Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

-件のコメント

[C199] 本気の日本刀

どもぷー太郎です。
冬秋さんと執事さんの付き合いの長さが良く分かる受け答えが良かったです。
やばい状況でため息がつけるという事はそれだけ目の前の人物を知っているという感じがして、其処から長い付き合いだというのが感じられました。
あと、刀と符を使った技、魔法破壊技が鬼畜でした。
相手が天使でなければ使われなかったと思いますが、やばい技を使った=それだけ敵がやばく、こちらが本気だったというのが分かり、緊迫してると感じました。
天使の底が知れないのが怖いです
次も楽しみにしています。
では
  • 2010-02-15
  • 投稿者 : ぷー太郎
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

新規
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

-件のトラックバック

トラックバックURL
http://clowncraown.blog90.fc2.com/tb.php/138-7294ac35
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

『クラナガン自然公園攻防戦』⑫

『交換戯言日誌』と『戯言劇団』はARPの提供でお送りしています。

管理人一同は―――
 『魔法少女ろりこっとん プロジェクト』。通称『ろりこっとんプロ』
 『砲撃文庫』・『創刊砲撃マ王』
 『SSをノベルゲー化プロジェクト』
 それらの三つを力強くを応援しています。

過去の部分が読みたい方は『戯言工房』へ。
ある種のカオス空間なのでご注意下さい

他に何かありましたら、『幻想寓話』へ。
匿名でも構いません。ご自由にお使い下さい。

おはようございます。雪奈・長月です。
もう、今日はユニゾンインの日ですね。
時間が経つのはとても早いことです。

コメント返し

プー太郎
 理由が在るものが強いと言うことです
 それで、『誰かの為に何かしたい』というのが一番やりやすい
 雹嵐はマリアに救われたと言うのが強いですが、彼女を自らの平和の象徴としているというのが一番強いです
 マリアは雹嵐に自らの弱みを全部見せちゃったから、家族と同等かそれ以上の存在というのがあります
 雹嵐とマリアの主従関係は今後、彼女たちのいる場所へ話が移ったときにでも
 冬秋は『空気を読めるスキル』を持っているというのがありますね
 私のSSは主人公格だったり、主人公スキル持ちのキャラが多いんですよw
 黒の軍勢は無限湧きではないです
 靄がなくなるか……時間や事象の巻き戻し位しないと止まりません
 冬秋の語る英雄論はギンガサイドではとても重要な鍵ですね
 彼の英雄理論と、彼の仕込んだ〈月城流極技『事象流行』〉
 その二つが合わさった時、銀河の身にとてつもなく面白い事が起きます
 どちらかというと、彼の英雄論は戦う者が常に心に留めなければならない事ですけど
 これからはそれぞれの戦いになりますね
 出来るだけ適材適所をぶつけてみました
 ギンガさんはStSのトラウマがありますからね……
 今回はギンガさんも少し成長して貰いたいものです

 コメント返し終了☆
 皆様も気軽にコメントを書き込んでくれると私も嬉しいです♪
 さて、そろそろ本編を始めましょう。





 ひしめきながら近づいてくる黒の軍勢に、靄を集束させて再び無数の槍を作り出す生首だけしかない天使。
 冬秋はそれらを睨みつけながら、スっと横にいる雹嵐の方に左手を差し出す。
 彼の行動の意図が全くもって分からないのだろう。横目で冬秋の方へ目配せをする雹嵐。
 雹嵐が何を言いたいのか察した彼は敵から視線を向けながらボソッと、囁くような声で彼女に頼み事をする。
「あっ、すまんけど刀貸してくれへん?」
 今から戦わなければならないのに、武器を貸してくれと言う冬秋に対して呆気に取られる雹嵐。
 次に出たのは深い溜め息であった。下手したらやってくる軍勢に飲まれ、殺されてしまうかもしれないこんな状況でそんな事を言い出されるとは思いもしなかったからだ。
 しかし雹嵐もそんな事に気を取られている場合ではないと言う事は百も承知なのだろう。右の手の平を前に出し、左から右へ滑らせる。
 その流れるような動作に従って、何も無かったはずの空中から彼女の目の前に黄土色・紅色・蒼色の燐光を放つ三枚の札が生み出される。
「土符『石槍』。火符『溶炎』。水符『凍水』……」
 展開した符の銘を告げた雹嵐は両手にその三枚を挟むようにして手を叩いた。手の間にあった空気を潰すような鋭い音を立て、手の間から光が漏れるのを見た彼女はそのまま右手を地面に押し付けた。
「……合成。錬符『布津御霊フツノミタマ』」
 その言葉が紡ぎ出されると同時に地面に幾何学な文字と図式で作られた魔法陣が虹色の光を放ちながら展開される。
 銘を告げながら地面から手を持ち上げた彼女の手にあったのは一本の刀。それは実用性を重視しているからか何の装飾や飾りはおろか鍔さえも無い無骨な造りであったが、抜きやすいように程よく反りが入った長い刀であった。
 軽く冬秋の方へと放り投げる雹嵐。それなりの重さがあったらしく一瞬だけ身体のバランスを崩しかけて前のめりになったが、どうにか得物を受け取った彼はゆっくりと向かってくる敵たちに対してにやりと笑いながらゆっくりと構える。
 刀を鞘に納めたまま居合いのような構えを取って軽く鯉口を切った冬秋はポツリと呟くようにその技の名を口から紡ぎだした。
「和泉流剣技『鋼断ち』飛破式……『軍葬』」
 冬秋がその名を告げ終えるか否かの内に構えていた刀は抜き払われ、その得物を握る彼の右腕は上に高らかに掲げられていた。
 銀色の閃光が奔ったその時には全ては終わっていた。まるで爆発か何かが起きたかのように前方が爆発し、まるで直射型砲撃魔法を撃ち込んだかのようにほぼ一直線に軍勢の一部が消し飛ばされて靄へと変える。
 そして雹嵐と冬秋に槍の雨を降らそうと靄で槍を作っていた天使の顔が発生した衝撃波で真っ二つに割れ、槍の形を作っていた靄も天使の制御を失って再び黒い靄に戻ってしまった。
 残ったのはまるで花道を作るかのように扇状の形に兵士が消滅した軍勢と、顔が左右で分かれてしまった天使の顔のみ。居合い抜きで正面から軍勢の三分の一を切り崩してしまった冬秋に、後ろで見ていたマリアだけでなく隣にいた雹嵐まで唖然とする。
「気を抜くなやっ!」
 刀を納めて天使を睨む冬秋の一喝に我に返る雹嵐。刀を貸してくれと言った奴が何を言っているのだろうかと思って殺意が湧きかけた雹嵐であったが、今の天使の状態によって目を剥く事となった。
 なんと天使は冬秋の〈軍葬〉で黒い靄に戻された黒い軍勢や槍を利用して身体を修復していたのだ。この数秒で既に胸部まで形成されていた。
「……っ!? 水符『冬天瀑布』っ!」
 彼の言葉の意味を察した雹嵐は右手を左前に置き、そのまま一気に振り抜いた。その軌跡にしたがって蒼い燐光を放つ符が彼女の前に何枚も展開される。
 前方に札が展開してから少し間を置いてから雹嵐の背後にいた瑠璃色の龍が咆哮し、展開された紙片に込められた能力が開放される。札から大量の水が溢れ出し、靄になっているいない問わず黒い軍勢を飲み込んでしまった。
 しかしそれだけでは終わらず、音を立てながら軍勢を閉じ込めた形で液体が凍りつく。完全に閉じ込められる前に靄になって回避しようとする者もその氷の棺は例外なく飲み込んだ。
 雹嵐の〈水符『冬天瀑布』〉によって作り出された氷山の中に天使の作り出した軍勢を全て封じ込まれた為に、急速に進んでいた身体の修復が腹部で止まってしまう。どうやら槍等の武器は瞬時に作り出す事が出来ても身体の修復は大量の靄か、相当の時間を必要とするようだ。
 身体の修復を止められてしまった天使は忌々しげに雹嵐を睨み、これ以上邪魔されない為か黒い槍を幾つも作り出して迎撃しようとする。
 しかしそれを阻止し、天使に攻撃を仕掛ける為に冬秋は左手に刀を握って走り出した。
 先程〈軍葬〉によって軍勢を消し飛ばして出来た道を通って接近しようとする冬秋を阻むために天使は時間差をつけながら槍や剣を勢いよく連射する。
 迫ってくる槍をまず冬秋は鞘に収まった刀で打ち払いてそれを砕く。次に来る剣をギリギリでかわし、撹乱させる為にわざと稲妻状に左から右へと移動する。
 回避する敵に苛立っているのか、まるで機関銃のように絶え間なく槍や剣の雨を降らす。冬秋はその弾幕の中を踊っているかのように回避する。
 休む暇も与えずに飛んでくる攻撃を回避するだけに止まらず雹嵐の作り出した氷山を駆けのぼり、天使との距離を少しずつではあるが縮めて行った。
 天使も冬秋の戦闘力と恐ろしさは本能で悟っているのか、少しでも近づけないように攻撃も徐々に過激になっていく。
 それでも冬秋も止まる事無く歩を進め、攻撃を凌いでいく。〈ディアボリックエミッション〉並みの威力を孕んだ黒い球体を〈事象流行〉で勢いを殺して掴んで投げ返し、黒い靄で出来た狗の頭を鞘に収めたままの刀で容赦なく撲殺し、その合間を縫って飛んでくる槍や剣を足場となっている氷を砕きながらも軽業師よろしく軽々と氷山を飛び移って回避する。
「いくでえぇぇぇっ!」
 まともに喰らったら間違いなく無惨な死を迎える事だけは間違いない攻撃を対処し、ついに近くまで接近した冬秋。自らの身体能力を駆使した跳躍で足場にしていた氷山をまるごと破壊しつつも冬秋は居合い抜きの格好で天使へと肉薄する。
 そこで天使は耳元まで裂けるのではないかと思うくらいの不気味な笑みを浮かべる。そして向かって来た冬秋に向かって無数の槍を飛ばす。
 地上ならまだしも足場の全く無い空中でその攻撃を回避する術を冬秋は持たなかった。もし飛行魔法の使える魔導師だったら話は変わっていただろうが、戦闘機人か何かを思わせる戦闘力を見せてもあくまで彼は一般人。その身を槍の雨に晒すしかなかった。
 そう、その黒い天使と戦っている相手が彼一人だけであったのならば。
「援護するわ。創符『桧舞台』」
 地上で手を力強く叩く音が響いた。それと同時に冬秋のほぼ真下に真っ白の光を放つ魔法陣が展開。それは二メートル四方の板にへと変わる。
 雹嵐の〈創符『桧舞台』〉を足場にしてそれを破壊するような大きな音を立てて前を力強く踏み締め、その足に溜まった力を解き放つ。
「長月流舞闘術『地走り』並びに、月城流拳術『旋貫センカン鯉昇コイノボり』が崩し……」
 身体ごと回転しながら足の力をバネにして跳び上がった冬秋。即席で展開したものでは耐え切れなかったのか、彼の跳躍と共にその板は圧し折れてしまった。
「我流剣技『龍波風タツナミカゼ』っ!」
 再び跳躍すると同時に冬秋は構えていた刀を切り上げるように勢いよく引き抜く。そして触れただけで人を切り刻んでしまう凶悪な竜巻となった冬秋は槍の雨に勝負を挑む。
 迫り来る無数の槍を冬秋は回転でそれを切り刻んでいく。しかし中心に来る物は弾く事すら出来ず、穂先が肩や腕などに容赦なく突き刺さっていく。
 槍によって勢いが殺された上に体勢まで崩しかけ、天使に届く事無く落下しかける冬秋。しかし地上の雹嵐が彼を援護するために新たなる符の効果を発動させる。
「創符『長跳場』」
 彼女の声と手を打つ音が響いてから彼の足元に半径二メートルぐらいの魔法陣が展開。冬秋は振り上げた刀を下ろして身体を捻り、大きく跳躍するために足を曲げる。
 天使は身体に槍が突き刺さろうとも戦う意思を失わない冬秋に止めを刺す為に無数の黒い弾丸を形成し、雹嵐の発動させた〈創符『長跳場』〉の上で力を溜める彼に向かってばらまく。それは大規模でありながらも回避する隙間が全く存在しない黒の壁。
 冬秋が〈月城流衝技『祓禊』〉で弾幕の一部を消す事も想定してか、時間差で黒い槍の軍勢打ち込めるように五十基のスフィアを精製して攻防一体の密集陣形を敷いた。
 迫ってくる弾幕の壁を破壊しようと冬秋が刀を振り上げて動き出す前に、雹嵐が瞬時に能力を組んで彼の前に虹色の光を放つ符を展開する。
「礼符『反逆の狼煙アヴェンジ・アクセル』」
 符に弾幕の壁が衝突する直前で虹色の魔法陣が展開され、衝突してきた無数の黒い弾丸を天使の方へと跳ね返した。天使は創造主たる自身に牙を剥いた弾丸を消滅させる為に残りの弾と槍を打ち込みにかかった。
 天使の再度放ったものと雹嵐の能力によって反逆したものが衝突し合い、対消滅する事でお互いがお互いの壁を削っていく。それはまるで共食いをするかのようでもあった。
 向かってくるものを迎撃する為に放った方が最初よりも薄かったらしく、辛うじて残った黒き壁が天使へと迫る。流石に身を守る為には追撃用に造った槍を放たねばならないのはわかっているのだろう。天使は待機させていた槍たちを解き放つ。
 先ほど放たれた弾幕の壁より念入りに造られていたのだろう。黒き槍たちは迫り来る壁に易々と穴を開けて力を溜める冬秋へと迫る。しかし雹嵐が発動した〈礼符『反逆の狼煙』〉がまだ持続していた為に、今度は槍が主を裏切ってその身を貫こうと飛んできた。
 ほぼ同時にそこで雹嵐が符に込められたもう一つの能力が発動。魔法陣から虹色の弾丸が発射され、槍の隙間を縫って天使の方へと迫る。
 全ての槍を対消滅させた所で畳み込むかのように虹色の弾が来るのは天使にとっては不意打ちにも等しい。靄で壁を形成する隙もなく身体を撃ち抜かれた。
 死にはしないがこれ以上攻撃を放つと雹嵐の能力で痛い目を見ると穴だらけの身体で悟ったのだろう。天使は彼女の敷いた能力の効果が持続する時間を待つかのように空を覆う黒い靄や周囲から微かに漏れるものを自らの身体に集めて身体の修復をする。
 しかし攻撃を仕掛けるにはちょうど良いその隙を冬秋がそう易々と見逃すはずが無かった。
「数秒前より成長したワイの力……見せたるわぁっ!」
 身体を修復する天使に向かって声高らかにそう宣言した冬秋は左手に持っていた鞘の下緒を解いて口に咥え、足場として雹嵐が展開した〈創符『長跳場』〉に両手で柄をしっかりと握った刀の刃先をぐっと押し込んだ。
「我流剣技『龍波風タツナミカゼ……」
 自らの身体を限界まで捻り、刃先を深々と刺した冬秋は雹嵐が防御用に展開した〈礼符『反逆の狼煙』〉が消える一秒か二秒の前に〈創符『長跳場』〉から跳躍。
錐旋スイセン』!」
 足場となっていたものを壊す勢いで跳ぶと同時に溜め込まれた力も開放され、冬秋の身体がさっきよりも勢いよく回りながら上がっていく。
 そして刀もさっきは回っている冬秋を軸にして周囲のものを斬るような感じであったが、今は一点だけを穿ち抜くように突き出されて回転の中心となる軸である冬秋と共に回っている。
 その刀と共に自身も回りながら黒い天使のいる天へと昇っていく姿はまさしく、異世界では天空を統べる覇者と呼ばれる龍そのものであった。
 雹嵐の〈礼符『反逆の狼煙』〉に気を取られ、冬秋の存在を意識の外へと置いていってしまっていた天使は身体の修復を止めて右手を突き出す。
 身体の修復から攻撃に回された靄は突き出された手の平の前に展開された魔法陣の前に集まって球体を作り出す。彼女の身体半分を覆い隠せる位まで膨張した球体は僅かに風を切る音を立てて錐状の物体に変化。その錐の先は接近してくる冬秋へと伸びる。
 そして冬秋と天使の武器が接触し合う。回転する刀は重力などの様々な制約が掛かる下からの攻撃であるにもかかわらず、上から来る錐をまるでドリルのように貫き、渦を巻きながら黒い靄を周囲に撒き散らしながら掘削して行く。
 難なく相手の作った錐を完全に破壊した冬秋はそのまま突き出した天使の右腕をも抉り、最終的には彼女の首から胸部にかけて巨大な穴を作り出した。
 ある程度天使から離れた位置で左手を刀の柄から離し、咥えていた下緒を口から離してから鞘を持つ。まるで翼を広げるように手を広げてバランスを取る冬秋は落下しながら天使を見る。
 全身の五分の一を持っていかれた彼女は顔を冬秋の方へと向ける。首が文字通り皮一枚で胴体に繋がっているにもかかわらず百八十度回転して顔の下にあるのが胸部でなく背中であるそれは明らかに人間が回る限界を越えており、いかに彼女が自らの能力と同化して人間と呼べるか分からない存在と化しているかが分かるようであった。
 首が並大抵の人間じゃ出来ない動きをしている彼女はぼんやりと冬秋を見ながら口をゆっくりと開いた。次の瞬間、大きく開いた口の前に若干黒い物が混じった虹色のベルカ式魔法陣が展開される。それは小さな球体を生み出し、時間が経つごとに天使の身体を構成しているであろう黒い靄と周囲の魔力を吸収してどんどん肥大して行く。
「……ディバインバスターかいな」
 明らかに自身を殺す為に直射型砲撃魔法を放とうとしている彼女に冬秋は冷汗を流す。その冷汗は緊迫した状況によって出てきた物。普通の人ならば恐怖で身体が動けなくなって、そのままあの光に飲み込まれて蒸発してしまう事だろう。
 しかし冬秋は大事な人を守るために戦っているのだからそう易々と死ぬわけには行かなかった。それにこんな状況で凍り付いてしまうほど心はやわでもなかったし、こういう経験をした事が無いわけでもない。
 だから冬秋は空を飛ぶ事が出来ない自身が不利な状況でありながらもそれにあがなう為の行動を起こした。
「和泉流剣術『破音ハノン』並びに、月城流衝技『祓禊フッケイ』……」
 魔力と靄を溜めている天使の前で、冬秋は鞘を持った左手と刀を持った右手を突き出して刀を納める格好を取った。
 彼を殺すには十分すぎるほどの一発を作り上げた天使は獣のような咆哮と共にそれを放つ。
「我流剣術反技……『禊音・爆震ミソネ・バクシン』」
 虹色の光が迫ってくると同時に冬秋は音を立てて刀を納めた。納刀時に金属が奏でたその澄んだ音は迫り来る光に入り込み、その振動によってその構築をほとんど強制的に解除して光の固まりそのものを破壊した。
「創符『空中庭園』!」
 ココで瞬時に雹嵐が新しい技を発動。冬秋の真下に二メートル四方の芝生が出現。尻餅をつきながらも彼はその青々とした芝の上に着地する。
 冬秋はその領域ギリギリにまで歩み寄り、下にいる雹嵐の方を見る。彼女の足元には真っ白な光を放つ巨大な魔法陣が展開され、弓と矢を構えた雹嵐と白い狼の大群がスタンバイしていた。
 百五十センチは軽く越えている長弓の弦にこれまた長い矢を番え、打ち起こした彼女は親指を立てて人差し指を伸ばした左手を身体を修復する天使の方へとゆっくりと向ける。冬秋と雹嵐によって大体の攻撃手段を潰されてしまった彼女はわき目も振らずに靄で喪失した身体を元に戻している。
 ここが自らの命を懸けて戦う一種の戦場でありながらも心を落ち着かせるように雹嵐はゆっくりと引き分け、胸を張りながら両腕の筋を少しずつほぐすように伸ばしつつ天使に狙いを定めて会の形を取った。
 狙いを合わせ、心を落ち着かせた彼女は弦を離して矢を放った。そしてポツリと呟くように技の銘を告げ、能力を発動させる。
「……撃符『白銀ノ狼軍ハウンディングス・シルヴェリル』」
 放たれた光の矢は狼の形を取り、天使を狩らんと夜空を疾駆する。
 雹嵐の周りにいた狼たちもそれに続いて獲物の方へと走り出した。空に真っ白な軌跡を幾つも残しながら主である雹嵐と同じくらい誇り高い動物である狼の形を取った技は天使へと迫る
 最初の一匹によって胸部を貫かれ天使の口から血の代わりに黒い靄の塊を吐きだした。その後も更なる迫撃が彼女を襲う。
 雹嵐が作り出した光の狼たちが指を、足指を、手を、足を、手首を、足首を、腕を、脹ら脛を、肘を、膝を、二の腕を、太股を、肩を、股を、脇を、脇腹を、腰を、腹部を、下腹部を、胸部を――穿ち抜いてはその部分の肉を持って行ってしまった。
 残ったのは天使の首のみであった。後は全て雹嵐の生み出した狼の中にある。
 まだ空には厚くて濃厚な黒き靄が掛かっているから身体の修復は出来るが、完全修復には相当の時間をかけなければならない。
 これでもう終わりだろうと、雹嵐の遥か後ろでずっと固唾を飲んで見守っていたマリアがそう想ったその瞬間であった。
 天使の肉を喰らった白い狼がいきなり黒色に変わって行った。そして狼としての姿を失い、遂には黒い靄へと変わる。
 それは首だけになった天使にへと集まり、その首を覆い隠してしまう。
「全く……手間の掛かる奴やな」
 何が起きたのか大体の見当がついてしまった冬秋は軽い溜め息をついて愚痴を漏らしつつも、肩に雹嵐が能力で造った刀〈錬符『布津御霊』〉を担いで口には笑みを浮かべてその黒い靄の塊を見上げる。
 主であるマリアの友人であった綺璃斗の成れの果て――天使を覆い隠した黒い靄を見ながら、新たなる符を展開した雹嵐は上にいる冬秋の愚痴に返事を返すように言った。
「それでも、私たちはやらなければならない」
「……そうやな」


スポンサーサイト

1件のコメント

[C199] 本気の日本刀

どもぷー太郎です。
冬秋さんと執事さんの付き合いの長さが良く分かる受け答えが良かったです。
やばい状況でため息がつけるという事はそれだけ目の前の人物を知っているという感じがして、其処から長い付き合いだというのが感じられました。
あと、刀と符を使った技、魔法破壊技が鬼畜でした。
相手が天使でなければ使われなかったと思いますが、やばい技を使った=それだけ敵がやばく、こちらが本気だったというのが分かり、緊迫してると感じました。
天使の底が知れないのが怖いです
次も楽しみにしています。
では
  • 2010-02-15
  • 投稿者 : ぷー太郎
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

新規
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

0件のトラックバック

トラックバックURL
http://clowncraown.blog90.fc2.com/tb.php/138-7294ac35
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

Appendix

プロフィール

雪奈

Author:雪奈
「交換戯言日誌」を見に来て下さってありがとうございます。
終焉の引き金を引くのは貴方。
物語の続きを作るのもまた……
読んでいる貴方なのです。






無料アクセス解析

最近の記事

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。