。
 そして何故かこの状況を静観している冬秋の隣に立ったギンガは彼に言った。
「さっきの技、教えて下さい。そしたら……」
 彼女の頭の中にあったのは冬秋がさっき使っていた〈月城流絶技『心想鋼錬・燈華神鬼』〉であった。あの常識外れにも程があるあの技を自分と冬秋が発動した状態で天使に攻撃を仕掛けたら、叩きかける事が出来るのではないかとギンガは考えたからだ。
 〈月城流極技『事象流行』〉のコツを聞いただけでそれ以上の事が出来たのだ。冬秋の使ったこの技も失敗せずに発動出来ると思い、さっき比べてどこか気難しそうな顔をしている彼に提案する。
 しかし彼の口から出たのは彼女にとって、余りにも残酷な一言であった。
「今のお姉ちゃんには無理や」
 その一言によって、ギンガは足元が崩れ落ちるかのような感覚を感じた。それでも彼女は無理の一言で容赦なくその提案を切り捨てる冬秋に向かって苛立つかのような口調で吼えた。
「何でですか!」
「この技……月城流絶技『心想鋼錬・燈華神鬼』はなぁ……プラシーボ効果。要するに、思い込みによって成り立つ技なんや」
 こんな状況にもかかわらずあくまで冷静な冬秋の口から出たその言葉にギンガは絶句すると同時に、身体中が振るえ上がってしまいそうなくらい彼に対して戦慄していた。
 もしもその言葉が本当なら、魔導師である自分たちは魔導師でない一般人の冬秋によって良いように翻弄されていたという事になる。ならば、自分たち魔導師よりも思い込みで何とかしてしまう冬秋の方がよっぽど化け物じみているんじゃないだろうか。
 人間の可能性とそれを信じることによる限界超越を見事に体現する冬秋という存在に、ギンガは恐怖と尊敬の念を感じずには居られなかった。
 ジャージのズボンからやけに大きいカートリッジを右手の指の間に挟んで取り出し、後頭部を左手で掻きながら空に浮かぶ天使を見ている冬秋は嫌そうな声で呟く。 
「あんま、やりとうなかったけどなぁ……やるしかないわ」
「一体……何をする気なんですか?」
 彼の持っているのは二センチ口径くらいあるものだ。カートリッジシステムを搭載しているデバイスを持つギンガなら分かるが、あれはマガジン式やリボルバー式が主流である今では使い手が中々いないだろうと思われる単発式専用のものだ。
 先程までの戦い方を見るにデバイスを持っていない事が分かっている冬秋には、そのカートリッジは不必要なものである。
「リンカーコアにカートリッジぶち込んだ上に衝撃を叩きつける」
 冬秋の返したその一言で、ギンガは彼が何をしようとしているのかを悟ると同時に背筋が凍りついた。
 もし彼がギンガの予想した通りにカートリッジをその方法を使ってしまったら、間違いなく彼女は――

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