Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

-件のコメント

コメントの投稿

新規
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

-件のトラックバック

トラックバックURL
http://clowncraown.blog90.fc2.com/tb.php/147-5cada0ef
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

『クラナガン自然公園攻防戦』⑬

『交換戯言日誌』と『戯言劇団』はARPの提供でお送りしています。

管理人一同は―――
 『魔法少女ろりこっとん プロジェクト』。通称『ろりこっとんプロ』
 『砲撃文庫』・『創刊砲撃マ王』
 『SSをノベルゲー化プロジェクト』
 それらの三つを力強くを応援しています。

過去の部分が読みたい方は『戯言工房』へ。
ある種のカオス空間なのでご注意下さい

他に何かありましたら、『幻想寓話』へ。
匿名でも構いません。ご自由にお使い下さい。

 おはようございます。雪奈・長月です。
 今回はなのはギャルゲーテイストSS第十五話『大晦日&正月。眠れない二日間』
 やっと、ここまでやってきました。恐ろしく長かったです。そろそろ戦闘も終局へ。
 個人的にも早く終わらせて、フェイトのイベントへ行きたいものです。





『クラナガン自然公園攻防戦』⑬

 冬秋が再び雹嵐と共に天使撃墜へ向かい、残されたギンガは自身の上に乗っかっている誘拐犯をバインドで捕縛しようと彼の頭に手を伸ばす。しかし彼女の手が誘拐犯に触れそうなところで突然、その身体がいきなり砂のように崩れた。ギョッとする彼女の前で砂状になった彼の身体は風に乗って飛んで行き、少し離れた所で一つにまとまって再び形を成す。
 そして彼女の前で身体を急速に再生させる。しかしそれでもダメージ等はあるらしく、荒い息を吐き出しながらギンガを睨む誘拐犯の格好は下半身にスパッツのようなぴっちりとしたものを穿いているだけであった。
 誘拐犯はまるで暴行されたかのようにボロボロなメイド服をまとい、身体の所々に白く濁った粘液がこびり付いているギンガの姿を見ながら哄笑する。
「フゥハハハ! 何だその格好はさそってんのか? マラマラするぜ」
 彼女の姿が彼の好みを刺激して欲情させているのだろう。そう言って笑う誘拐犯の欲望はいつの間にか大きくなって、そのスパッツらしき黒い物を押し上げてその形を浮かび上がらせていた。
 相手の口から出た卑猥で挑発的なその言葉にギンガはさっきまで誘拐犯に襲われて、身体を開かされていた時の感覚を思い出して身体が疼いたがまるで奥歯を噛み砕くように歯を食いしばってそれに耐える。
 湧き上がる性欲と身体の疼きに顔を赤くして耐えながら睨んでくるギンガがそそるのか、彼は口の両端を引きつらせて歯を見せながら笑う。更に膨らんだ彼のナニはいつのまにか黒い下着から先っちょの膨らんでいる部分と幹の部分がはみ出ていた。
 あざ黒い彼のそれを目にした瞬間、無意識での事だろうが彼女の口元から涎が垂れる。ギンガも瞬時にそれに気づき、慌てて手の甲でその涎を拭う。どうやら彼が彼女にぶち込んだ魔法の効果は強すぎる上に依存性があるようだ。
 その様を見ながらニヤニヤと笑う誘拐犯は靄で作った全身タイツをまとい、左手を腰の後ろ辺りに当てて右手で胸元についたチャックを下に下ろしながらギンガに言う。
「ヤらな「お断りします」ちっくしょおぉぉぉぉぉぉっ!」
 言い終わる前にギンガが顔を紅潮させて大きな声で返す。その一言が傷ついたのか、白濁の穢れた夢で膨らんだ黒いナニの先っちょを晒す所までチャックを下ろした状態で両手を広げて吠える誘拐犯。
 その感情に呼応してか、エクセレスだった物の残骸や瓦礫を巻き込みながら黒い靄が渦を巻きながら誘拐犯の身体に吸い込まれていく。同時にその足元から黒い液体が溢れだしてそのままギンガの所まで広がっていき、肥大化によって異常に身体が膨らんだ彼の身体が飲み込まれていった。どうやら新たなる形態となる為にその水溜りに入ったようだ。
 波紋を残しながら黒い液体に飲み込まれたのを見たギンガは瞼を閉じて軽く息を吸い込んで高ぶっていた心を落ち着かせる。そして周囲の魔力と――黒い靄を自身の身体の中へと集束させていく。
 彼女も何故自ら黒い靄の狂気で我を無くすような行動に出たのかはよく分からなかった。しかし冬秋があの黒い天使と戦う前に言っていた事をふと思い出したからだ。
 受け入れるのではなく、受け止めるのでもなく、受け流す。それが天使の打ち出した魔力球を受け止めた際に冬秋の使った技――〈月城流極技『事象流行じしょうるこう</rt>』〉のコツであった。
 しかしギンガは何か違うような気がした。受け入れたり受け止めたりするならともかく、受け流すというのはある意味で他人を無意識に拒絶しているような気がするのだ。
 黒い靄が渦を巻きながら中心にいるギンガの身体に吸い込まれて行き、足元にある黒い液体も足を伝って身体に纏わりついて行く。それらは口にも入っていき、ギンガは息苦しさと共に取り込んだ靄が自身の身体を侵食して行く。手を、足を、胸を、撫で、掴み、嘗め回る。中をずんずんと突き上げてくる何かでギンガの頭の中が真っ白になる。
 その感覚はまるでいきなり女の子の部分に何かを突っ込まれたようであった。細く狭いその隙間に太く熱い何かがねじ込まれる。それは処女を散らされる痛みにも似ていた。それも、アレが入りやすくする為に前戯で濡らされる事なく強引に犯される時のそれ。
 強引に突っ込まれて中が傷ついている上に乾いている状態で擦られているから喉が張り裂けそうなくらい大きな声を上げても紛らわせないくらいの痛みだけがやってくる。しかしそれも徐々に痛いのか気持ち良いのか分からなくなっていき、頭の中や心まで陵辱されてボロボロになっていく。
 色んな感情や感覚にギンガ・ナカジマと言う人格が飲み込まれ、塗り潰されていくのに耐える彼女は無意識でそれを悟った。流れ込んでくるそれは向こうで冬秋と雹嵐が戦っている天使――綺璃斗が天使になる直前に得た感覚と感情なのだと。
 理解した瞬間、ギンガは憤りのような物を感じた。何故ならば彼女を狂わせ、クラナガンを崩壊させるくらいの力を撒き散らかす天使に変えたきっかけ。それが自らの欲望を満たす為に強姦された事であったからだ。
 ギンガは瞼を強く閉じながら両腕で自身の身体を強く抱き、黒い靄と液体を身体に取り込んでいく。確かに今も十分に痛いが、黒い靄を身体に入れる事で彼女の事を知ったからその痛みも我慢できた。
 身体に入り込んできたなにかを通じて彼女の想いが流れ込む。熱くて甘い何かに包み込まれていく内に痛みが薄れていき、その何かが荒々しく脈打ち始める。
 潜り込んで来た魔力と彼女の結晶と言えるものが蠢き、全身を駆け巡り暴れまわる。その感触によって生じた世界が高速で回っているような未知の感覚で身体が悲鳴を上げ、その口から吐き出される息も荒くなる。荒々しいまでの魔力の奔流がどんどんどんどん高まっていく。
 不意に閉じられたギンガの瞼から透明な涙が零れる。痛くて辛いけど、暖かくて。熱くて優しいけど、とても猛々しくて。そんな沢山の情報が脈をうってギンガの中を流れ込んでいく。脊椎に集まった甘くて愛おしくてものが弾け、頭の先から突き抜けて全身に広がってゆっくりと収束していく。
「ほう……月城流礼技『鎧装心衣ガイソウシンイ』かいな」
 今も天使と激しい戦いを繰り広げている冬秋がギンガの姿を見て、口元に笑みを浮かべる。命を賭けた戦闘の最中であるにもかかわらず、それはまるで遊んでいる内に面白い物を見つけたかのような楽しげな笑顔であった。
 いつの間にかギンガの周りにあった黒い靄や液体がなくなり、いつのまにかさっきとは違う姿に変わっていた。彼女の身を包んでいるのは首から下が赤に近い黒と紫紺のボディスーツ。
 両足に装着された『ブリッツキャリバー』はローラースケートの形状から太ももギリギリまである群青色のニーソックスに変わっている。『リボルバーナックル』も左手を包む形態から左肩までを包む西洋鎧の様な形状に変わっていた。
 そして青みがかった髪は紫紺のリボンによって一つに纏められている。
 彼女はゆっくりと瞼を開く。左目はさっきと変わらずまるで磨き上げられた極上の翠玉を思わせる綺麗な緑色なのだが、右目はまるで深淵の闇を思わせるような光すら反射しない黒色に変わっていた。
 そして右目だけから黒い涙が流れ、頬に黒いラインを作り出す。それはまるで狂気を操る黒い天使となって冬秋と雹嵐が戦っている綺璃斗の代わりに泣いているようにも思えた。
 周囲に漂っていた黒い靄と誘拐犯の作り出した黒い液体をあらかた吸収して新しい姿を得た彼女であったが、その目の前には人間一人が入れる黒い穴がぽっかりと開いていた。そこから手の形をした黒いものが出てきて、タールのようにドロドロとした物が塗れたそれは地面を掴んだ。
 それはあの誘拐犯なのだろうが未完成の姿は余りにも醜く、ある意味ではさっき以上に見るも無残な姿に他ならなかった。ギンガが顔を引きつらせている前で、それは歯を食いしばって黒い粘液まみれの全身を揺らしながら壁に身体を擦らせながら這い上がる。その姿は半ば全裸に近い状態であった。
 しかしギンガを睨むその目はさっき以上にぎらついていて、まるで飢えた肉食獣のようであった。先程までは洗脳魔法を使ってギンガを愛奴に調教していたのに、あと少しの所で冬秋と雹嵐が放った〈神威咆哮ディバインバスター〉で吹っ飛ばされたのだ。彼にとっては天国から地獄に落ちたような心境であろう。
 その上、更なるパワーアップを目指して黒い靄と自身を融合させたら何故か上手くいかずにコールタールのようなドロドロを纏ったような感じになってしまったのだ。ある意味で自業自得の上にただの自爆ではあるが、頭に血が上っている彼にはそんな事など頭になかった。
 全てを邪魔されて完全に萎えてしまった彼の心に怨念とも取れる一方的な逆恨みの心が宿り始める。冷え切った体が、心が、頭が、寒さで小さく縮んでしまった棒が、一方的に自分勝手な怒りによって、先程までの絶頂時以上の熱さを帯び始める。冷静に物事を考えられる状態に合った思考が再び怒りから来る憎悪と極度の興奮によって異常なまでの活性化を見せる。
「……今度こそお前の×××にぃ……ねじ……こんでェ…」
 よろけながらも立ち上がった誘拐犯は怒りによって血走った眼をギラつかせながら、心の奥底から湧き上がる野生の衝動に任せて彼は両手を突き上げて雄叫びを上げる。その姿はまるで満月に向かって吠える野獣を思わせた。
「オカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスオカスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥっ!!!」
 誘拐犯の犯すという性欲まみれでありながらも純粋な想いに黒い靄は反応したのだろう。地面をぐらぐらと揺るがしながら、彼の背後にある真っ黒の穴から何かが噴き上げて来るような轟音が響く。そして勢いよく噴き出したのは真っ黒な粘液であった。
 その黒い粘液は腕を突き上げる彼を飲み込み、急速に凝縮と硬化を行う事によって強い願いを持つ者に新たなる形を与える。
 一分も経たない内に誘拐犯の願望にそった変身が完了し、既に臨戦態勢へと入っているギンガの前にその雄雄しい姿を現した。身構えていた彼女は彼の姿に絶句する。
 何故なら――変身を完了した誘拐犯の姿が余りにも変態であったからだ。
 頭には何故か黒いウサギの耳をかたどったカチューシャを装着し、顔は紫色のパピヨンマスクで隠している。首にはピンクの色のネクタイを巻き、足には真っ白な靴下をはいている。そして股間の部分を真っ赤な天狗のお面で隠されているだけで、それら以外は何も装着していなかった。
 予想だにしなかった彼の変身に唖然としながらも卑猥な姿を見せられる恥ずかしさで真っ赤になるギンガ。しかし誘拐犯はその怒りと欲望を込めながら壊れかけの言語新たな魔法を唱え始める。その口からどす黒い『欲』と『怒り』の塊が吐き出され、彼の前で一つに集まって大きな塊として固まっていく。
「シネ…しネ、史ねシネ師ね死ねシネ士ね子ね死ねシネ四ねシネしネェッ!!!」
 彼の分身ともいえる黒い塊はあっという間に術者の体をも覆い隠す程の巨大な球体に成長を遂げる。そして誘拐犯は自身の身体をもって、それに渾身の体当りを仕掛けた。彼の全てを叩きつけられた感情の塊はその巨大な外見と不釣り合いな程の速度を弾き出す。
「シネエエエエエエエエッ!!」
 打ち出した誘拐犯が叫んだ時、打ち出された塊の速度が更に上昇する。狙いはもちろん目の前にいるギンガであった。何度も煮え湯を飲まされていても彼は冬秋になど興味はない。何故なら倒すなら女の方が良いと思っているからだ。
 男なら痛めつけるしかないが、女なら倒した後に犯すと言う楽しみがある。そして今のギンガは来ている衣装が変わっているとは言え、先程まで彼が行っていた行為によるダメージが精神的にも肉体的にも蓄積されているだろうから満身創痍の状態には相違ない。今の攻撃は今も尚、刃向かおうとする彼女に対するきつい躾であった。
 叫んだ誘拐犯が勝ちを確信し、彼女を犯す楽しみに胸を膨らます。その思いを表すように黒い球体は更に速度を速め、ギンガに衝突すると同時に爆発して四方八方に砕け散る。
 爆弾などの爆発によって舞い上がる煙とは明らかに違うどす黒い黒煙を見つめながら口元を吊りあげた誘拐犯はギンガのいるであろう前へと歩いていこうとしたその時であった。
「……拳技」
 黒煙を吹き飛ばして黒い何かが音もなく突っ込んできた。紫紺の長い髪を風になびかせながら突っ込んできたそれはまさしく躾の為に吹っ飛ばしたギンガであった。
「居抜」
 走行しながら腰を捻り、肩まで入れて正面から右側に持っていっていた左手をギンガは一気に振り抜いた。『リボルバーナックル』を装着した状態で抜き手の形を取っていた左手は彼の胸を容赦なく切り裂いた。
 いきなり切られても瞬時に思考を切り替えて胸の傷口から出て来た黒い靄を針か杭に変えて飛ばそうとする誘拐犯であったが、それなりギンガの行動の方が遥かに早い。
 ギンガは瞬時に『ブリッツキャリバー』の動きを止め、地面を壊すくらいの力を込めて踏みしめる。先ほどの攻撃で振り抜いた左腕の肘は既に後ろ限界まで後ろに持っていかれ、それと連動して腰も限界まで捻っていた。全身の筋肉を限界まで引き絞られ、酷使させている事によって身体が軋むような音を立てている。
 さっきからずっと無言を貫くギンガは強く握り締めた拳を迷う事無く、傷口から黒い靄が出ている誘拐犯の胸に叩きつけた。
 その技はまさし数十分前にギンガの前で冬秋がやってみせた技――〈月城流崩技『抜閃バッゼン』〉に他ならなかった。
 まるで〈ディバインバスターA.C.S〉を叩き込まれたような衝撃を胸に感じながら誘拐犯は盛大に吹き飛んだ。十mぐらい低空飛行を味わっただけではその勢いは殺しきれず、地面に衝突してバウンドするのを何度も繰り返し、最後に地面をゴロゴロと転がされてやっと止まった。
「何故だ…」
 彼は疑問の声を上げる。さっきまで洗脳効果を持った身も心もボロボロにし、〈触手の嫌いな変態はいませんインフロントバインド〉で身体を縛りつけた上にその蔓によってよがらせていた筈の彼女が一瞬でまともに動ける回復してしまったのだ。不思議に思わないはずがない。
 音一つ立てずに歩きながらギンガは言った。
「今度は私が先程までの借りを返す番です」
 そう言って歩くギンガの『リボルバーナックル』が自動的にカートリッジロードを行い、その魔力を注ぎ込んでナックルスピナーをフル回転させる。ジャリジャリ、と何かが削っているような音を響かせながら豪快に回転するスピナーからは黒い靄が漏れ出ている。
 敵を倒すチャンスと覚悟を決めるギンガの目には、先程までのようになるのでは…等と言う不安感は何処にも無い。何故なら背中に義の一文字を背負う彼が堕ちかけていた彼女を救い、誘拐犯と戦えるだけの勇気を与えてくれたからだ。
 彼女は思う。だから次は私が自らの役割を果たして見せる番なのだと。
 誘拐犯はメスを見つけたオスの歓喜とも取れる叫びを口から上げ、黒い魔法陣を足元に展開すると同時に名を告げて魔法を起動する。
おっぱいフルーティー……ぷるんでソフトタッチ……」
 最後の一文字を言い終えると同時。足元の魔法陣から生じた半球体を力いっぱい踏みつけ、物凄い加速を付けた彼は向かってくるギンガに突撃してきた。
 欲望まみれの顔に歓喜の笑みを浮かべ、口を吊りあげながらも彼はいかれた思考で考えていたのだ。先程の行為のダメージは完全に抜けていない、だからこれ一発だけで十分だと。しかし誘拐犯の予想は大きく外れ、彼の思考では考えられないような出来事が目の前で起きる。
 回転するスピナーから出ていた黒い靄が『リボルバーナックル』を覆うように纏わり付き、瞬時に凝固してまるで鉄のような黒く鈍い光沢を放つ。
「ネーゲル……」
 ギンガはゆっくりと振り上げた拳は固く握られていて、更にはフィールド系の防御魔法を纏わせた状態であった。
「シュラぁぁぁクぅっ!」
 誘拐犯が彼女のカウンターとして〈釘打ち機ネーゲルシュラーク〉を放った事に気づいたのは彼女の小指球が頭に叩き付けられ、その威力によって頭からバウンドした時であった。
 顔面から地面に衝突し、頭につけているウサギ耳のカチューシャによって跳ねた誘拐犯の身体をギンガは容赦なく蹴り飛ばした。爪先で地面を擦るようにしてから右下から左上へ蹴り抜いた一撃は彼の身体を浮かせ、その蹴りの勢いによって発生した衝撃波で吹き飛ばした。蹴り抜いた右足で地面を踏みしめ、蹴りの勢いに引っ張られたせいで相手に背中を向けるような格好になる。
「……許さない」
 まるで誘拐犯の汚らわしい姿をほんの数秒でも目に入れたくないというかのように背を向けながらギンガはそう言った。今の彼女の中にあるのは天使が持っていた悲しみや痛みを強く深く受け入れた事によって得た力。
「何を許さないと言うんだァ? アア?」
 彼女の姿が変わっても尚、誘拐犯の余裕っぷりに変化は無い。
 ギンガは凛とした表情で誘拐犯と対峙する。その中で渦巻いているのは先程までとは段違いの力。今はどうにか制御できているが、その力と共にある悲しさや狂気に飲み込まれてしまったらそのまま暴走してしまいそうだった。
「ゥオオオオォオオォッ!!」
 誘拐犯が叫ぶと同時に〈触手の嫌いな変態はいません〉が発動され、ギンガの周りに無数の蔓が出現する。普通ならば先ほどの陵辱を思い出して身体がすくみ、そのまま蔓に捕まってしまった事だろう。だが今の彼女は驚く事も無ければ怯みもせず、ただただ無言で彼を睨んでいた。
「…そんな目出来ねえようにしてやるッ!! そして無理矢理犯してやるぜえええええッ!!」
 彼女の予想外の反応に気を悪くしたのか口調をがらりと変え、彼が叫ぶと同時に彼女の周りに円を描くようにして生えた蔓達が一斉に飛びつく。
 だが今のギンガにはそんな蔓など恐れるにも足らない物であった。全く動ずる事もなく両手を軽く前に出し、右足を少しだけ上げた。そして両手を打ち鳴らし、右足で地面を軽く踏んだ。
 両手の間に溜まった空気が破裂したような鋭くて澄んだ音が響き渡り、周囲の空気をびりびりと痺れさせるような余韻を残しながら少しずつ消える。
 しかし次の瞬間にはギンガを中心にして地面に亀裂が出来る。その出来た割れ目がめくりあがって蔓が出て来たと思うと、蔓と言う蔓の全部が内部で小さな爆発を起こしたかのように弾けて消え失せた。
「……思いは受け取ったよ、大丈夫。貴女の事を私は受け入れるよ……」
 だから……と、彼女は小さく呟きながら再び手を打ち鳴らす。すると音が鳴ると同時に彼女の魔力光と同じ紺色の衝撃波が発せられ、
「ッ!? なんだとォッ!?」
 次の瞬間には彼が放とうとしていた〈触手の嫌いな変態はいません〉の第二波がそれらに切り刻まれ、内部から弾け飛び、魔力の粒をこぼしながら消え失せた。
 無言で睨みつけながら歩きだすギンガに得も言われぬ威圧感を感じ取った誘拐犯は緩んでいた口元を引き締めて臨戦態勢を取った。
「お前は動けなくなってから犯す。言う事を聞くまで調教してから食べてやるッ!!」
 口ではふざけた事を抜かしながらも向かってくる彼女を倒す為か、彼の周りには黒い靄が纏わりついていた。それらを凝固させて槍に変え、迫ってくる彼女に向かって一斉に撃ち出す。
「喰らえェッ!!」
 目を剥きながら彼が腕を振り下ろして咆哮するとほぼ同時。彼女がその場に立ち止まり、足を後ろに下げて身体を半回転させる。身体を横に向けるようにしてから腰を捻った。そしてスピナーから黒い靄を上げる『ブリッツキャリバー』で突き上げるように蹴りあげた。爪先が軽く半円を描くように放たれた蹴りが扇状に衝撃波を打ち出す。
 衝撃波と共に打ち出された黒い靄の塊は誘拐犯の打ち出した槍すら飲み込んで、そのまま彼の方へと飛んできた。
「う……うげェッ!?」
 槍を射出した状態のままであった彼に黒い刃が叩きつけられる。しかしギンガの攻撃はそれだけで終わりはしなかった。
低空ラウ・ロウヴェル……貫破砲撃パイルバンカードライブっ!」
 自らが放った攻撃ごと攻性フィールドを誘拐犯に叩きつけるギンガ。誘拐犯は身体の一部を消し飛ばされ、その後には多重展開されている硬質のフィールドに衝突されてまるで車の衝突されたかのように跳ね飛ばされ、飛んだ所で余波に巻き込まれて盛大に吹っ飛ばされる。
 ギンガは相手が吹っ飛んで自らは地面に顔面から衝突しようとする所でブースト魔法を発動し、彼女は腕の力で空高く跳躍。空中で半回転すると左足を前方に突き出して頭の近くまで振り上げ、つま先から膝にかけての部分を包み込むように圧縮した魔力を纏わせる。そこで念には念を入れてだろうか、更に硬質フィールドと攻性フィールドを纏わせる。
割断の暴嵐シュトゥルムヴィント・キリングシュラーク!」
 攻撃を察知した誘拐犯は空中で両手を大きく広げ、上から風を切りながら迫ってくる必殺の足に向かって大声で吠えた。
「受け止めてっ! おっぱいぷるんですフルーティーソフトタッチ!」
 彼女の足が振り下ろされるとほぼ同時。両手を上に掲げた彼の前におわん形の半球体が生み出される。そして圧縮された魔力の爆発と共に衝撃波が発生する。
 ギンガの放った一撃は誘拐犯の顔面に落とされ、爆発してそこから真っ二つとなる。次の瞬間には彼の身体がまるで砂であったかのように形を失って崩れていき、黒い靄となって周囲に広がって漂い始める。
スポンサーサイト

0件のコメント

コメントの投稿

新規
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

0件のトラックバック

トラックバックURL
http://clowncraown.blog90.fc2.com/tb.php/147-5cada0ef
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

Appendix

プロフィール

雪奈

Author:雪奈
「交換戯言日誌」を見に来て下さってありがとうございます。
終焉の引き金を引くのは貴方。
物語の続きを作るのもまた……
読んでいる貴方なのです。






無料アクセス解析

最近の記事

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。