Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

-件のコメント

[C208] ギンガ遂に撃破か!?

いやー、何というか凶暴そうだけども一度視てみたい描写ですねぇ。
特にギンガのスタイルの部分が本当に視てみたい感じです。
動物というか四足歩行みたいなタイプになる、でもそうなれば動きの切れとかはかなり跳ね上がりそうな気がしますね。
次の話も期待しています。
では。
  • 2010-05-16
  • 投稿者 :
  • URL
  • 編集

[C209] ふむふむ

ガツンと一発で買い攻撃で粉砕しましたね。
彼女の本気と言うものがどれほどやばいのかというのを感じることが出来たと思います。
次はギンガ編が終わったから、冬秋さん達の話に移るのかな?
そちらも楽しみです。
がんばってください、応援しています。
では
  • 2010-05-30
  • 投稿者 :
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

新規
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

-件のトラックバック

トラックバックURL
http://clowncraown.blog90.fc2.com/tb.php/150-660014dc
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

『クラナガン自然公園攻防戦』⑯

『交換戯言日誌』と『戯言劇団』はARPの提供でお送りしています。

管理人一同は―――
 『魔法少女ろりこっとん プロジェクト』。通称『ろりこっとんプロ』
 『砲撃文庫』・『創刊砲撃マ王』
 『SSをノベルゲー化プロジェクト』
 それらの三つを力強くを応援しています。

過去の部分が読みたい方は『戯言工房』へ。
ある種のカオス空間なのでご注意下さい

他に何かありましたら、『幻想寓話』へ。
匿名でも構いません。ご自由にお使い下さい。

 おはようございます。雪奈・長月です。
 今日は時空管理局ラジオ二十四時間SPの後半部です。
 私はSS系なので、捕捉される頃にはもう朝でしょうね。
 そろそろ戦闘も終局で、個人的にも来週には冬秋たちの戦闘も終わらせ、
 フェイトとのあったかいイベントへ行きたいものです。

 そういえば、今月のvividではアインハルトさんが魔力弾の打ち返しと言う技をしてましたね。
 私のSSでも〈月城流拳術極技『事象流行じりょうるこう』〉という技があるので色々と不安です。
 その技が登場したのはニ・三ヶ月前なのですが、vividでもそう言う技が出てしまったので……
 心無い方にパクリと言われないか心配であります。
 魔力弾の打ち返しなど、誰でも思いつくことですが……それでもパクリの一言で済まされるのは悲しい事です。
 作るに至るまででも、それなりに色々とありましたからね。公式でも出てるのは嬉しい事ですがやはり心配です。

 まぁ、嘆いていても仕方ないですね☆
 さぁ、今回の更新を始めましょう♪





『クラナガン自然公園攻防戦』⑯

 身体の中に宿している黒い靄がその感情を感じ取ってか、宣言と共にギンガの首の周りから噴き出してマフラーのような形状を取る。首の巻きついたそれを引き上げて口元を覆い隠す。
 そして身体を低くして両手の指を地面につけ、指先から一足長半の位置に足を置いていた。蹴り出す前足側の膝を立て、後ろ足側の膝は下につけていた。それは先ほどから見せている〈低空貫破砲撃〉に似ていたが、その構えを取った瞬間に起きた変化がさっきとは違っていた。
 身体中が首に巻きついている黒い布が巻き付いたかと思うときゅっと締まり、腕や足に装着しているデバイスに張り付いたかと思うと形状はおろか質量すらも失ったかのようになくなってシャープなスタイルへと変貌を遂げる。
 今まで首に巻きついた状態でゆらゆらと揺れていた黒布が突如、鋭い音を立てながら硬くなって一枚の長い板へと姿を変える。僅かに前のめりになりながら四つん這いになった彼女の延髄から伸びる雄々しいそれはまるでこのある意味悲惨である状況を打破し、新たなる運命を切り開く為に生まれた大剣のようであった。
 首から下がまるで雌豹のような真っ黒でしなやかな獣の姿を取ったギンガは強張った身体をほぐすように身体を震わせ、目の前にいる誘拐犯を睨みつける。翠玉を思わせる綺麗に住んだ緑色の目には野生としての鋭さと燃え上がる情熱に、人間としての強い意志と澄み切った心が調和して宿っていた。
 誘拐犯も彼女を迎撃する為にその姿を変えていた。黒い装甲の所々に生えたねじくれた棘に、関節部分から漏れ出す黒い靄。凶悪な形状をした西洋甲冑を纏ったそれはまさしく悪魔の騎士とも呼べる風貌であった。突き上げた両腕に黒い靄が集まっていき、装飾は細かいが衣装はとても禍々しい一振りの大剣を作り上げる。
 彼女が四肢で地面を蹴りつけて飛び出す。その事を誘拐犯が認識して大剣を振り下ろした頃には風と共に冷たい物が通り過ぎていて、ギンガの起こした行動は既に終わっていた。いつの間にか彼女は彼の背後に立っていて、後は黒い獣が何を行ったのかを悪魔の騎士の身体が表すだけであった。
 まず先に誘拐犯の持っていた大剣に線が入り、その身体にも線が入ったかと思うと真っ二つに切れてしまった。それによって胴体から下がまるで砂のように崩れて周囲に散らばっていってしまう。彼の残った身体が地面に落ちる前にギンガは再び跳躍し、今度は黒い風が誘拐犯の周りを吹き荒れる。
 ギンガが姿を現した時には誘拐犯だった物は既に粉微塵になっており、まだ何なのか形が分かるのは片目とその周りらしき塊のみであった。しかし靄が充満している空間だからか、目らしき塊に黒い者が集まったと思ったらいつの間にか彼は元の姿を取り戻していた。
 瞬時に再生する相手に苛立ちながらもギンガは再び飛び出す構えを取る。それに合わせて首から生えていた刃の数が一枚から一気に七枚まで増えた。七枚の鋭く長いそれはまるでギンガの殺意の現れであるかのように思えてしまう。
「こ……コいィ、オレノオンナァッ!!」
 すると何を血迷ったのだろうか、両手を広げて飛び込んでくる彼女を受け止める体勢を取って構える誘拐犯。さっきからずっと止められずに切り刻まれっぱなしなのに何を考えているのだろうか。
 こっちはこっちで彼のその言動と『俺の女』と言うワードにカチンときたのだろう。ギンガに生えている刃が小刻みに震え、時間が経つごとにその長さと凶悪度が増して来ている。
「誰が…」
 彼を戦闘不能にしようと飛び込もうとするギンガと、どうにかそれを受け止めようとする誘拐犯の距離が詰まって行く。いつの間にかギンガも四速歩行の形態から普通に脚で走り、僅かに細めの『リボルバーナックル』を装着したような形をしている左腕には刃が何本も禍々しく生えていた。
 まるで彼女の怒りに連動しているかのように、長い刃がまるで剣山のごとく生えた『リボルバーナックル』の肘から先が回転し始め、いつの間にか姿を取り戻していた『ブリッツキャリバー』のローラー回転速度が限界を突破。
「コイッ!! ヨメエエエエエエエエエッ!!」
 受け止めようと両腕を広げた彼の口から出た言動が彼女が抱いていた怒りの臨界点を突破させ、それに呼応するように振り上げた左腕が回りに漂う黒い靄を吸い込んで肥大化する。
「誰が嫁ですかあぁぁぁぁぁっっ!!!! ツェアシュテールングスシュラークうぅぅぅっ!」
 高層ビルを思わせる太さと長さまで巨大化し、そこに小規模な竜巻を纏いながら無数の刃がついたまま回転している左腕を誘拐犯に向かって容赦なく叩きつける。
 凶悪な一撃を叩き付けられた誘拐犯は回っている『リボルバーナックル』についた刃によってミキサーに入れられた果物のように粉々に切り刻まれ、彼女の腕が地面を抉り始めた頃には既に彼の身体自体が黒い霧状になっているようなものであった。
 クラナガン自然公園の地面に悲惨な傷跡を刻み込んだギンガは瞬時に巨大な腕の構築を解き、それを身体の中に戻さないまま『ブリッツキャリバー』のローラーを回転させて走り出す。その先は黒い靄を集束させているその一点。
 黒い集まりに彼女がたどり着く前に誘拐犯は身体の修復を完了させる。そして口と目を三日月に歪ませていやらしげな笑みに変え、殴りかかってきたギンガの腕を掴む。
 しかしギンガは腕を掴まれようとも勢い任せで強引に拳を硬く握った右腕を進め、彼の肋骨に触れる寸前で拳を捻ってそのまま抉る。右の一番上の肋骨を砕かれた激痛で誘拐犯の意識が吹っ飛びかけるが、彼の撃墜のみを考えているギンガは更なる追撃を容赦なく組み込んでいた。
 彼女の腕を掴んでいるのに強引に推し進められ、身体が前のめりになった彼の後頭部にギンガの後ろ回し蹴りが入る。そしてその勢いのまま地面に倒れた誘拐犯の頭をギンガは容赦なく踏み潰した。
 頭を潰された彼の身体は形を失い、黒い靄へとなって彼女に吸い込まれる。その後に〈ツェアシュテールングスシュラーク〉の際に構築として使っていた物もギンガの中に吸い込まれていった。
 しかし彼女の表情は全く変わらない。何故ならギンガは分かっているからだ。
 誘拐犯との戦闘がまだ終わってすらいない事を。
 ギンガはゆっくりと漆黒の空を見上げる。さっきまで空を覆っていた黒い靄が徐々に薄くなっていて、おぼろげでありながらも微かに月明かりが見えていた。彼女は視線を上斜めへと持っていく。
 そこには黒い物がまるで竜巻か何かのように凄い速度で渦を巻いていて、空にあった靄を飲み込んでいっていた。周囲にあった瓦礫と一緒にギンガも引きずり込まれそうになるが『ブリッツキャリバー』を稼動させて必死に堪える。渦は瞬く間に自らの周囲にあったものをことごとく喰らい尽くし、空の色を漆黒に変えていた靄を全て飲み干してしまった。大きさもギンガを簡単に飲み込めるまでに肥大していた。
 回転も緩慢になって巨大な渦から球体に変わったそれはまるで生きているかのように表面をヒクヒクと震わせ、突如頂点に近い部分から尖った物が突き出る。そして鋭利な突起物が動き、何かが軋むような音を立てながらそれは姿を現す。
 ギンガの目の前で黒い球体から這い出てきたものを一言で言い表すならば、それは一匹の巨大な悪魔であった。前に伸びた細長い顔は草食動物の骸骨を思わせ、髪のような黒くて長い物と共に後ろへ伸びた二本の角と前に突き出た六本のねじくれた角は山羊を髣髴とさせた。足が見当たらない代わりに腕は四本も生えていて、背中から無数に生えている触手らしき何かはうねうねとうごめいている。
 大きさは彼女が首を上に向けて見上げればやっと誘拐犯が見える程度で、彼からしてみればギンガはありかなにかぐらいにしか思えないことであろう。触手を除けば彼の身体自体が骸骨のような細くてシャープな姿に変わり、相手を萎縮させるような威圧感を漂わせると共に元は人間だったとは思えない姿がギンガに妙な不気味さを感じさせた。
 誘拐犯だったものは右下の腕を伸ばし、人差し指をギンガに突き出した。指の先にミッドチルダ式の黒い魔法陣が展開され、それによって生じた魔力弾の数は少し前に彼が放った〈クロスファイアシュート〉に匹敵する物量であった。
 弾幕と言うどころか分厚すぎる壁としか形容出来ない数の暴力が来るにもかかわらず、ギンガの表情は冷静そのもの。巨大な悪魔を見るその目はまるで氷のように冷たい。
 恐怖に怯えない彼女が気に食わないのだろう。突き出した腕を怒りで震わせながら悪魔は黒い弾幕を解き放つ。
 滑り込むには狭すぎるくらい僅かな隙間しかない黒い壁が向かってくる状況で彼女がやった事といえば、手の中にある空気を破裂させるように両手を打ち鳴らし――
「……月城流極技『事象流行じしょうるこう』が崩し……撫で狩り」
 突き出した右手を前でぐるりと回しただけ。しかしそんな些細な動作によって悪魔の放ったそれは壁としての形を失い、渦を作りながら彼女の右手に大きな球体として収まった。
 驚きで全身を震わせる悪魔の目の前でギンガはゆっくりとした動作で左肘と左足を後ろに引きつつ、それと並行して身体を半身の姿勢に持っていく。それと同時にその黒い球体が回転し始め、螺旋状の長い槍へと姿を変える。
「乾坤一擲。紫電……」
 左手に装着された『リボルバーナックル』のスピナーが帯状の魔法陣を纏いながら回転。身体の中を循環している魔力が拳に集束する。
「勇星牙槍ぉっ!」
 突き出した右手を引くと同時に、ギンガは魔力を纏った左で槍の尻を殴った。魔法付与による打撃に加え、叩き付けられた際に注ぎ込まれた魔力によって爆発的な推進力を得て勢いづいた槍は風を巻き起こしながら悪魔へと飛んでいく。
 誘拐犯は左上の腕を突き出してそれを受け止めようとするのだが、槍は彼の身体から瘴気のように漏れ出ている黒い靄を喰らって肥大しながら突っ込んで来ていた。その切っ先が悪魔の出した手の平に突き刺さる頃には既に人間一人ぐらいの太さまで成長し、手の平どころか身体まで貫通してしまった。
 しかし貫通しただけでとどまらず、悪魔が突き刺さった物を抜こうとする所で槍が爆発。内部から彼の身体はめくれ上がって、身体自体が黒い靄となってただの真っ黒な物体と化す。
 今の状況だと身体を構成できるギリギリまでギンガに靄を取り込まれる事を分かっているのか、周囲に広がっていこうとするのを瞬時にかき集めて身体を修復する。それでも爆風に乗って飛んでいってしまった分もあり、さっきより一回りぐらい小さくなってしまっていた。
 気を取り直した誘拐犯が彼女を攻撃しようと周囲を見回す。しかしギンガの姿は何処にもない。見つからない苛立ちで無差別爆撃を行おうとした次の瞬間、彼が感じたのは身体に突き上げられる感覚であった。
 何故ならば彼が仕掛けようとする時には既にギンガはその懐へと入っていたからだ。右手で放った普通の魔力付与打撃では効果がないと判断した彼女は右手を地面につけ、上半身を捻りつつ左腕を限界まで後ろへ引いた。貫手の形を取った『リボルバーナックル』に魔力を注ぎ込み、アンダースローを思わせる格好で構えるギンガ。
「ディバイン……」
 そして地面を舐めるくらい下降した軌道を描き、すくい上げると同時に誘拐犯の身体を突き上げるような格好で、防御魔法で保護した左手という必殺の一撃を零距離から叩き込んだ。
「バスタぁぁぁっっ!」
 魔力の放出と共に彼女の貫手が手首まで悪魔の身体の中に埋まる。黒い靄で構築されているから中身は硬いか極端に柔らかいかの一方かと思いきや、血の通った生きた生物の体が持つ温かさと適度な柔らかさがしっかりとあった。生々しい肉の感触に、ギンガは何かが背筋を這い上がるような生理的な嫌悪感と共に何かがこみ上げてくるのを感じた。
 心が通じ合っている相棒であるとは言え、あくまで機械やプログラムで出来ている存在である『ブリッツキャリバー』は止まってしまった主の為に自らの身体に宿った機能を駆動させる。
 『リボルバーナックル』が帯状の魔法陣を何本もまとったホイールを高速回転させる音で我に返ったギンガは突き刺した手刀から衝撃波を発生させ、内部を破壊しながら貫手を切り上げて行く。
「リボルバぁぁぁぁっ! アングリフぅぅっ!」
 彼女の左手が誘拐犯の身体から抜けるギリギリで特大の衝撃波が起こり、彼の身体に深い傷を刻むと同時に内部をズタズタにした。傷口から真っ黒な水が身体から噴水のように噴き出し、ギンガの身体とバリアジャケットを濡らす。
 常人なら致命傷になるところまで追い込んだのだから大丈夫だろうと、ギンガが軽く気を抜いたその時であった。いきなり誘拐犯が彼女を強く抱きしめ、〈ディバインバスター・リボルバーアングリフ〉によって出来た傷口に押し付けた。傷口だけではなく身体中から血生臭いにおいのする粘液まみれの触手が生え、彼女の身体を飲み込もうとする。
 粘液と蔓の動きによって自らの性欲と快感を煽られ、快楽に溺れさせられた時の事を思い出したギンガは必死に抵抗する。しかし触手は彼女が動くたびに身体を締め付けて動けなくしていった。
 巻きついた触手が首を締めていき、ギンガの呼吸を奪っていく。身体が空気を求めて口を動かすのだが開いた口に触手が押し込まれる。どろりとしたしょっぱいものが口一杯に広がり、呼吸困難からか頭に靄が掛かっているように意識が希薄になっていく。
 自我が消えかけていても、身体と黒い靄に宿ったものはギンガの生き残らせる為にささやかな反逆を行う。口の中に異物が押し込まれて強引にしごかさせられているにもかかわらず、彼女の持つ意思が言葉となって漏れる。
「……我流、戦術……呼法。『飲乱グリード狂食イーター』」
 そう呟くと、同時に、ギンガは――口の中で暴れまわる、その触手に、噛み付き、そして、それを、強引に、噛み千切った。
 やはり身体から生えている触手は彼の感覚器官であったらしい。彼女が触手に噛み付いた瞬間、痛みに耐えるかのように身体を大きく震わせる。
 悪魔が反撃による激痛で怯んだ瞬間を見逃さず、食い千切られてもまだ口の中でヒクヒクと痙攣している触手を含んだままギンガは自らの脚力任せの跳躍で後ろに跳ぶ事によって相手から距離を取った。傷口から黒い水を噴水のように巻き散らかしながら今もまだ身もだえする誘拐犯の姿を眺めながらギンガは口の中にあるものを飲み込んだ。既に固形としての形をなくして靄となったそれに味など無かったが、まるで水のようにするりと腹に収めると何か満たされたような温かさを感じられた。
 ギンガは漂ってくる黒い靄を吸い込む事によって身体に取り込んでいく。すがり付くように纏わりついてくるそれらを身体に取り込んでいく彼女はまるで無条件で全てを優しく包み込む慈母のようであった。渦を巻きながら黒い靄はギンガの中へ流れ込んでいく。
 彼女の技によって開けられた穴を塞ぎ、痛みが治まったがさっきより二回りも縮んでしまった彼は靄を取り込む事によって姿が変わっていくギンガを止める為に襲い掛かる。
 しかし彼が攻撃を仕掛ける前に彼女は黒い靄をあらかた取り込み、バリアジャケットもいつの間にか変化を遂げていた。上とスカートが一体化した黒いボディスーツを身に纏い、腰には足首まである同色の腰布が付けられている。『ブリッツキャリバー』を装着している両足にはオーバーニーソックスのようにふとももの辺りまで武装し、左腕に付けている『リボルバーナックル』もよりシャープな形状に変わっていた。
「死刻御手」
 身体を引きずりながら襲い掛かる誘拐犯に向かって彼女は左の手刀を振るう。その速度は常人の目では追えない程で、空気摩擦によって熱を持っている『リボルバーナックル』が接触した部分には炎が生まれていた。黒い靄によって彼女の貫手は刃物じみた硬度と鋭利さを持ち、魔力付与によって残像が見えるくらいの速度で走るしなやかな腕によって放たれる技は『死を刻む手』と言う名に恥じないものであった。
 瞬く間に手刀で何千回も切られ、空気摩擦によって発生した炎で身体を焼かれている誘拐犯はギンガの勢いに押されて吹き飛ばされる。切られている間も黒い靄はギンガの身体に吸収され、今も傷から流出しているせいでサイズも人間大にまで小さくなってしまっていた。
 睨みつけてくる悪魔をぼんやりと眺めながら前に出した右足の踵で地面を軽く叩き、次にその足を後ろに持っていったかと思うと今度は爪先を蹴りながら足元に魔法陣を展開して詠唱を開始する。
「踵踏みならし、撃つは制約の一撃。疾う疾う走る足は疾風のごとく。落とされる足は鉄槌のごとく。放たれる足は劫火のごとく。その一歩は意の場所に届き、その歩みが新たな道を拓く。何人もその歩み妨げる事能わず……」
 ギンガの踵が地面につくと同時にその姿が消失し、次にギンガが姿を現れせた時。なんと彼女がいたのは誘拐犯の目の前であった。突然の事に唖然とする彼に向かって、ギンガは先刻の〈死刻御手〉を彷彿とさせるような速度で蹴りを叩き込む。余りの速度に再び悪魔の身体に火がつき、その勢いによって身体が浮き上がってしまっている。
 そして彼女は爪先で地面を擦るように左下から右上へ蹴り抜く。薙ぐように蹴り出された一撃は蹴りの連射で浮き上がっていた彼は空へと打ち上げられ、その蹴りの勢いによって発生した衝撃波が打ち上げられたその身体を吹き飛ばす。
 ギンガは蹴り抜いた左で地面を踏みしめ、魔力付与と黒い靄による身体能力の強化によって空高く跳躍。空中で一回転し、〈断頭台〉を顕現させる。魔力と黒い靄がギンガの片足に集まっていき、足首から足の付け根にかけてふくらはぎと太腿の部分に板のような分厚い刃が付いた足にへと姿を変えた。
 自動落下に加えて空中での回転によって勢いのついた一撃が悪魔の頭に入り、草食動物の頭蓋骨を思わせる形状をした頭が真っ二つになって黒い噴水を噴き上げる。
 着地する寸前で断頭台の刃を消したギンガは小さく息を出すと同時に地面を擦るか擦らないかくらいの軌道を描きながら横へ薙ぎ払うように蹴り抜いた。
「ヴェフレイウンク。盟約の左グリンツェルント・ヴァルキュリエ
 バリアジャケットの構築に使う分以外の魔力と黒い靄が全て注ぎ込まれたその黒き一撃は誘拐犯の成れの果てを死神が死者の魂を刈る為に振るわれる鎌のように一切の音も無くあっさりと上下に真っ二つにしてしまう。
 〈盟約の左〉で肉体を構築する最低限を残してそれ以外の靄を刈り取り、それを体内に取り込んだギンガは真っ二つになった悪魔の残骸を見る。誘拐犯の成れの果ての身体はヒクヒクと震え、真っ二つになったものがゆっくりと元々の人の身体と金属の鎧を纏った巨大な人形に戻った。
 今度こそ誘拐犯に捕縛魔法をかけて拘束しようとその時、気を失って倒れていたと思われた彼がいきなり起き上がって両腕を突き上げながら吠える。
「変態は負けない。省みない。退かないんだあぁぁぁぁっ!」
 その咆哮と共に彼の身体からだけでなく、彼のデバイスである『エクセレス』からも靄が噴出して既にボロボロであるその身を覆い隠すように包み込んだ。彼とその相棒を守る為か球体が形成され、攻撃を阻むように渦を巻き始める。
 目の前の球体を破壊する為に拳を握ったその時、黒い靄が消え去って誘拐犯と彼のデバイスである『エクセレス』が姿を現した。
 誘拐犯の頭には何故か黒いウサギの耳をかたどったカチューシャを装着し、顔は紫色のパピヨンマスクで隠している。首にはピンクの色のネクタイを巻き、足には真っ白な靴下をはいている。そして股間の部分を真っ赤な天狗のお面で隠されている。どうやら最後に見せたそれが誘拐犯の最終形態らしい。
 『エクセレス』はと言うと、姿は基本的にさっきの悪魔に足がついた程度のものであるが眉間から生えた角のような雄雄しいものは後ろに伸び、肩や肘・膝などには棘や剣の刃が生え、間接部には金色のリングが装着され、そして背中には六枚の大きな刃がまるで翼を広げたかのように生えているという、最初の融合形態と最後の悪魔形態が融合したような形態であった。
 姿を変えた二人は一斉に前傾姿勢を取り、踵から突き出たヒール状のそれを踏み込む。パシュっ、と空気が勢いよく抜ける音と共に跳躍。空中で体勢を整えて右足を突き出した誘拐犯と『エクセレス』が発動させたのは〈ディメンションエクストリーム〉。
 まだ周囲に残っていた黒い靄が彼の足に纏わりついて形を代え、足首から脚部前面を覆うように突き出た装甲が右足にもたらされる。爪先の前に巨大な魔法陣が展開され、足がそこを通過する事で円錐型と化した結界が発生する。
 黒い靄と強い風を纏った巨大な二本のドリルに向かって、ギンガは迷う事も躊躇う事も無く魔法陣を展開させた両手を突き出してそれを掴んだ。
「エクストリィィィィィィムゥッ!」
「……貪り喰う餓狼レーゼストヴォルフ
 彼女の手は円錐状の結界どころか右足の装甲まで突き破り、彼らの足や魔力の通るケーブルを掴んでその身体の中にあるものをギリギリまで吸い上げる。彼女の狙いは死なない程度に黒い靄や魔力を吸い上げて身体を動かせないようにする事。
 相手にしてみたらその吸収攻撃によって完全に沈黙させられてはたまらないのだろう。まるで申し合わせたかのように彼女の前後に跳躍した誘拐犯とエクセレスは再び足元に魔法陣を展開し、屈むような姿勢を取ったかと思うと右腕でギンガの首を引っ掛けるためか軽く曲げた腕を横に突き出したまま魔力を放出させて突っ込んできた。
「一気にイクぞっ! ワイルドちゅ~ちゅ~トレインっ!」
 前後からやってくる魔力を全身に纏った突撃に対し、ギンガは身体を横に向けた状態で腕を左右に突き出し、僅かに誘拐犯より速かった『エクセレス』のチャージを大きく開いた手の平で受け止める。
 そして左側から攻めてきた彼に対して拳を突き出していた。左拳に展開された魔法陣には紫色の巨大なスフィアがあった。腕一本で受け止めたせいか身体までが軋んでいるような痛みを感じながら、ギンガは誘拐犯目掛けて魔法を発動するために銘を紡ぎ出す。
「ディバイン……バスター……」
 右手で止めた敵が打ち込んできた魔力と勢いを流し込まれて膨張したスフィアはギンガの声と左腕を捻る動作を合図して解放。黒いものが少し混じった紫色の奔流が誘拐犯を飲み込み、その意識を彼方へと追いやる。
 身体の右半分が衝突による痺れで感覚がなくなっていたが、それでも足を動かして『エクセレス』の方に向き直る。肘を引いて限界まで下げた左はいつの間にか握った状態から貫手の形へと変わっており、手首に付けられたリミッターが解除されている為に手首から先が『リボルバーナックル』と共に高速回転していた。
 鋭い音を立てながら駆動するドリルには魔力だけではなく黒い靄までが溜め込まれ、漆黒のそれが起こす空気の流れによって周囲に嵐を起こしされていた。
 そして『エクセレス』とその相棒が融合して巨大な悪魔へと姿を変えていた時と同じようにアンダースローの格好ですくい上げるように、唸り声を上げながら高速で回転する左手を叩き込んだ。
「パンツァぁぁぁぁっっ……ファウストおおおおおぉぉぉぉっ!」
 しかし突きをぶち込んだだけで『エクセレス』が止まるとはギンガも思っていないらしく、更なる攻撃を放つ為にカートリッジロードを行う。帯状の魔法陣を纏ったスピナーは何かを削っていような耳障りな音を立てながら彼女の拳の先に魔力球を精製する。拳の先にある球体が高速回転して内部を破壊しながらも、発動者の命令が下されて真の威力を見せるのを待っている事を感覚で悟ったギンガは小さい声で呟く。
「ガンブレイズ……エンド」
 彼女の口から魔法の銘が紡ぎ出され、高速回転する魔力球の中に封じ込まれていた暴力が解き放たれ――主の怨敵にその牙を剥いた。
 まず紫色の閃光が『エクセレス』の背中を貫いて巨大な穴を開け、爆発するように放出された魔力が内部に部品を喰らい尽くしてそれらを意味なき物へと姿を変えて行く。
 〈パンツァーファウスト〉によって完全に動きを止め、ほとんどデバイス「だった」ものと化した〈エクセレス〉を一瞥したギンガは気絶している誘拐犯の元へと歩いていく。
 そして彼の両手首を後ろに回し、バインドによって捕縛した彼女は溜め息をつくように一人で小さく呟いた。
「……任務、完了」

スポンサーサイト

2件のコメント

[C208] ギンガ遂に撃破か!?

いやー、何というか凶暴そうだけども一度視てみたい描写ですねぇ。
特にギンガのスタイルの部分が本当に視てみたい感じです。
動物というか四足歩行みたいなタイプになる、でもそうなれば動きの切れとかはかなり跳ね上がりそうな気がしますね。
次の話も期待しています。
では。
  • 2010-05-16
  • 投稿者 :
  • URL
  • 編集

[C209] ふむふむ

ガツンと一発で買い攻撃で粉砕しましたね。
彼女の本気と言うものがどれほどやばいのかというのを感じることが出来たと思います。
次はギンガ編が終わったから、冬秋さん達の話に移るのかな?
そちらも楽しみです。
がんばってください、応援しています。
では
  • 2010-05-30
  • 投稿者 :
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

新規
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

0件のトラックバック

トラックバックURL
http://clowncraown.blog90.fc2.com/tb.php/150-660014dc
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

Appendix

プロフィール

雪奈

Author:雪奈
「交換戯言日誌」を見に来て下さってありがとうございます。
終焉の引き金を引くのは貴方。
物語の続きを作るのもまた……
読んでいる貴方なのです。






無料アクセス解析

最近の記事

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。